映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』皇帝役フレッド・ヘッキンジャーに直撃インタビュー!

ハリウッドの巨匠リドリー・スコットの代表作で、第73回アカデミー賞作品賞を受賞した伝説的名作『グラディエーター』の“その後”を描く、映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』がいよいよ11月15日(金)に全国公開!

本作で新登場する、帝国を狂わす極悪非道な双子皇帝の兄カラカラ帝を熱演したフレッド・ヘッキンジャーに海外ドラマNAVIが独占インタビュー! 役作りや監督・共演者との思い出、初来日した日本の印象などをうかがった。

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』あらすじ

ローマ帝国が栄華を誇った時代――。平穏な暮らしを送っていたルシアス(ポール・メスカル)は、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻により愛する妻を殺され、捕虜として拘束されてしまう。

すべてを失いアカシウスへの復讐を胸に誓ったルシアスは、謎の奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)に買われローマへと赴くことに。そこで剣闘士《グラディエーター》となった彼は、復讐心を胸に、力のみが物を言うコロセウム《円形闘技場》で待ち受ける戦いへと踏み出していく――。

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』フレッド・ヘッキンジャー インタビュー

役作りの参考にしたのはセックス・ピストルズ!?

『グラディエーター』は、オスカーを多数受賞した伝説的名作ですが、そんな作品の続編に出演することが決まったときはどんなお気持ちでしたか?

一作目の『グラディエーター』は映画史に残る名作だから、もし続編を作る必要があるのであればリドリー・スコットがやるべきだと思っていたんだ。それで続編の製作が決まり、声をかけてもらった時に、世界中が待ちわびていた名匠の名作の続編にふさわしい作品になるよう、期待に応えられるように、作品に自分が負けないように頑張らなきゃなと思ったよ。

クレイジーな皇帝役が強烈で新境地だなと感じましたが、どのように役作りをしましたか?参考にしたキャラクターなどはありますか?

リドリーとは、役作りについていろんなアイデアを話したんだ。意外かもしれないけど、セックス・ピストルズのジョニー・ロットンやシド・ヴィシャスについて話したんだ。パンクのアイコンだよね。彼らなどを参考にしてキャラクターを組み立てていったんだ。

皇帝兄弟が次にどんな行動に出るか分からないハラハラ感、危険をはらんでいるという感じを大事にしたかったから、予測不能なエッジーさを出していきたいなと思っていたんだ。

ただ、役作りについては毎回自分ではコントロールできないようなミステリアスな部分もあるから、なるようにしかならないんだ。役作りのプロセスの中でどんどん変わっていったりもするからね。

その中で自分のモットーとして気を付けているのは、どんなキャラクターを演じるにあたっても、世界中の誰もが唯一無二の存在であるように、映画の中のキャラクターも唯一無二の存在であるべきだと思うんだ。その人にしかない独自の個性や性質を一つ考えてそれを出していくことをベースにしているよ。

今回は、双子役でジョセフ・クインという素晴らしい相方がいたから、二人で撮影前から話し合って、お笑いコンビのような面白いところを出せていたからとてもラッキーだったよ。

私自身双子なので、皇帝兄弟がお互いをライバル視する関係性が理解できると同時にすごく怖くも感じたのですが、彼らの関係性はどのように説明しますか?

おお~そうなんだね!双子なら分かるかもしれないけど、二人の間に愛はあってお互いに依存し合っていると同時に、ライバル心があって、お前には負けたくないという思いも持っているんだ。その相反する感情が非常に関係を複雑にしている部分があると思うよ。

さらに彼らはとても閉鎖的な関係でもあると思うんだ。彼らは常に二人の世界にいて周りが見えていない。それは感情的にも情緒的にも彼らが非常に未熟だからということもあるんだけど、二人で好き勝手やって、その軽率な行動がどれだけの人に影響を及ぼすか全く意識しないんだ。彼らは常に二人だけの世界で生きているから、その閉鎖的な部分はすごく怖いなと思ったよ。

ポール・メスカルやペドロ・パスカルの印象は?

繊細なイメージが強かったポール・メスカルの剣闘士としてのバトルシーンは迫力があってすごかったですが、撮影中は目の前でご覧になられたのですか?どんな印象でしたか?

毎日たっぷり見ることができたよ! リドリーの撮影方法は特殊で常に10台ぐらいのカメラで撮影するんだ。普通だったら例えば、最初に戦闘シーンを撮って、別日に観客のリアクションを撮ってあとで編集で合わせる、みたいなことをやると思うんだけど、リドリーの場合はリアルタイムで全部イッキに撮影するんだ。だからそのシーンに登場するキャラクターは、全員その場に集合する必要があるんだ。

ほぼ実寸大のサイズのコロセウムのセットに全員が集まって、そこで闘うポールを目の前で見ることができたんだ。彼はすごかったよ! 特に海洋バトルのシーンでは、彼が船から船に飛び乗ったりするところを見て観客のように楽しんでいたよ。

ポールをはじめ、ペドロ・パスカル、デンゼル・ワシントンなど豪華キャストたちと共演されましたが、彼らについてなにか印象に残っていることはありますか。撮影中に思い出に残っていることなどあれば教えてください。

あと、猿も忘れないでね!(笑) 毎日が驚きと発見の連続でとても刺激的だったんだけど、特に鮮明に覚えているのは、作品の序盤で、とても閉鎖的な中で僕と相方のジョセフが演じるゲタが二人だけで過ごしていた世界に、初めて外部からの接触があるシーンなんだ。ペドロ演じるアカシウス将軍が階段を駆け上がってきて僕たちと対面するシーンで、ペドロを目にした時のことが忘れられないんだ。とても鮮明に印象に残っているよ。

ペドロは一緒にいてとても楽しい人で、素晴らしい役者であるだけでなく、最高の共演者ですっかり仲良くなったんだ。

観客に特に注目してほしい部分はどこですか?

まず一つは、リドリーが20年以上も温め続けていた構想がついに実現した素晴らしい作品だから、できる限り大きなスクリーンの映画館で、たくさんのポップコーンを片手に見てほしいな。

リドリーとも話したんだけど、本作を見終わって現実世界に引き戻されたときに、世界がちょっと違って見える、そんな映画にしたいと僕たちは思っているんだ。なにか学ぶことがあって、世界を見る目が変わるような作品になっていると思うから、観客のみなさんにはそういうことを頭に入れて楽しんでみてほしいな。

黒澤明監督の『蜘蛛巣城』を彷彿とさせる

日本は初めてですか?どんな印象ですか?
そうなんだ、今回初めてなんだ。いつも来たいと思っていたから嬉しいよ。数日前に着いたんだけど、すでに滞在を延長したいぐらいなんだ。まだ東京しか行けていないから、いろんなところに行ってみたいな。東京は優しさと驚きで満ちあふれていて、本当に美しいところだね。

日本の映画も好きだから、ここに来られて本当に嬉しいんだ。この地で撮影された作品を見て育ってきているからね。日本の映画で好きな作品はたくさんあるんだけど、特に黒澤明監督の作品は子供の頃から見ていて、特に印象に残っているよ。父に『七人の侍』の上映に連れて行ってもらって衝撃を受けて、そこからいろんな日本の作品を見るようになったんだ。『天国と地獄』はもう数えきれないくらい見ているよ。

そういえば、この『グラディエーターII』の矢を使って戦うシークエンスは、『蜘蛛巣城』を彷彿とさせると思ったんだ。『蜘蛛巣城』は、暴力と恐怖を非常に上手に描いていて、矢がいっぱい飛んでくるシーンがあるから。黒澤監督の作品は、僕にとって本当に意味があって大事なんだ。

自身のキャリアで今後一番楽しみなことをお聞かせください

ちょっと意外かもしれないけど、いつかタップシューズを履いてミュージカル映画に挑戦してみたいんだ。自分がやってみたいと思う役や適切な監督、脚本などいい企画があればぜひやってみたいな。

(海外ドラマNAVI)

Photo:©2024 PARAMOUNT PICTURES.