1990年代に一大ブームを巻き起こし、今なおカルト的な人気を誇る『ツイン・ピークス』(2024年8月16日よりAmazonプライムで見放題配信開始)。その製作者が語る、デイル・クーパー捜査官(カイル・マクラクラン『フォールアウト』)と本シリーズを手がけた鬼才デヴィッド・リンチ監督の関係からわかるクーパーの誕生秘話とは? 英BBCが伝えた。
クーパー捜査官のモデルは…
クーパー捜査官は礼儀正しく、型破りだが優れた捜査手腕を持ち、チェリーパイと“超うまい”コーヒーを愛し、見知らぬ秘書の“ダイアン”にディクタフォンで音声メモを残し続ける、最も愛されたテレビの刑事の一人。この役を演じたカイル・マクラクランはエミー賞に2度ノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞を受賞した。
そんなクーパー捜査官について、製作総指揮・脚本のマーク・フロストはBBCの『The Late Show(原題)』にて、リンチ監督からキャラクターのインスピレーションを得たと告白。「デヴィッドの持ち味である奇抜さと細部へのこだわりは、あのキャラクターで表面化されました」と語った。
「人々の強迫観念や、何かに執着するキャラクターへの関心は、彼のほかの作品にも通じるものがあると思います」
奇想天外で型破り
クーパーに反映されているように、リンチ自身も型破りな人物だ。フロストは語る。「デヴィッドの作品で特に顕著なのは、ストーリーテリングの決まりを破って前に進む力です。映画やテレビでは感情を伝えるためではなく、筋書きやストーリーのポイントを伝えるために感情を使うことがよくあります。悲しいことがあると、それを受け入れて前に進むのがセオリーですが、デヴィッドが本当にすばらしいのは、その感情に寄り添い、可能な限りリアルにすることであり、多くの人はそれをとても不快に感じるでしょう」
また、主演のカイルは2020年に米ガーディンのインタビューで自身の役について次のように語っている。「彼(クーパー)を演じるにあたり、発声やフレーズなど、デヴィッドの特徴をたくさん取り入れました。デイル・クーパーはデヴィッドであって、私ではないんです」
オリジナルの『ツイン・ピークス』はわずか2シーズンで一度幕を下ろしたが、その後のテレビ番組に多大な影響を残した。超現実性、パラレルワールド、特異体質のキャラクター、夢オチの使い方は、『X-ファイル』、『LOST』、『FARGO/ファーゴ』から、『The OA』、『LEFTOVERS/残された世界』、『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』まで、あらゆる作品に受け継がれている。
『ツイン・ピークス』としても、1992年に映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』が公開され、2017年には『ツイン・ピークス The Return』(別タイトル『ツイン・ピークス:リミテッド・イベント・シリーズ』)で最終回から25年後の世界が描かれた。その続編と『ツイン・ピークス』シーズン1~2が、このほどAmazon Prime Videoに登場。8月16日(金)より見放題配信開始となる。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ツイン・ピークス The Return』“TWIN PEAKS”: ©Twin Peaks Productions, Inc. All Rights Reserved.