フェラーリ社の創設者であるエンツォ・フェラーリを主人公にしたマイケル・マン監督の最新作『フェラーリ』が、7月5日(金)より全国公開となる。それに先駆けて、同作に出演するパトリック・デンプシー(『グレイズ・アナトミー』)の写真が届いた。
自身もカーレーサーである経験を生かす
本作の主人公は、自ら立ち上げたフェラーリ社をイタリア屈指の自動車メーカーへと成長させた元レーサーにしてカーデザイナーのエンツォ・フェラーリで、1957年に59歳だったエンツォの波乱と激動の一年を描く。主人公エンツォをアダム・ドライバー、彼と崩壊寸前の夫婦生活を送る妻ラウラをペネロペ・クルス、エンツォと秘かに愛し合うリナをシャイリーン・ウッドリーが演じている。
そんな作品でフェラーリ社のレーサーの一人、ピエロ・タルッフィを演じているのがパトリック。タルッフィは、フェラーリ社の社運を賭けたイタリア全土を縦断する公道レース【ミッレミリア】に、当時50歳で出場した実在のベテランレーサー。劇中では、若く情熱に満ちたチームメイトの中で、まとめ役として落ち着いた存在感を披露している。『グレイズ・アナトミー』のデレク・シェパード役でドラマファンにおなじみのパトリックといえば、俳優業の傍ら、20年にわたりレースドライバーとして活躍した経験を持つ。メキシコのバハ1000、ル・マン24時間レースへも参加したことのある彼がその経験を活かし、迫真の臨場感と壮大なスケール感で観る者を圧倒するレースシーンに絶大なリアリティをもたらしている。
パトリックは役作りのためにタルッフィの著書を読破。「彼はレーサーとしての人生を一瞬で駆け抜けた。最速のレーサーではなかったかもしれないが、一貫性があり賢明で、レースを制するために必要なことを熟知していた」と役柄を分析している。さらに当時のタルッフィの白髪姿を再現するべく、地毛を5回も脱色したという。その甲斐あって、今回届いたパトリックの場面写真やメイキング写真では、普段のパトリックのイメージとは異なる、見事に白髪な姿を目にすることができる。
構想に30年を費やしたという巨匠の執念も感じられる本作。不可能とされた破格の規模で撮影を行った監督のもとには、『Mank/マンク』でアカデミー賞撮影賞を手にしたエリク・メッサーシュミットをはじめとした精鋭スタッフが結集し、雄大な景観と1957年当時の風景を今に甦らせる美術デザインを創り上げた。そんな作品の魅力についてパトリックは、「この時代のレースやイタリア文化は、まるでオペラみたいなんだ。高揚と低迷、絡み合う感情、死、そしてセクシュアリティ。すべてが本当に素晴らしい」と熱く語っている。
ちなみに、2016年を最後にレースから離れていたパトリックだが、なんと先日レース復帰を果たしたとの知らせが! 3回の60分レースと1回の6時間耐久レースで構成される〈ポルシェ・エンデュランス・チャレンジ・ノースアメリカ〉という、全4戦で争われるポルシェのレースに出場が決定。初戦は5月26日に終了して11月まで続くというから、その結果が気になるところだが、まずはスクリーンでのレーサー姿を堪能してほしい。
映画『フェラーリ』(配給:キノフィルムズ)は、7月5日(金)TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)
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