Netflixもアガサ・クリスティー作品をドラマ化!「七つの時計」を脚色

聖書、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲に次いで読まれているとも言われるアガサ・クリスティーの小説。英国が生んだ“ミステリーの女王”の作品から今でも映画、ドラマ、舞台などが作られているが、Netflixも新たに彼女の小説を映像化することが分かった。英Radio Timesが報じている。

人気のクリスティー作品にNetflixも本格参戦

Netflixがドラマ化するのは、クリスティーが1929年に発表した長編小説「七つの時計」。その4年前に出版された「チムニーズ館の秘密」に出てきたチムニーズ館で新たに起きた事件をきっかけに、陰謀の存在が明らかになっていく。

チムニーズ館に滞在していた客の一人、ジェリーを驚かせようと、友人たちは彼の部屋に夜中に忍び込み、枕元に8個の目覚まし時計をセットするといういたずらを仕掛ける。翌朝、時計が一斉に鳴り響くもジェリーが起きてこないので友人たちが見に行くと、彼は多量の睡眠薬を飲んで死亡していた。さらに、枕元に仕掛けたはずの目覚まし時計のうち7つがマントルピースの上に並べられ、残りの1つは窓から庭に投げ捨てられていた。その後、ジェリーが義妹に宛てた不可解な手紙が見つかり、彼の友人の一人も謎の死を遂げる。チムニーズ館の所有者であるケイタラム卿の娘バンドルは謎の解明に乗り出すが…。

原作小説にはクリスティーの有名な探偵、エルキュール・ポワロとミス・マープルは登場しないが、「チムニーズ館の秘密」をはじめ何度か出てくるロンドン警視庁のバトル警視が捜査に当たる。バトル警視は「ひらいたトランプ」ではポワロと一緒に捜査に当たっているので、もしかしたらポワロがこの「七つの時計」にも特別出演するかもしれない。

この『The Seven Dials Mystery(原題)』の製作総指揮を務めるのは、『ブロードチャーチ ~殺意の町~』『ドクター・フー』を手掛けたクリス・チブナル。『ドクター・フー』を英BBCで2022年に放送されたシーズン13をもって去ったチブナルにとっては、それ以来のドラマプロジェクトとなる。そのほかには、スザンヌ・マッキー(『ザ・クラウン』)やクリス・サスマン(『グッド・オーメンズ』)が同職に名を連ねる。メガホンを取るのはクリス・スウィーニー(『ザ・ツーリスト 俺は誰だ?』)。

クリスティーの曾孫であるジェームズ・プリチャードは、「バンドルは、私の曾祖母が生み出した頭が良くユーモアにあふれた若い女性キャラクターたちの一人です。クリス・チブナルの脚本を通してそんな彼女に命を吹き込み、Netflixとともに作品を作ることができるなんて夢が叶いました。視聴者は我々が作り出す世界を気に入り、もっと見たいと思ってくれることでしょう」と自信をのぞかせる。

製作総指揮を務めるマッキーは、「『七つの時計』に命を与え、クリスティーが生み出した新時代のアイコン的なキャラクターを登場させられることにワクワクしています」と語り、3人のクリスとのコラボレーションを歓迎。「このプロジェクトのホームとしてNetflix以上にぴったりのプラットフォームはありません」と続けた。

Netflixは、クリスティーファンであるライアン・ジョンソンが監督・脚本・製作総指揮を兼任したミステリー映画『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』を製作したものの、クリスティーの原作を映像化するのはこれが初めて。近年はアメリカのミステリー作家ハーラン・コーベンの作品を多数映像化(『ザ・ストレンジャー』『ステイ・クロース』『偽りの銃弾』)し、大きな反響を得ている。

「七つの時計」は1981年にTV映画となったことがあり、その時はオスカー俳優のジョン・ギールグッド(『ミスター・アーサー』)などが出演。バンドルを演じたのはシェリル・キャンベル(『炎のランナー』)で、彼女はその後にジョーン・ヒクソン版の『ミス・マープル』『名探偵ポワロ』というほかのクリスティー作品にも参加していた。

夏に撮影開始となる今回のプロジェクトのキャストは今のところ明かされていない。タペンス(「トミーとタペンス」シリーズ)やフランキー(「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」)と並び、クリスティーが生み出した魅力的なヒロインの一人とされるバンドルを誰が演じるのかも含めて、続報が入り次第お伝えしたい。(海外ドラマNAVI)

参考元:英Radio Times

Photo:アガサ・クリスティー ©IMAGO