『フルハウス』で描かれたイマイチなストーリーライン

1980年代後半から1990年代前半にかけて放送され、最も愛されたシットコムのひとつとなった『フルハウス』。その物語の多くは家族の団欒や、親子の悩みを乗り越えていく姿など、ほのぼのとしているものだが、なかにはいっそのこと忘れてしまった方がいいような、奇妙な展開も。「なんでこれ入れた?」と思うような、違和感のある瞬間を振り返る。

◆ダニーが大学生の女の子とデート

『フルハウス』は、妻を交通事故で亡くしたダニーが三人の娘を育てるために義弟ジェシーと親友ジョーイと一緒に暮らし始める話。最初の頃は他の女性とのデートなど考えられなかったダニーだが、少しずつ出会いを増やしていく。そんな中、シーズン4第25話「子供たちの巣立ち」では、ダニーの番組にインターンとしてカーステンという女性がやってくる。21歳大学生の彼女とダニーは12歳差で、中学の卒業を控えるDJの方が彼女と歳が近く、共通点も多い。自分がもう若くないという恐怖心を埋めるために、ダニーが自分の娘とそう年齢の変わらない若い女性とデートをしているという様は、あまり素敵なストーリーラインとは思えない。

◆ジェシーのCM

シーズン4第3話「ダブル・Jの独立宣言」は、ジェシーとジョーイがメンズコロンのコマーシャル企画を考える話。二人は用意したアイディアをクライアントに披露するが、ナンセンスと言われてしまう。すると、クライアントの女性のガーランドがジェシーに魅力を感じ、セクシーさを演出しようとする。ガーランドはジェシーを裸に近い格好にさせようとし、彼はそれを拒むが、彼女の上司もジェシーを庇ってはくれなかったため、結局ジェシーとジョーイは仕事を辞めて二人で事業を始める決断をする。

◆DJの摂食障害

『フルハウス』では、現実で起こるシリアスなテーマを取り上げることもあったが、必ずしも上手く描けるわけではなかった。その最たる例が、シーズン4第8話「ダイエット作戦」。この回は、キミーの誕生日のお祝いでホテルのプールに行くことになり、DJは水着を着る不安からダイエットを決断。食事を摂らないようになっていた。ベッキーはヘルシーな食べ物を選んで食べるのが一番だと助言するが、DJは食べ物のことは考えたくないと話す。翌朝、ステファニーはDJが昼食のサンドイッチを飼い犬にあげているのを見るが、DJは誰にも言わないよう約束させる。DJは無理なダイエットを続け、周りの大人は彼女がジムで体調を崩すまで気づくことはなかった。

DJは体型の自信のなさから摂食障害になりかけていたが、ダニーが「本当に大切なのは外見より中身で、友達も中身を見てくれているんだ」と説いたことで、DJはもう無理はしないと約束する。これは『フルハウス』にとって最も重要なエピソードのひとつになり得たが、若い女性の難しい気持ちを扱う方法としてベストではなく、尊重された方法でもなかった。

◆ミシェルの記憶喪失

『フルハウス』の最終回、シーズン8の最終話「抱きしめて家族」は前後編の2部構成で、ミシェルが落馬して記憶を失ってしまうという展開。家族は彼女の記憶を取り戻そうとあれこれ考えて彼女と向き合う。やがてミシェルは記憶を取り戻し、家族はより絆を深めて幕を下ろしたが、8シーズンのフィナーレとしては非常に奇妙に感じられ、家族の大切さを描くのであれば、もっと他によい方法があったのではないかと思わずにはいられない。

参照元:米ScreenRant

(海外ドラマNAVI)

Photo:『フルハウス』(C)Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.