今年は7月から約4ヵ月続いた全米映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と映画テレビプロデューサー同盟(AMPTP)間のストライキによりTVの製作・放送にも影響が出たが、それでも多くの良質なドラマシリーズが届けられた。ここでは、米Entertainment Weeklyが選んだ2023年のベスト&ワーストドラマをご紹介。
目次
2023年最高ドラマ【トップ10】
ベスト10は以下の通り。※()内は本国の放送局・配信サービス
- 『メディア王~華麗なる一族~』(HBO/Max)
- 『僕は乙女座』(Amazon Prime Video)
- 『バリー』 (HBO/Max)
- 『レザベーション・ドッグス』(FX/Hulu)
- 『一流シェフのファミリーレストラン』(FX/Hulu)
- 『アメリカン・ボーン・チャイニーズ 僕らの西遊記』(Disney+)
- 『Bargain(原題)』(Paramount+)
- 『ハーレム』(Amazon Prime Video)
- 『The Curse(原題)』(Paramount+ with Showtime)
- 『Judge Steve Harvey(原題)』(ABC/Hulu)
第3位『バリー』(HBO/Max)
演技の魅力に取りつかれた殺し屋が、足を洗いたいのに洗えないという苦悩を、ブラックユーモアを交えて描く『バリー』。コメディアンや声優として主に活躍の場を広げているビル・ヘイダーが主演で、これまで同作でエミー賞主演男優賞(コメディ部門)を二度獲得し、ゴールデン・グローブ賞にもミュージカル/コメディ部門で作品賞や男優賞にノミネートされてきた。
最終シーズンとなったシーズン4では、バリーは懺悔の苦しみを味わうのではなく、修正主義によって自身の殺し屋としての歴史を書き換えることで贖罪を求めた。バリーや彼の周りにいる人間は、後悔を外向きの怒りに変え、人生を壊す選択をすることを許した世界に復讐しようとする。このシーズン4は、TV史の中でも最もおもしろい悲劇で、素晴らしいキャストが登場人物の不幸の深さを見事に掘り下げた。
第2位『僕は乙女座』(Amazon Prime Video)
『僕は乙女座』の主人公は、身長13フィート(約4メートル)の10代の黒人少年、クーティ(ジャレル・ジェローム)。生まれた頃から異常に大きかったクーティは、世間から息子を守ろうとする叔父と叔母の監視下のもと、家を出ることなく日々を過ごしていた。ある時、そんな隠遁生活から抜け出したクーティは、ファストフード店で働くフローラ(オリヴィア・ワシントン)に恋する一方で、自身がTVで見てきた世界と実際の社会の現実のギャップに苦悩しながらさまざまな体験をしていく。
このドラマは、ダークな笑いを交えながら貧困地域の過剰な取り締まりや、ポップカルチャーによる法執行のフェティシズム化、犯罪と資本主義のつながりに対する批評へと視聴者を導いている。
『僕は乙女座』はAmazon Prime Videoで配信中。
第1位『メディア王~華麗なる一族~』(HBO/Max)
第75回エミー賞で最多の27ノミネート、今年の第81回ゴールデン・グローブ賞でもドラマ部門トップの9ノミネートという圧倒的な評価を得ている『メディア王』。2018年放送のシーズン1から毎シーズン賞レースで話題を集めてきた本作も、今年放送のシーズン4で幕を下ろした。
最終章では、ローガン(ブライアン・コックス)の後継者争いの渦中にいた子ども達が、ローガンという絶対的存在を亡くした後、やっと手に入れることができたであろう「自由」をどう生きるかが描かれた。誰もが素晴らしい演技を見せているが、特に、常に家族の外側にいたコナー(アラン・ラック)の切ない演技は忘れられない。
2023年最悪ドラマ
『シタデル』(Amazon Prime Video)
プリヤンカー・チョープラ・ジョナス(『クワンティコ』)とリチャード・マッデン(『ボディガード-守るべきもの-』)を主演に迎えた『シタデル』は、全人類の安全を守ることを使命とする独立したグローバルスパイ機関“シタデル”工作員たちが、陰謀を阻止しようと奮闘する様子を描きながら、それぞれの裏の顔が紐解いていくスパイアクションシリーズ。
今年5月、AmazonとMGMスタジオの責任者であるジェン・サルクは、「私たちの目標は、プライム・ビデオの国際的な視聴者を増やす、オリジナルIPに根ざした新しいフランチャイズを作ることでした」と語っていた。同作の豪華絢爛で派手なアクションはある一定層の視聴を獲得できるが、創造性や独創性を期待できるものではなく、「所詮テレビドラマはビジネスなのだ」と思わせられるような残念な結果に。
『シタデル』はAmazon Prime Videoで配信中。
『THE IDOL/ジ・アイドル』(HBO/Max)
『ユーフォリア/EUPHORIA』のクリエイター、サム・レヴィンソンが手掛けたHBOドラマ『THE IDOL/ジ・アイドル』。新進気鋭のポップスターであるジョスリン(リリー=ローズ・デップ)が、クラブオーナーのテドロス(エイベル・“ザ・ウィークエンド”・テスファイ)と関係を深めながら、名声の光と闇に直面していく様が過激な性描写とともに綴られた。
舞台裏では、オリジナル監督のエイミー・サイメッツの降板があり、レヴィンソンの下で大規模な書き直しと再撮影が行われていた。そうした影響を受けてか、映像の過激さだけが際立ち、物語性に欠けた同作は結果的にシーズン1で打ち切られるという事態に。俳優たちはベストを尽くしたが、本作にはより優れたディレクションが必要だった。
(海外ドラマNAVI)
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Photo:『キング・オブ・メディア』シーズン2 (c) 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO (R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc./『THE IDOL/ジ・アイドル』© 2023 Home Box Office, Inc. All rights reserved HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc./『バリー』2021 Home Box Office, Inc. U-NEXTにて見放題で独占配信中