次なる『ブリジャートン家』?歴史ロマンスドラマ『バカニアーズ』に期待できる理由

マーティン・スコセッシ監督が手掛けた『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』の原作者イーディス・ウォートンの作品を新たに映像化した『バカニアーズ』(全8話)は、Apple TV+にて11月8日から配信スタート! 次なる『ブリジャートン家』とも言われる本作の魅力を紹介。

『バカニアーズ』概要

1870年代、厳格で窮屈なイギリス上流社会に陽気なアメリカ人女子が現れ、英米文化の衝突が始まる。彼女たちは夫や地位を守るために送り込まれたが、それ以上の目的を心に秘めていた――。

本作は、『ブリジャートン家』『サンディトン』などと同じように上流階級のロマンスが描かれる作品だが、特にジェーン・オースティンの原作をドラマ化した『サンディトン』とは共通点がある。2作品とも文学界のアイコンが書いた歴史ロマンス小説で、どちらも作者が亡くなった時点では未完成であった。ウォートンが5分の3ほどを書き上げていた「バッカニアーズ」は、彼女の死後に未完のまま出版され、彼女の最高傑作のひとつとされている。

『バカニアーズ』に期待できる理由

作者は“金ぴか時代”の上流階級出身

イーディス・ウォートンは1862年、“金ぴか時代(ギルデッド・エイジ)”と呼ばれる時代に、ニューヨークの裕福でコネのある家庭に生まれ、上流階級の豪勢な暮らしを送った。

ウォートンは、この時代の裕福な家庭の女性として厳格な社会のルールを守って窮屈な青春時代と結婚生活を過ごすも、時代は移り変わり、1905年に40代で「歓楽の家」を出版。そこからは、名高い作家としてのキャリアを謳歌する。

最初の夫と離婚したあとは主にヨーロッパで暮らし、「エイジ・オブ・イノセンス」でピューリッツァー賞を受賞。「バッカニアーズ」は彼女が1937年にイタリアで死去する前に手掛けた最後の作品になった。

ウォートンは、彼女が育った“金ぴか時代”の上流階級を舞台にした作品で知られ、オースティンの作品や、19世紀初頭の摂政時代を舞台にした『ブリジャートン家』とはまた違った魅力を描いている。

イギリス貴族たちとの恋愛

『バカニアーズ』の舞台はウォートンが子供だった1870年代。筋書きはアナベル・"ナン"・セントジョージを中心に展開する。

ナンの家族は裕福だが、伝統ある家柄がない“新富裕層”。アメリカ上流階級の社交界にデビューできない彼女と姉ヴァージニア、そのほか3人の新富裕層の娘たちは、階級の高い貴族との出会いを求めてイギリス上流社会を目指すことになる。

小説は、5人の少女たちのイギリスでの婚活と結婚を追い、自由奔放なアメリカ人と厳格な社会規範に縛られた英国貴族との文化的衝突を描いている。ナンは、男爵の息子と公爵、2人の男性の間で揺れ動く。

Apple TV+が現代風にアレンジ

Apple TV+で配信される『バカニアーズ』の予告編では、アメリカ人の少女たちが"公爵夫人って何?"と聞く様子が映し出されるなど、現代的な要素が加えられている。

ナンをクリスティン・フロセス(『ザ・ソサエティ』)が演じ、クリスティナ・ヘンドリックス(『グッドガールズ:崖っぷちの女たち』)が、魅力的だが浮気性のチャラ男と悲惨な結婚生活を送る彼女の母親を演じる。イモジェン・ウォーターハウス(『ノクターナル・アニマルズ』)が姉のヴァージニアを演じる。イギリスに一緒に行くことになるエルムズワース姉妹メイベルとエリザベス役に、ジョシー・トタとオーブリ・イブラグ、コンチータ・クロッソン役でアリーシャ・ボー(『13の理由』)が加わる。ほかには、ジョシュ・ディラン(『このサイテーな世界の終わり』)、バーニー・フィッシュウィック(『コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語』)らが出演。

キャサリン・ジェイクウェイズが全員女性のクリエイティブ・チームを率いてクリエイターを務める。監督は、『キャシアン・アンドー』でエピソード監督を担当したスザンナ・ホワイト。(海外ドラマNAVI)

Photo:Apple TV+