連続殺人事件の被害者を人間として描いた英ITVドラマ、遺族に感謝される

実在の連続殺人鬼を描く英ITVの新作ドラマ『The Long Shadow(原題)』が、「被害者をきちんと人間として描いている」として、遺族から感謝されているという。

事件のセンセーショナルさを煽るのではなく…

ITVにて9月25日より放送されている同作は、英ヨークシャー地方で1975年から1980年にかけて10人以上の女性を手にかけた実在の連続殺人鬼ピーター・サトクリフを中心に、被害者とその遺族、5年間にわたる警察の追跡と刑事たちの人生に焦点を当てる犯罪ドラマ。

英Radio Timesのインタビューで、サトクリフの最初の犠牲者となったウィルマ・マッキャンさんの息子であるリチャード・マッキャンさんが、『The Long Shadow』の功績を次のように称賛。「7話すべてを観ましたが、ITVの仕事ぶりは本当に素晴らしいと思います。被害者や遺族の目線で語られていて、(実在の殺人事件を扱った作品では)そのような描かれ方はあまり目にしません。つまり、このドラマは被害者を人間として描いているのです」と語った。

特にウィルマさんは売春婦であったため、リチャードさんは事件当時に自分の母親がネガティブなレッテルを貼られてしまったと胸内を明かし、「この事件で犠牲となった女性たちの多くは誰かの母親や姉妹、娘であるとは見なされていませんでした」とも述べている。実在の連続殺人事件を描いた作品では、犯人を美化していると指摘されたり、犠牲者や遺族に焦点が当てられていないといった理由で批判の対象になるケースも少なくない。しかし、『The Long Shadow』ではそういった問題点が解消されているようだ。

リチャードさんは、サトクリフの事件をドラマ化するプロジェクトについてITVから打診された際、この作品によって被害者の女性たちが単なる統計や数字ではなく、人間として見られることを願ったとのこと。また、連続殺人鬼が物語の中心にならないよう、“ヨークシャーの切り裂きジャック”と呼ばれるサトクリフの異名を、ドラマのタイトルに使わないよう尽力。最終的に、事件が後世に残していく痛みや影響を象徴し、「The Long Shadow(長い影)」と題された。

『The Long Shadow』では、捜査を率いたデニス・ホーバン役で『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のトビー・ジョーンズ、その後に捜査を引き継いだジョージ・オールドフィールド役で『ウォーキング・デッド』の総督役で知られるデヴィッド・モリッシーが出演。そのほかには、『クリミナル:イギリス編』のリー・イングルビー、『セルフリッジ 英国百貨店』のキャサリン・ケリー、『ホワイトライン』のダニエル・メイズ、『ゲーム・オブ・スローンズ』のマイケル・マケルハットンらがキャストに名を連ねる。

全7話となる『The Long Shadow』は、英ITVにて毎週月曜日に放送中。(海外ドラマNAVI)

参考元:英Radio Times