パトリック・スチュワート、舞台経験の影響で『新スター・トレック』セットで癇癪を起こす?

『スター・トレック:ピカード』で主演と製作総指揮を務めるパトリック・スチュワートが自叙伝「Making It So(原題)」を発表し、その中で舞台での経験が長かったゆえにドラマの撮影現場で癇癪を起こしたことがあると話しているという。米Entertainment Weeklyが伝えている。

舞台とテレビの温度差がゆえにすれ違う

イギリスの名門劇団、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身として知られるベテラン俳優のパトリック。本国アメリカで1987年から1994年まで続いた大人気SFシリーズ『新スター・トレック』でジャン・リュック・ピカード船長を演じ、2020年から3シーズンにわたって配信された『スター・トレック:ピカード』でも同役を再演したパトリックだが、『新スター・トレック』スタート当時に共演者と衝突があったことを告白。その理由は、共演者たちが真剣に役に取り組んでいると思えなかったからだという。

「共演者仲間はリハーサルでも本番でも何度もNGを出しては身をかがめて笑い、もっと面白くするために、脚本には書かれていないことまでアドリブで言ったりしていた」と当時を振り返ったパトリック。「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやナショナル・シアターでの経験はとても緊迫感があって真剣なものだった。当然、多少の気楽さを楽しむことはあったけれど、大抵は時間が限られていることを理解してふざけるようなことはしなかった」

「『新スター・トレック』の現場で同僚の態度に腹を立てて、話し合いの場を設けてもらった。そこで同僚のふざけた行為について説教して、“たまには楽しむこともあるよ、パトリック”と言ったデニース・クロスビー(ターシャ・ヤー役)に“楽しむためにここにいるわけではないよ、デニース”と答えたんだ」

「今にして思えば、私も含めた誰もがこの物語を面白いと考えている。でも、私のもったいぶったセリフ回しにキャストたちがヒステリックに沸いた瞬間、私はうまく対応できなかった」と振り返り、「笑われるのが嫌だった。撮影セットから飛び出し、控え室のトレーラーに逃げ込んでドアをバタンと閉めた」と話した。

その後、ジョナサン・フレイクス(ウィリアム・トーマス・ライカー副長役)とブレント・スパイナー(データ役)が、すねて控え室に閉じこもっていたパトリックのもとを訪れ、「大丈夫だよ。みんな君を尊敬している。でも、君はここの状況を誤解しているのかもしれない」と声をかけてきた。彼らは、パトリックが言うようにふざけ過ぎている現状を改善する必要があると認めた上で、とはいえ仲間を説教したり叱って問題を解決しようとすることは相手を不快にさせるし優れたリーダーシップとは言えないと、はっきり伝えたという。

パトリックは「あの頃の私は空気を読むことができず、ドラマシリーズのやり方に慣れている人々にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのやり方を押しつけていた。私たちが撮影していたのはドラマだったのにね。『新スター・トレック』の仲間からはテレビ番組に向けた演技の方法やシンプルに良き同僚であることについて多くを学んだよ」と話しており、『新スター・トレック』出演によって、人間としても大きく成長できたと回想している。

結果、7シーズン続く人気シリーズになった『新スター・トレック』。初期にぶつかり合ったからこそ、実現したことなのかもしれない。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Entertainment Weekly

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