二人の主演俳優が語る、ポアロが愛される理由『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』

全世界で20億冊以上出版され、「世界一売れた作家」として認定された“ミステリーの女王”アガサ・クリスティが生涯を通して書き続け、今もなお全世界で愛される“名探偵ポアロ”シリーズ。『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』に続いてケネス・ブラナーの監督・製作・主演で贈る人気シリーズの最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』が9月15日(金)に劇場公開となる。ケネスが、原作1作目の出版から100年以上経ってもポアロ作品が愛される理由について説明した。

弱さが共感を呼び、美点が欠点を相殺する

ポアロは、1920年に発表されたクリスティの処女作「スタイルズ荘の怪事件」で初めてその姿を見せて以来、長編33作・短編50作以上に登場。以降の“名探偵”像に大きく影響を与え、幾度も実写映像化され、世界中で根強い人気を誇る。ポアロが登場する原作小説をすべて読破しているケネスは、今もなお世界中で愛され続けている理由について「誰もが共感できる脆さを秘めているから」と解き明かしている。

大きな口髭と灰色の脳細胞が特徴のベルギー人名探偵ポアロは、自らを「世界一有名な探偵」と称するほどの自信家であり、容疑者の感情の機微も見逃さない観察眼と深い洞察力で数々の難事件を華麗に解決する。『名探偵コナン』に“喫茶ポアロ”という喫茶店がしばしば登場するなど日本のコンテンツにも影響を与えている彼といえば、四半世紀にわたって放送されてきた英国ドラマでもおなじみだ。

このシリーズでポアロを演じるケネスは、「ポアロは几帳面であり、内なる情熱も秘めた風変わりな人物です。彼の強気な行為は、自身の脆さを隠すため。ポアロは見ていて楽しいと思わせてくれる上に、誰もが共感できる脆さを秘めているからこそ、ここまで愛され続けているんだと
思います」と、“弱さ”もあるゆえに共感され愛されるのだと語る。シリーズ前作『ナイル殺人事件』では、誰よりも犯罪と不公平を嫌う強い正義感の裏には、理不尽な形で最愛の人を失った過去を抱えていたことが明らかになり、“完璧な名探偵”なだけではない“人間らしい”ポアロが描かれた。ケネスは、「アガサ・クリスティはポアロの一番好きなところを、その優しさだとよく言っていたそうですよ」とも語っている。

また、世間から“原作に最も近いポアロ”と称される前述のドラマの主演デヴィッド・スーシェは、この探偵がなぜ愛されるのかについて以下のように分析。「彼は癖が強く奇抜だ。それで疎まれることもある。だがそんな欠点も、美点が相殺する。それがポアロが愛される理由だよ」

ポアロは華麗な推理を披露する一方、服装などの身だしなみやインテリアにも人一倍敏感で、曲がっているものがあればまっすぐに直さずにはいられないといったクセのある性格の持ち主だ。

そんな内面的な魅力も持つポアロの最新作は、亡霊の仕業としか説明のできない“人間には不可能”な超常現象に隠された殺人事件を描く本格ミステリー。流浪の日々を送る“世界一の名探偵”ポアロは、謎めいた霊能者のトリックを見破るため、子どもの亡霊が出現するという降霊会に参加することに。そこで様々な超常現象が起こり、招待客が人間には不可能と思われる方法で殺害される…。さらには、ポアロの命までもが狙われてしまう――。果たして、犯人は“人間”か“亡霊”か。

ケネスが「ポアロは失った多くの人々の存在とも向き合わざるを得ないのです。前2作とは違い、悲しみがこの作品の核でもあるのです」と語っているように、これまでにない魅力が詰まっていることを期待させる渾身の作品を劇場で体験してほしい。

『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)は、9月15日(金)より劇場公開。(海外ドラマNAVI)

Photo:『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.