『SHERLOCK/シャーロック』がシーズン2以降、素晴らしくなくなった5つの理由

日本でも熱狂的なファンを獲得したミステリーシリーズ『SHERLOCK/シャーロック』。シーズン2以降面白さが減少したという辛口な感想もあるが、Screen Rantがその理由を分析している。
(この記事はストーリーのネタバレを含みます。)

世代を超えて愛される名探偵コンビを現代に蘇らせた英BBCの『SHERLOCK/シャーロック』。当時ほぼ無名に等しかったベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンによるシャーロック・ホームズとワトソン博士コンビが最高の相性を発揮して観る者の心をつかみ、瞬く間に世界的人気を誇るシリーズに。2011年から2017年にかけて全4シーズンに渡って放送されたが、見る人によってはシーズンが進むにつれて魅力が減少したという声も。その5つの理由を見てみよう。

『SHERLOCK』がシーズン2以降、素晴らしくなくなった理由

宿敵モリアーティを早く切りすぎた


ドラマには原作で愛された数々のキャラクターが登場したが、その一人がシャーロック・ホームズ最大の宿敵であるジェームズ・モリアーティ。アンドリュー・スコット演じるモリアーティは、シャーロックと同じ知性レベルを誇る天才で、人を思いのままに操る魅力的な危険人物として描かれ、メインヴィランとして活躍していたが、シーズン2をもって見せ場はなくなってしまい、それこそ面白くなくなった最大の理由という見方も。ラース・ミケルセン演じるオーガスタス・マグヌッセンであればモリアーティの代役を務められたかもしれないが、たった1話のエピソードにしか登場せず、新たなヴィラン誕生で巻き返しとはならなかった。

シャーロックの死を巡る最大の謎が大失敗


最も衝撃的なフィナーレとして知られるシーズン2。モリアーティの自殺に続いて、シャーロックも病院から飛び降り、葬儀まで行われたが、実は死んでいなかった…という展開にどうやって死を偽ったのかという最大の謎が残された。ファンはこの挑戦状を受けて、様々な推測を立て、大いに盛り上がった。答え合わせの瞬間を待ちわびていたファンだったが、そのやり方が大失敗。結局、はっきりと死を偽装した方法について公式な説明はなく、これがシリーズの崩壊が始まった瞬間だと考える人が多い。

無理やりなファンサービスにかえってドン引き


シーズン3とシーズン4の間に放送されたスペシャルエピソード『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』。原作の舞台であるヴィクトリア時代のロンドンで、難事件に挑む二人の活躍を描くが、これはすべてイギリスに戻る飛行機の中で薬物を使用したシャーロックが見た夢というオチ。

このエピソードではヴィクトリア朝時代の夢と現在、さらには夢の中の夢を行ったり来たり。現実の事件と夢の事件を繋ぐリンクとしてモリアーティが使われているほか、原作小説へのオマージュも満載だが、義務的なファンサービスのように見えるものだったとしてファンの支持は得られず。

置いてけぼりで、シャーロックの推理力が信じられない!?


『SHERLOCK』の醍醐味は天才探偵シャーロック・ホームズの頭の中を覗きながら、一緒に推理を進めていくこと。推理を視覚的に表現して、点と点を繋いで事件を解決に導く過程をファンも一緒に追えることが最大の魅力。

シャーロックの頭の回転は非常に速いが、それでも彼がほんの数秒で物事を推理する様子を見ることで、観客は彼の頭の中で何が起こっているのかを理解し、スキルに信憑性を感じることができた。

しかしシーズン2以降はその描写がおざなりに。ほとんど何もないところから奇妙に正確なことを予測することも増え始め、シャーロック・ホームズの探偵としての能力を信じにくくなってしまった。

ホームズ家の知られざる天才少女の登場に賛否両論


放送終了から5年以上経った今もなお激しい議論が交わされるネタのひとつが、ホームズ第三の兄妹ユーラス(シアン・ブルック)について。ホームズ家の隠された妹の存在はシーズン3フィナーレでほのめかされ、シーズン4で人目につかないところに隠れながら、セラピストなどを装ってワトソンに近づいていたことが明らかに。ホームズ家の真の天才で、同時に悪の首謀者でもあるというユーラスが突然シーズン3以降に登場しても、ファンとしては突然すぎて不自然な感じを否めず、モリアーティ級の悪役をなんとしてでも送り出したいというような製作陣の必死さまで伝わる結果になってしまった。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『SHERLOCK/シャーロック』© Hartswood Films/『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』© 2015 Hartswood Films Ltd. A Hartswood Films production for BBC Wales co-produced by Masterpiece. Distributed by BBC Worldwide Ltd.