『ONE PIECE』実写版がついに船出!友情を貫く冒険物語はまさに尾田栄一郎ワールド!!【レビュー】

原作者である尾田栄一郎先生がエグゼクティブ・プロデューサーも務めた同名コミック(「週刊少年ジャンプ」で連載中)の実写版『ONE PIECE』が、8月31日(木)、ついにそのベールを脱いだ。Netflixシリーズ最新作となる同作は疾風怒涛の全8話、伝説の “海賊王”ゴールド・ロジャーが残した“ひとつなぎの大秘宝(=ワンピース)”を目指し、主人公モンキー・D・ルフィ率いる海賊“麦わらの一味”がゴーイング・メリー号とともに大海原へと繰り出すまでの“チーム結成期”を壮大なスケールで描き出す。

実写版『ONE PIECE』レビュー

<あらすじ>

世は大海賊時代。荒くれ者が多い中、一目置かれる赤髪のシャンクス(ピーター・ガジオット)は、何よりも仲間を大切にする真の男。彼に憧れ、海での再会を約束した少年ルフィは、数年後、勇ましい青年(イニャキ・ゴドイ)に成長し、単身、海賊王を目指して大海原へと飛び出す。そして予測不能な大冒険を繰り広げながら、ゾロ(新田真剣佑)、ナミ(エミリー・ラッド)、ウソップ(ジェイコブ・ロメロ)、サンジ(タズ・スカイラー)ら、いずれ“麦わらの一味”初期メンとなるツワモノたちと出会い、友情を深めていく。

“友情の大切さ”が軸

『ONE PIECE』を実写化すると聞いて、「ついに手を出してしまったか」と、やや大仰に捉えてしまったが、いったん落ち着いて、「新しい冒険ドラマでも観てみるか!」くらいの軽い気持ちで受け入れてみたら、これがなかなか面白く、しかもよくできていた。「漫画ではこんな風に描いていない」とか、「キャラクターのイメージが全く違う」とか、その辺りの整合性はコアファン同士で色々あるだろうが、徹底して“友情の大切さ”を軸に物語を貫いているところは、「この作品に一切の妥協はありません!!」という尾田先生の言葉に嘘はない。

“麦わらの一味”結成秘話

全8話、“麦わらの一味”結成秘話に特化した構成は、概ね漫画に沿った流れだと思うが、ルフィを中心に、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジという中心人物5人の出会いとそれぞれが抱える人生を、各1話(約1時間)という尺をフルに使ってじっくり描いているところは、実写版の“船出感”を一層盛り上げ、『ONE PIECE』を深く知らない我々をもグッと仲間に惹き寄せてくれる。「こんな俺らだが、さぁ、一緒に旅立とうぜ!」と。

ちなみに、個人的に一番心配の種だった(失礼!)新田真剣佑のゾロ役だが、彼独特のクールな佇まい(またはツンデレとも)、彫刻のような美しい肉体、しなやかで切れのある殺陣、そして「さすがネイティブ!」と唸ってしまう流暢な英語が想像以上にゾロにフィットし、逆に彼の一世一代の当たり役になる可能性を感じさせてくれた。

クライマックスのバトルは胸熱!

もう一つ、彼らの母体となるゴーイング・メリー号を勝ち取るエピソードも胸熱だ。キャプテン・クロ(執事のクラハドールに変装)との壮絶な死闘を交えた大バトルシーンは、本作のクライマックスにもなっているが、この闘いを境にルフィのリーダー気質にさらに磨きがかかり、怖いもの知らずの青年から、熱い闘志を持った一人の海賊として逞しく成長する姿が実に頼もしい。激戦の末、手に入れたゴーイング・メリー号は、まさにルフィの魂の“象徴”として大海原をまい進する。

もちろん、ルフィたちの行く手を阻む強敵たちも続々登場するのでお楽しみに。逆らう者は味方だろうと容赦なく処刑し、町を恐怖支配する斧手のモーガン、道化の異名を持つバギー海賊団船長バギー、“鷹の目”と呼ばれる世界最強の剣士ミホーク、さらには魚人で編成された海賊団の船長アーロンなどなど…原作にできるだけ寄せたキャラクターたち(正直、実写化すると漫画より数倍怖い…)が起爆剤となって、本作をスペクタクルな作品として大いに盛り上げていることも特筆しておこう。

(文/坂田正樹)

Photo:Netflixオリジナルシリーズ『ONE PIECE』独占配信中