『ドクター・フー』15代目ドクターが歴史的な理由とは?

英人気SF長寿ドラマシリーズ『ドクター・フー』の15代目には、Netflixの青春コメディドラマ『セックス・エデュケーション』のエリック役や世界中で大ヒット中の映画『バービー』への出演で知られるンクーティ・ガトワが決定している。米Colliderが、他とは違う15代目が歴史的な理由を説明している。

黒人かつクィアのドクターが誕生!

シーズン14より登場する15代目は、本シリーズの60年にわたる歴史において初となる黒人というだけでなく、初のクィア・ドクターとなる。これまでに『ドクター・フー』は多様性の面で遅れを取ってきたことは事実で、シーズン13にしてジョディ・ウィッテカー演じる女性ドクターが、ようやく誕生した。

過去のシーズンでは、LGBTQ+を公言しているキャラクター、ジャック・ハークネスとイアント・ジョーンズの関係が描かれ、女性キャラクターのマダム・ヴァストラとジェニー・フリントがパートナーになる展開も描かれた。しかし、彼らの関係は最終的にストーリー上の隅に追いやられたり、シーズン後半に登場したりして重要な役割を担うことはなかった。そういった点を踏まえれば、この番組で黒人かつクィアのドクターが主人公になるとは、非常に画期的だと言えるだろう。

それに、タイム・ロードと呼ばれる種族のドクターが、転生で体を新しく変えることにより何百年も生き続ける設定を考えると、常に異性愛者で在り続けるのは非現実的かもしれない。その長い人生のなかで、同性に恋をしていないほうが不自然に思えるからだ。

ついに15代目でクィアのドクターが誕生したことで、『ドクター・フー』はそのニッチな切り口により、時空を超えた冒険を親しみやすく人間的な要素と結びつけることで、さらに幅広い視聴者に共感してもらえる可能性が広がった。番組は大胆な新しい方向性を打ち出しながら、将来的により多様なキャラクターやストーリーへの扉を開いてくれそうだ。

シーズン14にはンクーティのほか、14代目ドクターとして復帰する10代目のデヴィッド・テナント、シーズン4&5でコンパニオンのドナ・ノーブル役を演じたキャサリン・テイトが復帰。『ママと恋に落ちるまで』のバーニー役でお馴染みのニール・パトリック・ハリス、『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られるインディラ・ヴァルマが新キャストとして参加する。

『ドクター・フー』の60周年記念エピソードとシーズン14は、英BBCにて2023年11月に放送開始。(海外ドラマNAVI)

Photo:Twitter(@bbcdoctorwho)