25年前のエミー賞でリミテッドシリーズ部門を揺るがした『フロム・ジ・アース』騒動の真相とは?

現在、エミー賞やゴールデングローブ賞では、1シーズンで終了のドラマシリーズや、1シーズンごとに設定やキャラクターが変更されるアンソロジー作品のために、リミテッド/アンソロジーシリーズ部門が設けられている。しかし、今とは大きく事情が異なっていた25年前、米HBO製作の『フロム・ジ・アース[人類、月に立つ]』というミニシリーズを巡って、ちょっとした騒動に発展したという。一体、何が起きたのだろうか。

当時は、TV映画として認識されていた

1998年に放送された『フロム・ジ・アース』は、アポロ計画の全貌を12話にわたって描いたミニシリーズ。米Varietyによると、今でこそ本作は普通に“リミテッドシリーズ”として見なされるが、25年前に“ミニシリーズ”は複数回にわたって放送されるTV映画として認識されていた。その代表的な作品として、1970年代に放送された『ROOTS/ルーツ』などがある。

よって、HBOが『フロム・ジ・アース』をミニシリーズとして放送することを決めたとき、地上波4大局の幹部らは、2~3カ月にわたって全12話のシリーズを毎週日曜日に放送する本作をミニシリーズとは見なさず、憤慨したという。

この事態を議論するために、なんと放送局と主要なTV番組・映画のプロデューサーらが集まり、「The Coalition for Emmy Fairness(エミー賞公正連合)」と銘打った匿名グループを結成。Daily Variety誌をはじめとする業界紙に広告を掲載し、連合が主張する要点をまとめた概要書まで作成されたそうだ。

その概要書には、「HBOは少なくとも1年間、“ミニシリーズ”という大きな嘘をバラ撒いてきた。HBOの動機は哀れなほど見え見えだ。まさに、エミー賞とそれが生み出す話題はHBOにとって命綱であり、過去5年とは違い、今年は有力なTV映画賞の候補がなく、『フロム・ジ・アース』で受賞を狙っているのだろう」と綴られている。

連続したストーリー構成が必要

連合は、「ミニシリーズ」は全体的に連続したストーリーで構成されていなければならず、『フロム・ジ・アース』は単体のエピソードから成っていると主張。しかし、エミー賞を主催する国際TV芸術科学アカデミーは、最終的に『フロム・ジ・アース』に連続性があると判断。トム・ハンクスをはじめとするプロデューサーが全編を監修し、宇宙開発競争の時系列的なストーリーラインが複数のエピソードにわたって描かれていたからだ。その結果、『フロム・ジ・アース』はエミー賞ミニシリーズ部門作品賞にノミネートされ、見事に受賞を果たした。

なお現代では、最初はミニシリーズとして製作された『ダウントン・アビー』や『ビッグ・リトル・ライズ』といった作品が、賞のミニシリーズ部門で候補になったり受賞したりした後にシーズン2へ更新されるケースがあり、そちらの方が問題視されているようだ。(海外ドラマNAVI)