3月31日(金)より配信スタートしたAmazon製作の新作ドラマ『パワー』。本作には、原作には描かれていないトランスジェンダーの女性キャラクターが登場するのだが、その誕生秘話を原作者が明かしている。
Amazonの新作ドラマ『パワー』
ナオミ・オルダーマンの同名小説をドラマ化した『パワー』は、世界各国を舞台に繰り広げられるスリラー作品。現代社会を生きる10代の少女たちが、突如として意のままに人を感電させる力を身につける。ロンドンやシアトル、ナイジェリアから東欧に至るまで、少女たちの疼きから始まるパワーバランスの完全な逆転を描く。
ドラマ版は原作にかなり忠実に脚色されているが、小説では描かれていないキャラクターが登場する。修道女でトランスジェンダーのシスター・マリアだ。演じるのは、南米チリ出身で映画『ナチュラルウーマン』や『ワンス・アポン・ア・タイム:おとぎ話はハッピーエンド!?』などに出演しているダニエラ・ベガ。
他の少女たちと同じく電気を発生させる能力を持つ彼女は、「神の力で特殊なパワーを得た」と信じる他のキャラクターにとってポジティブな存在であり、またジェンダーについてストーリーやキャラクターを掘り下げる伸びしろの広さも象徴している。
原作者が語るシスター・マリアの誕生秘話
米Cinema Blendの取材で原作者のオルダーマンが「小説の設定を変えることになっても、世界が変化を求めて声を上げている時に状況改善に貢献できることを嬉しく思っている」と述べ、次のようにシスター・マリアの誕生秘話を語った。
「ここ数年で読者やファンから指摘されているように、この小説にはインターセックス(中間的な性)のキャラクターは出てきますが、トランスジェンダーのキャラクターは登場しません。この本を書き始めたのは2011年で、(当時は)トランスジェンダーの不在について考えていませんでした。その後に小説について、“トランスジェンダーのキャラクターを登場させてください”と願うファンと素晴らしい会話の場を数多く持ってきたのです。ですから、本作でトランスジェンダーの役者である素晴らしいダニエラが、シスター・マリアを演じてくれて本当に嬉しく思っています。本作では彼女の物語を掘り下げ、ネタバレにならない程度に言うと、エストロゲン(女性ホルモン)が体内にあると電気のもつれが発生するんです。つまり、トランスジェンダーの女性は“女性”なのです」
またオルダーマンは、小説よりも多様性あふれるキャラクターが揃ったドラマ版について、「多様性を取り入れることが出来たのは、とてもエキサイティングなことだと思います。特に多様な背景を持ち、様々な分野にいるキャストと話をするようになってからは、“さあ、みんなの経験を全部ここに取り込みましょう”という気持ちになりました」とも語っている。
多様なキャラクターが描かれる『パワー』は、Amazon Prime Videoにて毎週金曜日に新エピソードが配信。(海外ドラマNAVI)
Photo:Amazon Original 『パワー』©Amazon Studios