最悪の映画として知られる『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』、タランティーノのおかげで30年後にやっと再評価

1993年に公開された『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』でハリウッドから追放されてしまった監督たち。しかしクエンティン・タランティーノが汚名を晴らす手助けをして、やっと再評価されたとVarietyが伝えている。

最悪の映画リスト常連だが…

4月28日より劇場公開される話題の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。遡ること30年前の1993年に、同キャラクターを実写映画化した『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』が公開されたが、歴代最悪の映画と評され、監督ロッキー・モートンとアナベル・ヤンケルはハリウッドから追放されてしまった。

ボブ・ホスキンス(『フック』)とジョン・レグイザモ(『ジョン・ウィック』)がマリオとルイージを、デニス・ホッパー(『イージー・ライダー』)がクッパ、サマンサ・マシス(『ビリオンズ』)がプリンセスを演じた『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』は興行収入での結果が悲惨だっただけでなく、数々の史上最悪の映画リストの常連に。しかしここにきてその風向きが変わり始めているようだ。

そのきっかけは名匠クエンティン・タランティーノが所有する劇場New Beverly Cinemaで3月11日に同作が夜間上映されたこと。ヤンケルと共に劇場に足を運んだというモートンは「10人か20人くらいいたらいいなと思ってたんだ。でもぎっしり満員だった。追加のチケットを求めて列を作っている人もいたよ」と驚きをVarietyに告白。

上映中の観客の反応について「意図していたすべての場所で笑ったり、手を叩いたりしていた。彼らは皮肉でそうしていたんじゃない。本物だった」と話した。「まるで映画祭にいるようだった」と加えるヤンケル。「名誉を回復されていた。30年間抱えていた嫌な思いが一晩にして払拭された」

撮影開始前から困難が多かった『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』

土壇場での書き直しや製作陣と監督間での衝突など、製作段階から暗雲が立ち込めていたという『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』。「主要撮影の初日まで2週間に迫っていたのに、脚本が完全に書き換えられた」というモートン。「製作陣は僕が脚本家と話すことを許さなかった。でもある晩、彼を呼び出したんだ。だって信じられないほどのセット、モンスター、人工装具などをすべて作り上げていたから。だから言った“君は何がすでに用意されていて、何を脚本に残すべきかを知るべきだ。なぜならすでに予算をこれらのものに費やしたんだから”ってね。僕が彼と連絡をとったことを知った製作陣は完全に激怒して、ものすごく非難されて、恐かった」

「もちろん役者たちはみんな元々の脚本で契約を受けていた。新しい脚本が来て、アナベルと僕は新しい脚本を正当化しなければならなかった。僕らは、それが素晴らしいというふりをしなければならず、役者たちもこれでいこうと説得しなければいけなかった」と撮影段階でいざこざがあったことを明かした。

任天堂も製作に参加して作り上げられた『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』とはまったくの別物であることは間違いないが、これを機会に『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』を見直してみるのもいいかもしれない。(海外ドラマNAVI)

【配信情報】

4月7日時点で、『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』を配信しているVODはなし。

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Photo:『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』©Mary Evans/amanaimages