長年、アメリカではテレビ俳優と映画俳優では格が違うと言われてきた。しかし、テレビドラマの質の向上や配信サービス主体のドラマシリーズ製作が進んだことで、映画界からテレビ界へカムバックしているスターたちがいる。オスカー受賞のレジェンドから超大作で知られるベテランまで、テレビがキャリアの転機となったスター10人を紹介。(米Colliderより)
ドラマがキャリアの転機となったスターたち
ドリュー・バリモア『サンタクラリータ・ダイエット』
ドリュー・バリモアは、わずか7歳の時に大ヒットSFファンタジー映画『E.T.』に出演。その後、90年代後半から00年代前半にかけてキャリアを復活させるまで、大役を掴むことに問題を抱えたことはなかった。00年代に入ると、ドリューは監督やプロデューサーとしても活躍の場を広げたが、役者として出演した作品ではかつてのような人気を集めることは難しくなっていった。
そんな状況を変えたのがNetflixオリジナルシリーズ『サンタクラリータ・ダイエット』(2017〜2019年)。突如としてゾンビになってしまう不動産会社勤務の妻シーラを3シーズンにわたって演じた。この作品で彼女は高い評価を得て、コメディの名手として再認識されることになった。
ダニー・デヴィート『フィラデルフィアは今日も晴れ』
1975年『カッコーの巣の上で』で映画デビューを果たしキャリアをスタートさせたダニー・デヴィートは、ドラマ作品とコメディ作品の両方で才能を発揮してきた。80年代から90年代にかけてはAリスト俳優と言われるまでの地位を築いたが、00年代以降はメジャーシーンでの活躍が減っていた。
一方で、2005年にスタートした『フィラデルフィアは今日も晴れ』(2005年〜)は、シーズン2で「大物スターを起用しなければ打ち切りにする」と言われていたという。そして、起死回生のために起用されたのがダニーであり、結果的に双方が最良の結果を得ることができた。
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ケヴィン・コスナー『イエローストーン』
1985年の西部劇『シルバラード』でブレイクしたケヴィン・コスナーは、俳優としても監督してもアメリカ映画界に欠かせない存在になり、80年代後半から90年代にかけて大作へ続けて出演し一世を風靡したが、興行面の反応は徐々に鈍くなっていった。
ケヴィンは長きにわたり主演を務めてきたが、脇役としても存在感を放つようになり、2013年の『マン・オブ・スティール』では主人公のスーパーマンことクラーク・ケント/カル=エルの父ジョナサン役を演じた。その後、彼は改めて西部劇を開拓し、現在出演中の『イエローストーン』(2018年〜)では牧場主の主人公ジョン・ダットン役を熱演している。
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キルステン・ダンスト『FARGO/ファーゴ』
1994年『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の吸血鬼役でブレイクしたキルステン・ダンストは、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』3部作や、ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』、『マリー・アントワネット』などに出演し、2000年代前半に一躍スターとなる。しかし、その後出演した『メランコリア』や『ミッドナイト・スペシャル』などは作品の質が世間の評価には繋がらなかった。
そんな彼女の転機となったのが、サスペンスコメディ『FARGO/ファーゴ』(2014年〜)シーズン2への出演。彼女はこの作品でエミー賞にノミネートされ、キャリアに再び火をつけることとなった。
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マシュー・マコノヒー『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』
1996年『評決のとき』が出世作となったマシュー・マコノヒーは、ハリウッドの新星として法廷ドラマから青春コメディまであらゆるジャンルの作品に出演して演技の幅を見せる。しかし、00年代以降はありきたりなラブコメへの出演が続き、キャリアは停滞しているようだった。
そんな状況を打破すべく、マシューは2010年代初頭頃からよりドラマチックな役柄へとシフト。なかでも、米HBOの『TRUE DETECTIVE』(2014年)では、精神的に不安定だが深く哲学的な刑事ラスティン・コールを演じ、エミー賞にノミネートされた。
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マーティン・シーン『ザ・ホワイトハウス』
70年代に大物監督と組んで爆発的に売れたマーティン・シーンのキャリアは、80年代後半から90年代にかけて下降線を辿ることに。その状況を変えたのが、1999年にスタートした政治ドラマ『ザ・ホワイトハウス』(1999〜2006年)だった。
彼が演じたジェド・バートレット大統領という役は当初小さな役になる予定だったが、脚本のアーロン・ソーキンがパイロット版の彼の演技を見て登場シーンを増やしたのだという。結果、彼は7シーズンの間でエミー賞に5度ノミネートされ、見事にキャリアを盛り返したのだ。
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カール・アーバン『ザ・ボーイズ』
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『スター・トレック』シリーズ、『ボーン・スプレマシー』、『マイティ・ソー バトルロイヤル』など、カール・アーバンは映画界で名脇役としてキャリアを築いてきた一方で、『ジャッジ・ドレッド』や『プリースト』などで主演を演じることもあったが、いずれも成功とは言い難いものだった。
だが、Amazon Prime Videoの異色ヒーロードラマ『ザ・ボーイズ』(2019年〜)で主人公ビリー・ブッチャーを演じると、このキャラクターがポップカルチャーのアイコンのような存在となり、作品も大ヒット。主演としても成功できることを示した。
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ジェシカ・ラング『アメリカン・ホラー・ストーリー』
70年代に頭角を現したジェシカ・ラングは、80年代から90年代にかけて『トッツィー』や『ブルースカイ』、『ケープ・フィアー』などでキャリアを築き、オスカー像も手にした(『トッツィー』で助演女優賞、『ブルースカイ』で主演女優賞)。
ヒットメイカーのライアン・マーフィーは、『欲望という名の電車』で彼女の演技を見て『アメリカン・ホラー・ストーリー』(2011年〜)で彼女のための役を作ったという。この作品で、ジェシカは新たな世代のファンを獲得することになった。
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キリアン・マーフィ『ピーキー・ブラインダーズ』
『28日後…』でブレイクしたキリアン・マーフィーは、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』3部作や『インセプション』に出演し地位を確立。しかし、優れた作品に出演していても、キャリア初期以来主演を務めることからは遠ざかっていた。
そんな彼が再びカメラの中心に立つことになったのが、英BBCの時代物ギャングドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』(2013~2022年)だ。キリアン演じるトミー・シェルビーはテレビ史上最も象徴的なキャラクターの1つとなった。そして、今年公開予定のノーラン監督の新作映画『Oppenheimer(原題)』でも主演を務める。
ウィノナ・ライダー『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
ウィノナ・ライダーは80年代後半から90年代にかけて『ヘザース/ベロニカの熱い日』や『シザーハンズ』、『17歳のカルテ』などで強烈な印象を残し、映画界を代表する俳優になった。しかし、2001年に窃盗事件を起こして逮捕されたことで、しばらくスクリーンから離れることに。
2006年に復帰すると、『スター・トレック』や『ブラック・スワン』といった大作にも参加していたが、『ストレンジャー・シングス』(2016年~)に起用されるまで主要キャラクターを務めることはなかった。同シリーズで彼女は再び脚光を浴び、新生代のファンにもスターであることを認識させた。
(海外ドラマNAVI)
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Photo:『サンタクラリータ・ダイエット』© Netflix. All Rights Reserved./ダニー・デヴィート©JW/Famous/『イエローストーン』(C)2018 Viacom International,Inc./『FARGO/ファーゴ』Twitter(@DunstUpdates)/『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』Twitter(@HiddenYorkshire)/『ザ・ホワイトハウス』Twitter(@Freelineorlando)/『ザ・ボーイズ』©Amazon Studio/『アメリカン・ホラー・ストーリー』(C)Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved./『ピーキー・ブラインダーズ』Netflixにて独占配信/『ストレンジャー・シングス 未知の世界』Netflixにて独占配信