『対峙』銃乱射事件の加害者の母を熱演!『ハンドメイズ・テイル』アン・ダウド“キャリアベストアクト”の声も!

高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による緊迫の対話を描く『対峙』。2月10日(金)より劇場公開となる本作より、『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の“リディアおば”ことアン・ダウドが魅せる、銃乱射事件の加害者の母親としての苦悩の一端を切り取った本編映編が解禁となった。

『対峙』とは

アメリカのある高校で生徒による銃乱射事件が発生し、多くの同級生が死亡。犯人の少年もそのまま校内で自ら命を絶った。それから6年、事件で息子を殺された“被害者”の両親と、事件を起こした“加害者”の両親が、セラピストの勧めで対面することになる――。

ほぼ全編に渡って主要キャスト4人による密室の会話劇という斬新でチャレンジングな設定ながら、英国アカデミー賞をはじめ各国の映画賞81部門でノミネート、釜山国際映画祭フラッシュフォワード部門観客賞をはじめ各国の映画賞43部門で受賞。Rotten Tomatoesでは、批評家95パーセント・観客90パーセントFRESH(1月16日時点)という最高級の評価を獲得している。

監督を務めるのは、映画『キャビン』などで知られる俳優出身のフラン・クランツ。これが初監督・初脚本作品とは思えない緻密な脚本と演出により、密室4人の限られた設定ながら、どんなスリラーにも勝る衝撃的なほどの緊迫感に満ちた物語に仕上がった。不寛容やリアルな人間関係の希薄さが問題視される現代社会で、<被害者と加害者の対話>という極めて重くセンシティブなテーマを圧倒的な臨場感と手に汗握るスリルをもって描き切る、まさに今見なければならない傑作が、ついに日本上陸!

『ハンドメイズ・テイル』のアン・ダウドの演技に注目

そんな本作で、海外ドラマファンがぜひ注目したいのは加害者の母親リンダだ。『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』で“胸クソ”すぎるリディアおばを演じたアン・ダウドがこの役を担当。同ドラマで2017年のエミー賞で最優秀助演⼥優賞(ドラマ部門)を受賞し、ゴールデングローブ賞にもノミネートされ、『ヘレディタリー/継承』などでも知られる演技派だが、本作で衝撃的な事件の犯人となり同時に失ってしまった息子への愛を捨て去ることができない母親としての苦悩を全身全霊で演じきった。

映画をいち早く鑑賞したマスコミ関係者からは「アン・ダウドのベストアクト」という声も挙がるほど。4人の卓越したアンサンブル演技に高い評価が集まる中でも、ダウドは単独で8つのもの助演女優賞を受賞したほか、英国アカデミー賞の同賞にもノミネートされた。

劇中、「息子さんについて何もかも全て話してください」とついに切り出した被害者の母親ゲイル(マーサ・プリンプトン『シングルパパの育児奮闘記』)の求めに応じ、リンダは息子の幼い頃からの様子や母親として感じていたことを静かに語り始める。この本編映像は、リンダが感じたという息子の“変化”の兆しを語り始める様子を捉えたもの。「変化のきっかけは転居でしょう」と口にするが、事件後リンダと離婚をしたリチャード(リード・バーニー『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)はすぐさま「でも何が一番影響したか分からない」と強い口調でそれに被せるように告げ、この後もリチャードは一つひとつリンダの考えを否定する言葉を繰り返す。

このシーンのリンダの言動だけでも困惑や諦め、期待、哀しみ…と感情が目まぐるしく変わっていく様子がありありと伝わってくる。リンダとリチャードの関係性のみならず、息子がいた頃の“家族”の姿をも想像せずにはおれない痛ましさもにじむシーンだが、そんな中、被害者の両親としてついに分かるかもしれない新事実を聞き逃すまいと注意深く耳を傾けるゲイルとその夫のジェイ(ジェイソン・アイザックス『スター・トレック:ディスカバリー』)の姿も印象的だ。この4人の“対峙”の行方が気にならずにはおれない映像になっている。

本編映像の後には、リンダが今にも泣き出しそうな悲痛な表情で告げる「私は人殺しを育てた」というショッキングな言葉で幕を開ける日本版予告も収録しているので合わせてチェックしてほしい。

TVシリーズ『ドールハウス』などに出演し、本作で自身の脚本による念願の監督デビューを飾ったフラン・クランツは、当初、リンダを演じる俳優について他の3人ほど明確なイメージを思い浮かべることができずにいたという。しかし、キャスティングのエージェントから送られてきた候補者リストの中にダウドの名前を見つけ、「どうして今まで気づかなかったんだ、と思ったんです。もちろん、アン・ダウドに決まっているじゃないかって」と振り返る。さらに、「一瞬にして感情を出せる俳優がいるけれど、アンはそのうちの一人なんです。彼女はリンダの悲しみを類まれな形で表現できる人でした」と称賛する。一方、3人の子どもを持つダウドには当初少し懸念もあったよう。ダウドは、「撮影の間、これほどの深い悲しみの中で生きられるものだろうかと考えました。最初はそのことに圧倒される気持ちも少しあったけど、この役を演じられることはとても名誉なことだとわかっていたし、リンダが立派な人だと心から思ったのは、彼女がやさしさを失わなかったから。そして、リンダは自分自身を守るために、高くて強固な壁を立てるようなことをしなかったのです」と振り返っている。

『対峙』は2月10日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。(海外ドラマNAVI)

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』はHuluで配信中。

Photo:『対峙』© 2020 7 ECCLES STREET LLC