『ゲーム・オブ・スローンズ』イリーン・ペインを演じたロックスターが死去

米HBOにて2011年より8シーズンにわたって放送された大ヒット大河ファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で首切り人のイリーン・ペインを演じたウィルコ・ジョンソンが逝去した。享年75。米Entertainment Weeklyが報じている。

ブルース・ロックバンド、ドクター・フィールグッドのギタリストとして知られ、英国のパンクロックの礎を築いた一人であるウィルコは、10年前に医師から末期がんと宣告されていた。今月23日(水)、ウィルコの公式Twitterアカウントが以下のような声明を発表している。

「このような発表は決して行いたくありませんでしたが、非常に心苦しいながらもお伝えします。ウィルコ・ジョンソンが亡くなりました。11月21日の月曜日に自宅で息を引き取りました。悲しみに暮れるご家族のプライバシーを尊重していただきたく存じます。ウィルコ・ジョンソン、どうぞ安らかに」

ウィルコは数十年にわたる音楽活動に加え、『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン1に3話、シーズン2の1話と計4話にわたって、舌を切り取られたために口がきけない首切り人のイリーン・ペイン役でゲスト出演。セリフがないにもかかわらず強烈な存在感を放っていた。同作出演がプロの俳優として唯一の経歴だった。

同作にはウィルコ以外にも多くのミュージシャンがカメオや脇役で登場。シンガーソングライターのエド・シーラン、コールドプレイのウィル・チャンピオン、スノウ・パトロールのギャリー・ライトボディ、シガー・ロスのメンバーなどが出演していた。

ジョン・ウィルキンソンという本名を持つウィルコは1947年に生まれ、イギリスのキャンベイ島で育った。ニューカッスル大学でアングロサクソン文学を学んだ後に学校の教師として働いていたが、1971年に友人たちとドクター・フィールグッドを結成。「きちんとした格好をして、火星に行くとか言ってるこの辺のほかのバンドとは違って、俺たちは安物の服を着た銀行強盗みたいだった」とウィルコは2013年に語っている。そんな独特のルックスとブルース・ミュージックのスタイルですぐにイギリスのパンク・ムーブメントを盛り上げ、1976年にリリースした3枚目のアルバム「殺人病棟」が全英のアルバムチャートで1位を獲得。CBSレコードと契約し、アメリカでツアーを行うようになる。しかし1977年、バンドメンバーとの緊張が高まったことからウィルコはバンドを脱退。その後、イアン・デューリー率いるブロックヘッズでも活動していた。

そんなウィルコは2012年、膵臓がんと診断される。当時すでに末期だと告げられていたが、抗がん治療を断り、ツアーに出たりザ・フーのロジャー・ダルトリーとアルバム「Going Back Home」をレコーディングしていた。その当時のことを彼は以下のように語っていた。「突然、もう何も重要でない立場にいることに気づいた。普段の私は税金の支払いや現実の様々なことを思い悩む惨めな人間だったが、(末期がんと宣告されたことで)それがいきなりどうでも良くなったんだ」

がんの専門医であるファンが協力を申し出てくれたことから2014年、ウィルコは腫瘍を除去するための手術を受けた。その後、自身の名を冠したウィルコ・ジョンソン・バンドで音楽活動を続けていた彼は、2018年にアルバム「Blow Your Mind」をリリース。同グループは先月半ば、自国で開催されたイベント、Planet Rock Rocktoberでヘッドライナーを務めていた。最後までロックスターらしく人生を終えたウィルコの冥福を祈りたい。

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参考元:米Entertainment Weekly

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(2022年11月時点での情報です)