史上最高額予算!『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』主要キャスト4人に直撃「本作はどんな世代でも楽しめる」

J・R・R・トールキンの長編小説「指輪物語」を実写化した大ヒット映画シリーズ『ロード・ オブ・ザ・リング』の米Amazonによるドラマ版『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』。映画版よりも前の時代となる、第二紀の中つ国を舞台にした前日譚シリーズで、すでにシーズン2への更新も決定している話題作がついに配信開始。ニュージーランドでの撮影中にパンデミックが襲い、長期間自国の家族とも会えない状況で深まった絆と伝説の映画の前日譚となる本作への想いについて、4人の主要キャストが語ってくれた。

TVシリーズ史上最高額の10億ドル(約1370億円)もの予算がかけられた前代未聞の超大作『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』。主要キャストも超大作にふさわしくその数、20名を超えるが、今回そのうちの4人、ケレブリンボール役のチャールズ・エドワーズ(『ダウントン・アビー』)、ブロンウィン役のナザニン・ボニアディ(『HOMELAND』『カウンターパート/暗躍する分身』)、ポピー役のメーガン・リチャーズ(『Doctors(原題)』)、エレンディル役のロイド・オーウェン(『アポロ18』)に直撃インタビュー!

左から ケレブリンボール役のチャールズ・エドワーズ、ブロンウィン役のナザニン・ボニアディ、ポピー役のメーガン・リチャーズ、エレンディル役のロイド・オーウェン

 

――まず初めに、この作品に参加することが決まった時の心境をお聞かせください。

チャールズ:とても興奮しました。ただ、どんな役を演じるのかがわかったのは、翌日だったので、それが判明して実感が湧きもっと嬉しくなりましたね。

ナザニン:私はオーディションに何カ月も要しました。そして、決まったという知らせを受けた2週間後には、ニュージーランドに飛んでいました。とてもエキサイティングでしたね。

メーガン:キャストの中には、この仕事が決まって急にロケに向かった人もいましたよね。私もとても嬉しかったですし、泣いたり叫んだり飛び上がったりしました(笑)

ロイド:私だけじゃなかったのか、泣いたり叫んだりしたのは! メーガンありがとう、そう言ってくれて!

全員:(笑)

ロイド:私も同じような過程でした。私もこの役が決まってから3週間後にはニュージーランドに飛んでいました。とてもワクワクしました。そして、(ニュージーランドでは2020年から国境封鎖されており)18カ月もの間、ロックダウンされている時で、ホテルでの隔離中にiPadをもらってそれで台本を読みました。ホテルはとても快適でしたよ。

 

――この作品は20名以上もの主要キャストに数えきれないくらいのエキストラとスタッフで構成されている超大作ですね。最初のうちはそれぞれの話が描かれるので、キャラクター同士の接点はあまり見られないかもしれませんが、このような超大型プロダクションに参加してみて、いかがでしたか。

メーガン:素晴らしかったです。みんな、気持ちよく私を迎え入れてくれました。

私は(ホビット3種族の一つである)ハーフットの一人を演じていますが、ローラというムーブメントコーチの元で、ハーフットのブートキャンプもやったんです。彼らはどんな風に動くのか、どんな性格なのか、どういう生活をしているのか、どんな家族と一緒にいるのかということを学ぶセッションがたくさんありました。ハーフットは種族のみんなと遊牧して彼らだけのコミュニティの中で生活しているので、そのようなことを理解するのはとても大切だと思いました。

チャールズ:プロダクション自体は大きいですが、ストーリーの最初のうちは2、3人としか一緒に撮影する機会はないので、休憩時間にもっと多くのキャストと過ごしました。

 

――撮影の時にパンデミックになり、2年近くもの間、自国にも帰れずニュージーランドから出られないという状況になったと思います。そのような大変な中で、キャストやスタッフとの仲は深まりましたか。

ロイド:通常、私たちの仕事の場合、一定期間撮影すれば自国へ帰ります。ですが、今回はみんながニュージーランドに留まらないといけなくなりました。イギリス人の私から見たら、ニュージーランドは地球の反対側ですからね。家族も友人もいません。ですので、仕事の仲間が自然と強い絆で結ばれた家族や友人になっていきました。全員が小さい村の住人、近所の人のようね。みんなとそのような時間を過ごせて、とても光栄でした。それに、このような大きなプロジェクトに関われるのは初めてだという想いを全員が持っていたので、その点もありがたかったです。

――本作に登場するそれぞれの素晴らしい衣装について少しお聞かせください。個人的にはケレブリンボールのガウンが肌触りも着心地も良さそうなので好きですが、(エレンディルが身につけるような)鎧もカッコよくて素敵です。衣装制作では、視聴者に伝わらないかもしれないような細かい工夫やポイントがあるように思います。みなさんの衣装について裏話などあれば教えてください。

チャールズ:そうですね。私のガウンはベルベット調でとても着心地がいいですよ。でもマントが重いんです。私が歩くシーンを撮るたびに、マントがガサガサと音を立てるので、撮影中は何度もやり直しすることになりました。しかも雨が降るとあのマントはさらに重くなって、もっと音を立てるようになるんです。それで引きずらないようにするため、実は裾の方を切っているんです。

それから、おっしゃったように、パッと見たら気がつかないような細かい描写もあります。熱心なトールキン・ファンだったら気がつくかもしれませんが、私の衣装の首の下あたりには、ひいらぎの葉(Holly Leaves)のデザインが施してあります。それはケリブリンボールがいる場所が、柊郷(Hollin)と言う名前で知られているからなんです。

ロイド:実は私の鎧は何種類もあって、色々試着しました。アクションシーンでは動きやすい鎧を身につけているのです。画面では同じように見えると思いますが(笑) 実際には2、3着同じようなものを持っているんです。

セレモニー用のものはテクスチャーがあり硬い素材ですが、アクションシーンはそれでは無理です。戦う時のものはもっと動きやすい簡素な素材のものなんです。現実に昔の人が着ていた鎧もそうなんですが、時間が経つに連れてその鎧は着やすくなって、フィットする感じになるんですよ。それで、どんどん戦いやすくなるのです。最初のうちは鎧であざや傷ができるんですが、そういったものも減っていくんです。

メーガン:ハーフットの衣装はもっとラクですね。気がつきにくいかもしれないですが、実はハーフットの衣装にはりんごの種がついているんです。りんごの種はこれまでに亡くなった仲間の象徴で、キャラクターによってその種の数が違うんです。コスチューム・デザイナーのケイト・ホーリーのおかげで、素晴らしい衣装になっています。

ナザニン:私はハンドメイドの素敵なブーツを履いています。でも、(長いドレスを着ているので)なかなか見えにくいですね。撮影の間は、毎日そのブーツを大事に想っていました。

――素晴らしいですね。色々ありますね。これは大きな画面で見ないといけませんね。

全員:そうですね!

――もっと大きなテレビを買わないといけないかもしれません。

全員:爆笑

ロイド:とりあえず携帯で見るのだけはダメですよ(笑)

 

――本作は映像クオリティーも素晴らしいですからね。続いて、ショーランナーのパトリック・マッケイは以前、「11歳や12歳のような子どもも含め、誰もが楽しめる作品を作りたい」と話しています。昨今では、過激なものが多く家族で楽しめる作品を見つけるのはなかなか難しいですが、私個人としては子どもと一緒に見られるということで、本作をとても楽しみにしています。みなさんが思われるこの作品の良い点は、どのようなところでしょうか。

チャールズ:おっしゃった点を踏まえて話しますが、子どもというのは怖いものを見たがるものです。私自身、小さい頃クッションで覆いながら父親と色々な作品を見てきました。年齢制限で見てはいけないくらい小さかった時に、父親が映画『ジョーズ』の劇場にこっそり連れていってくれたことも覚えています。

ロイド:その頃から、(大きな子どものフリができて)チャールズはもう俳優ですね!

全員:

チャールズ:でもあまり子どもが見るにふさわしくない過激なシーンがある時は、父親が私の目に手を覆い被せて、見えないようにしてくれたんです。

全員:あーー、はいはい!(あるある!とうなずく)

チャールズ:そういうことが子どもにとっては楽しい経験だと思います。本作も、11歳なら全然問題なく楽しんで見られますよ。もっと小さい子どもでも大丈夫かもしれませんね。

ロイド:(原作の)トールキン作品は、日曜日の夜におじいちゃんおばあちゃんから孫までそろって家族で見られるようなものです。そもそも「ホビットの冒険」は児童文学として書かれており、その後、長編小説の「指輪物語」が作られましたからね。トールキン作品とは誰もが楽しめるものなのです。

グリム童話でもそうですが、物語ではよく邪悪なものが描かれます。ですがトールキンの描く世界には、最後にはその邪悪なものへの答えがあるのです。(キャラクターが)邪悪なことに打ち勝って元気になる部分も見られますしね。

ナザニン:世代を超えて男女も関係なく誰もが楽しめますし、自分と共感できるキャラクターがきっと出てくるのではないかと思います。どんな人にも見てもらえる、それがこの作品の素晴らしいところだと思います。

――最後の質問です。全シーズンの撮影が終わったら、もらって帰りたいと狙っているお気に入りの小道具はありますか。

全員:爆笑(ロイドだけ真剣な顔で考える)

ロイド:エレンディルの鎧と剣を受け取った思い出深い日に、スタッフからこう言われたんです。「ロイド、とりあえず言っておくけれども、この剣はこのプロダクションで、一番大きなものだ。他の誰もこんなに大きな剣は持っていないから」と。だから、この剣が欲しいと思いました。でも、ものすごく大きいんです。それで持ち逃げできませんでしたよ。

全員:爆笑

ロイド:まあ、実際手元にあっても使い道はないですがね(笑)

チャールズ:私は金の巻物ですね。大変気に入っているんです。まだ持って帰ってはないですがね。

――まだこの先も物語は続きますからね。(すでにシーズン2の製作は決まっており、シーズン5まであると言われている)

メーガン:そうです。まだまだ使わないといけないですから(笑)

 

――本日はありがとうございました。シーズン2のプレミアではぜひ日本にもお越しください。

全員:もちろんです!ぜひ行きましょう!

『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』は、9月2日(金)よりPrime Videoにて独占配信開始

 

(取材/文:Erina Austen)

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(2022年9月時点での情報です)

Photo:『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』©Amazon Studios