『トップガン』コンビが、Netflix『スパイダーヘッド』で人体実験の恐怖に迫る!

米作家ジョージ・ソーンダーズの短編小説を基に、人体実験の恐怖を描いたSFスリラー『スパイダーヘッド』。人間の感情をコントロールすることが「地球に平和をもたらすんだ!」とほざく暴走マッドサイエンティストをクリス・ヘムズワース(『マイティ・ソー』シリーズ)が怪演し、平和どころか、人間を外側から内側から破壊しまくるクレイジーぶりに終始ハラハラさせられる。その一番の餌食になるのが、現在公開中の映画『トップガン マーヴェリック』で精鋭パイロット役を務めたマイルズ・テラーだ。

『スパイダーヘッド』あらすじ

近未来、孤島に佇む最新機能を備えたスパイダーヘッド刑務所。天才科学者スティーヴ(クリス)が管理するこの施設では、人間の感情を操作する薬の治験が秘密裏に行われていた。薬を投与された者は自分で感情の抑制ができず、欲望をむき出しにしたり、耐え難い恐怖を感じたり、さまざまな症状が生じ、最悪の場合は死に至ることも。そんなある日、過去の罪に苦しむ囚人ジェフ(マイルズ)が治験参加を志願。だが、危険な人体実験が繰り返される中、彼は徐々にスティーヴの“真の目的”に疑問を抱き始める…。

メガホンをとるのは、『オブリビオン』『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー監督。これはあくまでも推測だが、マイルズの体の仕上がり具合を見ると、『トップガン』をきっかけに彼のスキルの高さに惚れ込んだコシンスキー監督が本作のキーパーソンとなる役に引き抜いたのではないだろうか(違ったらごめんなさい)。サイコパス化していくクリスの圧力を受けて立ち、薬によって誘発されたいろんな感情をあそこまでリアルに体現するためには、俳優として相当の力量が必要だが、マイルズは見事にコシンスキー監督の期待に応えた。

『トップガン』コンビがNetflix『スパイダーヘッド』で人体実験の恐怖に迫る!

ジョセフ・コシンスキー監督とマイルズ・テラー

自分の罪を許せず苦悶する囚人の葛藤、私利私欲に走る科学者の暴挙、そして二人の間に生まれる歪み…。ジェフのように「自分を許す薬なんてない、未来は自分次第なんだ!」と噛みつく男が出現しなかったら、スティーヴの思惑通りことが進み、開発された薬が国家組織の手に渡り、コントロールされた国民は生まれながらにして“感情の呪縛”を味わうことになっていただろう。そう考えるとゾッとする物語だが、そこはエンタテインメント映画。ジェフが体を張って悪を阻止するという王道の展開が用意され、極上のスリルが味わえる。それにしてもクリスの狂乱ぶり、あれはちょっと尋常じゃない…。

映画『スパイダーヘッド』はNetflixにて配信中。

(文/坂田正樹)

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Photo:Netflixオリジナル映画『スパイダーヘッド』