第94回アカデミー賞国際長編映画賞&脚本賞にノミネートされ、第74回カンヌ国際映画祭では女優賞を受賞したノルウェー発の話題作『わたしは最悪。』。本作で監督を務めるヨアキム・トリアーのコメントと本編映像が到着。マーティン・スコセッシやスパイク・リーのこと、そして本作のタイトルに込めた想いについて語っている。
目次
『わたしは最悪。』あらすじ
主人公は学生時代は成績優秀で、アート系の才能や文才もあるのに「これしかない!」という決定的な道が見つからず、いまだ人生の脇役のような気分のユリヤ。そんな彼⼥にグラフィックノベル作家として成功した年上の恋人アクセルは、妻や母といったポジションをすすめてくる。
そんなある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、若くて魅⼒的なアイヴィンに出会う。新たな恋の勢いに乗って、彼女は今度こそ自分の人生の主役の座をつかもうとするのだが―。
『わたしは最悪。』キャスト
ユリヤを演じるのは、これが映画初主演となるレナーテ・レインスヴェ。⼦どもの無邪気さと愚かさ、大人のずるさと賢明さが混在する年代の感情の揺れ動きを、繊細かつ大胆な演技でグラデーション豊かに表現。本作で映画界の未来を担う存在へと躍り出た。
アクセル役は、『パーソナル・ショッパー』『ベルイマン島にて』のアンデルシュ・ダニエルセン・リー。レナーテを輝かせながらもアクセルの視点から見れば、もう1 本の作品が成立するほどの情感のこもった演技で魅了する。アイヴィン役には、主にコメディ作品で高い人気を誇るノルウェーの俳優ヘルベルト・ノルドルム。
ヨアキム・トリアー監督とは
ヨアキム・トリアーは、鮮烈な長編デビュー作『リプライズ』(05)、<ゆらめく炎>を現代に翻案した『オスロ、8月31日』(11)、そして『わたしは最悪。』(22)など“オスロ3部作”とも呼ばれるノルウエー・オスロを舞台にした作品を撮り続けていることでも知られている監督。
そのことについてトリアー監督は「オスロやスカンジナビア北部では、“日射し”がとても特別なんだ。本作の(マイク・ミルズともタッグを組む)撮影監督のキャスパー・トゥクセンはデンマーク人なのに、オスロの日射しにびっくりしていた。デンマークはノルウェーからそれほど遠くないのにね」とオスロ独特の<光>が自分の作品にとても重要なポイントであることを理由にあげている。
「マーティン・スコセッシやスパイク・リーの映画を見る時は、彼らが見せるニューヨークのそうした特別感を見たい。映画監督として、なじみ深い土地があるというのは映画における贈り物だよ。撮影して観客に見せることができるんだから」と、アメリカの社会、その街の空気を特徴的に捉えることでも知られる名監督たちを例に、「オスロは僕にとって、まさしくそうした存在なんだ。映画におけるその土地ならではの特別な感覚というのを愛しているんだ」と明かした。
自らの心のままに次々と恋人が変わっていく本作の主人公ユリヤの姿は、インターネット、ソーシャルメディア、デート・アプリの時代における愛と関係について何かを表現しているのか?と問われた監督は「イエスもノーも成り立つね」と答える。
「僕たちは選択肢がとても多い時代に暮らしていて、結局はたくさんの人々が選べなくなり、何を選べばいいかわからないと感じているんだ。長期に渡るパートナーを見つけるには複雑な時代である。だけど、前向きな点もあるよね。一種の自由なんだから。現代の女性は結婚する必要も、ある程度の年齢で⼦供を持つ必要もないから。その一方で、僕たちはみんな恋愛において成功しなければという、大きなプレッシャーを感じている。難しいよ」
また、「親密さと関係に向き合ったユリエは本作全篇を通じて、自分が失敗作のように感じている。“世界で最悪の人間『The Worst Person in the World(原題)』”のようにね」と、自分の心に正直でありたいと望むがゆえに、“恋愛に奔放な女性”に見えてしまう複雑な現代恋愛事情を劇中のユリヤを通して言及。
『わたしは最悪。』本編映像が解禁
いろんなことをモヤモヤ模索、<何者かであろうともがく>ユリアを切り取ったシーン映像も解禁。「本作の冒頭で、彼女はすでに自分は失敗作だと感じていることがわかるけれど、彼女はその時、30歳にもなっていないよね。そして社会には、彼女が⻑期に渡る関係を築き、子どもを持つことを期待されているんだ」と監督は語る。
Sea Room lynnと『わたしは最悪。』がスペシャルコラボレーション
<海と都会が好きな“凛”とした女性のためのライフスタイルブランド>をコンセプトとして掲げ、ミレニアル世代女性に圧倒的な人気を誇るD2Cレディースブランド Sea Room lynn(シールームリン)と『わたしは最悪。』のスペシャルコラボレーションも決定!
期間中、全国8店舗展開しているショップの店頭にて、特別版のビジュアルポスターを限定展⽰。また7月1日(金)から数日間限定で、映画とブランドがコラボレーションしたオリジナルデザインのトートバッグを購入者限定でプレゼント!
“最悪”な本音が“最高”の共感を呼ぶ『わたしは最悪。』は、7月1日(金)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ他にて全国順次ロードショー。
(海外ドラマNAVI
Photo:『わたしは最悪。』© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-Reel ‒ ARTE FRANCE CINEMA/2021