現在、日本でも大ヒット公開中のディズニー映画『ライオン・キング』。ディズニーの名作アニメーションを、実写もアニメーションも超えた"超実写版"映像により進化させた同作の映像は、「本物の動物たちが喋ったり動いているようにしか見えない」として観客たちを驚かせているが、そんな作品が完成した背景には製作陣が行ったサファリ旅行があったという。
生命あふれるプライドランドの世界を映し出した映像には、主人公シンバの声を務めたドナルド・グローヴァーも驚きを隠せない様子。彼は俳優のほか、アーティストのチャイルディッシュ・ガンビーノとしても活動しており、彼のアイデアを生かしたミュージックビデオもリアルで衝撃的だと評判だ。そんなドナルドですら本作の映像には脱帽している。「もう本当に素晴らしくて感動的なんだ。最高の映像としか言いようがないよ。映画を宣伝したいからとか、みんなに興味を持ってもらいたいから言っているんじゃなくて(笑)、本心で言っているんだ。彼らがどうやってこの映像を作ったのかということにも心の底から感動したし、技術的にどのように撮影したのかという部分だけでも感動したんだよ」
本作の製作に入る前、製作陣はCGで作られた完璧な世界ではなく、目の前の映像が自然なシーンに感じ取れるような映像を求め、はるか彼方のアフリカまで足を運んだ。監督のジョン・ファヴローを含む製作スタッフは、ケニア全体を視察する2週間の旅行へ出て、その場の自然環境や、ライオンからハイエナまでアニメーション版に登場する全ての動物を直に観察したそうだ。砂漠の砂、高くそびえ立つ山々、太陽光のゆらぎ、そしてライオンをはじめとした動物たちの歩き方や脚の太さ、おなかの膨れ具合、彼らにたかっているハエの数に至るまで、あらゆる点を観察した彼らは、ケニアで撮影した本物の世界をロサンゼルスに持ち帰り、その素材を参考にしながらVRでの製作を進めたのだ。
その後、彼らはバーチャル・スタジオを作り、バーチャル・リアリティのヘッドギアを被ってその世界をさまよいながら、どこから光を当てるか、どの位置にキャラクターを置くか、カメラアングルをどうするか、といった風にして、その世界があたかも現実に存在するかのように撮影を進めていったという。実際のアフリカを徹底的に分析し、あらゆるシーンを自然へ近づけたことによって、実際に存在していると錯覚してしまうほどにナチュラルな『ライオン・キング』を完成に導いたのだ。監督をはじめ、コンセプトアートを創るアーティスト、技術専門家、実写撮影のプロ、シーンに合う動物たちの自然な行動や動きや表情を付け加える最先端のアニメーターから成るチームが抱いた、目の前に広がる光景が本物だと信じてもらいたい、という熱い気持ちが、この超実写版の世界を叶えたのである。
ファヴロー監督といえば、2016年の『ジャングル・ブック』でゼロから巨大なジャングルの世界を創り上げたことでも知られる。そんな彼が再び手腕を発揮した『ライオン・キング』では、シンバがくしゃみをする様から、ヌーの大群の暴走、様々な生き物によるサークル・オブ・ライフ(生命の循環)、迫力あふれるファイトシーンまで、あらゆる場面をそれぞれの動物の体型や動きに基づいた形で観ることができる。
本作は公開2週目を迎えた8月19日(月)時点で、国内興行収入は33億5435万円、動員は236万人を突破、週末動員ランキング1位に輝き、堂々と"キング"の座を飾った。まだまだ勢いが衰えることのないその圧巻の映像美を、ぜひ映画館の大きなスクリーンで堪能してほしい。(海外ドラマNAVI)
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『ライオン・キング』
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