あるシーンで汚い言葉のオンパレード!?『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』アンディ・ムスキエティ監督インタビュー

スティーヴン・キングの人気小説「IT」がついに完結する。ホラー映画歴代興収ナンバー1を記録した『IT/イット "それ"が見えたら、終わり。』の続編『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』が、本日11月1日(金)より公開中だ。それに合わせて、前作に続いてメガホンを取り、「進撃の巨人」ハリウッド版を手掛けることも決まっているアンディ・ムスキエティ監督のインタビューをお届けしよう。写真撮影の時から本編で登場する小道具を使ったりしてノリノリだったアンディと、プロデューサーとして彼を支える姉のバルバラ・ムスキエティに、傑作ホラーの生まれた背景を語ってもらった。

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――本作では原作をベースとしながらも、ビルの妻オードラの描写や時代設定が変わったりといった脚色が加えられています。原作を尊重しながらも、以前も映像化されたことのある作品で自分の色を出すことのバランスをどのように取っていたのですか? カメオ出演しているスティーヴン・キングと話し合ったりされましたか?

アンディ:脚本では、原作を映画化する上で必要な部分を変化させたんだ。別にスティーヴンから助けてもらったりはせず、脚本家のゲイリー・ドーベルマンと僕で仕上げていった。

バルバラ:スティーヴンもそこは理解してくれていたわ。悲しいことだけど、小説をそのまま映画化することはできないもの。アンディは原作を尊重しつつ、いい映画を作ったと思うわ。

アンディ:原作のスピリットは大事にしたよ。でも小説と映画は異なる言語みたいにまったく違うものだからね。だから、変えなければいけないところがあったんだ。

バルバラ:例えば、原作だとラストで彼らの故郷であるデリーが大きな被害を受けてしまうのよね。私たちはその部分を描く必要はないと思ったから変更したの。

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――小説を読みながら漠然と感じていた恐怖が本作で見事に映像化されていて驚いたのですが、この脚本を書く上でどんなことをインスピレーションにされたのですか?

アンディ:ビジョンは自分の中からしか生まれない。"IT"の化身は小説からは大きく変わっているよ。例えば、スタンリーは壁にかかっているフルートを吹く女性の絵を怖がるけれど、あれは僕自身がアメデオ・モディリアーニの絵を見た時にいつも抱く恐怖心が元になっているんだ。その絵をスタンリーの父親のオフィスに飾り、ちょっと傾けさせる。すると、強迫神経症の気があるスタンリーは怖いけれど、ついついその絵を真っすぐに直したくなってしまうんだ。

バルバラ:アンディは自分の中にいる"子ども"とすごくつながっているのよ。

アンディ:たしかに幼い頃に怖かったものはよく覚えているね。『双頭の殺人鬼』『地球最後の男 オメガマン』といった怖い映画をよく見ていたから、想像力が養われたんだろう。だから、いつも最悪の展開を考えてしまうんだ。特にお化けに関してはね。

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――監督は"ルーザーズ・クラブ"の子役たちに、自分たちが普段使わない言葉は劇中でも使わないでほしいとリクエストしたとか?

アンディ:子どもたちにリクエストしたのは、「1980年代らしい言葉で話してほしい」ということだよ。とはいえ、舞台は1980年代の終わりだから、今とそこまで違わないと思うけど。

バルバラ:本作は大人向けの作品だから、汚い言葉を使ってもいいって伝えたの。すると子どもたちは最初こそ恥ずかしがっていたんだけど、しばらくするとノッてきて汚い言葉のオンパレードになっちゃって(笑) 汚い言葉なしでは短いセリフも言えないくらいにね。

アンディ:Fワード満載だったね。

バルバラ:特にエディ役のジャック・ディラン・グレイザーね(笑)

アンディ:彼はすごく早口だから、5秒の間に10個以上も汚い言葉が言えてしまうんだ。ある時なんかお母さんが乱入しちゃったよ(笑)

バルバラ:あれは即興でいじめっ子をけなしてもらった時だったわね。アンディから「君たちは怒っているんだ! その感情を言葉で表現してくれ!」と言われて、ジャックがなんとCワードを口にしたの。それを聞いて周りは唖然よ。子どもたちの演技を母親たちが近くで見ていたんだけど、その時にジャックのママが駆け寄ってきて彼の肩を掴むと、「その言葉は言っちゃダメ!」って言ったのよね(笑)

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――"ルーザーズ・クラブ"の子どもたちが成長した姿を演じるキャストにはどんなリクエストをされたのですか?

アンディ:大人たちに頼んだのは一つだけで、それは「子役たちの演技をよく見ておいて」ということなんだ。彼らが演じるキャラクターの子ども時代と同じ身のこなしやボディランゲージをしてほしかったからね。だけど、どのくらい子ども時代の動きを反映させるかは俳優に任せたよ。

ただ、エディ役のジェームズ・ランソンには具体的なリクエストをしたね。子ども時代を演じるジャックが1作目でやっていた特徴的な仕草、手をピンと立てるジェスチャーをやってもらったんだ。あと、ベバリー役のジェシカ・チャステインにも、子ども時代のソフィア・リリスがよくしていた手の動きを取り入れてもらったよ。ソフィアはキャリアがまだ浅いからか、演技をしている時に手をどうすればいいのか悩むみたいで、よく両手を組んでいたんだ。それをジェシカもやってくれているよ。

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――アンディさんとバルバラさんは20年以上にわたり、映画やCMで一緒に仕事をされているそうですね。同じようにきょうだいで仕事をしているコーエン兄弟(『ノーカントリー』『ファーゴ』)は、初期はジョエルが監督、イーサンが製作と肩書は分かれていたものの、実際はまるで二人で一人かのように監督と製作を共同でこなしていたそうです。あなたたちは『MAMA』では原案と脚本を一緒に手掛けてもいますが、お二人の仕事の分担はどうなっているのですか?

バルバラ:私たちは家族だからお互いを100%支え合っているけれど、仕事は別々よ。アンディは根っからの監督で、私はプロデューサーなの。私自身は監督業に興味はないし。書くことは好きだからまた近いうちに一緒にやりたいけど。アンディもプロデューサーには向かないわね(笑)

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Photo:

アンディ&バルバラ・ムスキエティ
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
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