テイラー・スウィフト書き下ろしの曲もお気に入り!『レ・ミゼラブル』監督が贈るミュージカル映画『キャッツ』インタビュー

ロンドンを舞台に個性豊かな猫たちの一夜を描き、1981年にロンドンで初演されて以来、全世界での累計観客動員数8100万人、日本公演通算1万回を記録するなど、今なお世界中で愛されるミュージカルの金字塔を実写映画化した『キャッツ』が、本日1月24日(金)より公開! メガホンを取ったのは、日本でも大ヒットを記録したヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画『レ・ミゼラブル』や、アカデミー賞で主要4部門に輝いた『英国王のスピーチ』でも知られるトム・フーパー監督。そんなフーパー監督と、主人公ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードの直撃インタビューをお届けしよう。

『キャッツ』はもともと、T・S・エリオットの詩集を元に、「オペラ座の怪人」「ジーザス・クライスト=スーパースター」「エビータ」などの大ヒットミュージカルを生んだ巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲を手掛けた人気ミュージカル。そのロイド=ウェバーが作曲家・製作総指揮として参加した本作では、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルであるフランチェスカが、映画初出演となった本作で小柄で華奢な肉体からは想像もできないような力強い踊りと美しい歌声を披露している。ほかにも、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェームズ・コーデン、レベル・ウィルソン、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランなど、映画界と音楽界から才能あふれるキャストが集結。『レ・ミゼラブル』と同じく現場での生演奏が収録されており、圧巻のパフォーマンスが展開する。

日本語吹替え版でも、葵わかな、山崎育三郎、高橋あず美、秋山竜次(ロバート)、森崎ウィン、大貫勇輔、藤原聡(Official髭男dism)、そして大竹しのぶと、多彩な面々が顔をそろえている。

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――天皇ご一家や日本語吹替え版でヴィクトリアの声を担当する葵わかなさんもいらしたという試写会はいかがでしたか?

フランチェスカ:皆さんにお会いできてとても光栄だった。実は土曜の夜にロンドンでロイヤル・バレエ団の公演に出ていたの。その後、日曜の朝に飛行機に飛び乗って、月曜の夜には日本で天皇ご一家と試写会でご一緒しているなんて、なんだか不思議な気分だったわ。でもワクワクする体験だったし、皆さんに作品を気に入っていただけて嬉しかった。そして、わかなさんの素晴らしいパフォーマンスを見て、可愛らしいご本人とも会うことができて心温まる機会になったわ。

フーパー監督:とても光栄だったよ。天皇陛下は前のめりになってご覧になっていて、劇中のジョークや音楽に反応していらしたね。上映後には「本当に素晴らしかった、とても楽しんだ」と満面の笑みでおっしゃっていただけて本当に誇らしかった。また、ご一家で楽しんでいただけたことも嬉しかったね。本作は家族向けの作品だから。

その後も歓談の機会があって、T・S・エリオットが学んだオックスフォード大学のマートンカレッジに陛下も皇太子時代にいらしたそうで、僕も同じ大学だったからそのお話に花が咲いたよ。『レ・ミゼラブル』の試写会で以前お会いした時にいただいた本などについてもお話することができたんだ。1984年に『キャッツ』の舞台版をご覧になっていたとも聞いたよ。

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――これが映画初出演のフランチェスカさんは踊りだけでなく歌も披露されていますが、出演されてみていかがでしたか?

フランチェスカ:すべてが新鮮だったわ。歌も、オーディションも...。

フーパー監督:(隣のフランチェスカに向かって)オーディションは前から受けていただろ?

フランチェスカ:ロイヤル・バレエ団では演出家たちがキャスティングを決めるからオーディションは受けていないの。それに人前で歌うなんて初めてだったから緊張したわ。現場に入ってからも右も左も分からない状態で、スタッフの間で交わされる専門用語も知らなかった。そんな中で、カメラの位置を意識しながらパフォーマンスをして、名匠のトム・フーパー、そして名優のジュディ・デンチやイアン・マッケランと一緒に仕事ができて、とても勉強になったわ。ただ、自分が得意とするゾーンから飛び出して新しいことに挑戦するという意味では、私だけでなくキャスト全員がそうだったと思う。例えば、バレエダンサーなのにタップダンスにチャレンジしたりね。おかげで現場はとても団結していたわ。

フーパー監督:(フランチェスカに向かって)インタビューに答えるのがうまくなってきたね。

フランチェスカ:ありがとう(笑)

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――監督がフランチェスカさんを起用した理由を教えてください。

フーパー監督:起用した理由は...(フランチェスカを手で示して)見れば分かるだろう?(笑) この配役は大きなチャレンジだったよ。なぜなら、トップクラスのダンサーであり、歌も歌えて、演技もできる人が必要だったからね。フランキー(フランチェスカ)があまりにも素晴らしいので、第2候補は彼女とは実力がかけ離れていた。彼女が出てくれたからこそ、本作は完成したと言っても過言ではないんだ。

彼女は世界で最も偉大なダンサーの一人であり、素晴らしい才能の持ち主でもある。本作で一緒に仕事をした後、フランキーの公演を2度観に行ったけど、ダンサーとしての直感が突出している。中でも凄いのは、カメラに対する直感の鋭さだ。カメラに向かってどう動けばいいのか、どう振る舞えばいいのか、本能的に分かっている。撮影が進むごとに彼女の才能の凄さが明らかになったよ。それこそジュディやイアンと同じくらいに観る者を惹きつける力があると思う。

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――フーパー監督は、1981年に初めてロンドンで上演された舞台版を8歳の時にご覧になってすっかり気に入り、その後はテープで何度も楽曲を聴いていたそうですね。映画版でも書き下ろしである「ビューティフル・ゴースト」をはじめ、皆さんのパフォーマンス&ダンスが印象的でしたが、特にオススメの曲は何ですか?

フーパー監督:もともと「マキャヴィティ」は大好きな曲なので、テイラーが出演を承諾してくれて嬉しかったね。そして、鉄道猫のスキンブルシャンクスの曲は子どもの頃はあまり好きじゃなかったんだが、本作ではスティーヴン(・マックレー)が昔の名作にオマージュを捧げたような見事なパフォーマンスを披露してくれたのでお気に入りの一つだよ。あとはやはり「メモリー」も挙げないわけにはいかないね。今でもあのシーンを観るたびに涙がこみ上げるんだ。「ビューティフル・ゴースト」も、本作のために書き下ろされたこともあって思い入れの強いナンバーだ。フランキーがとても美しく、情感たっぷりに歌ってくれているしね。テイラーが書いてくれた歌詞も素晴らしい。

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――本作はかつてアニメ化する話が出ていたものの、技術の進歩によりようやくこのタイミングで実写として映像化できたそうですね。監督はあるインタビューの中で実写にこだわった理由は元になったT・S・エリオットの詩が人を猫にたとえたものだからとおっしゃっていましたが、それについてもう少し詳しく教えていただけますか?

フーパー監督:T・S・エリオットの詩は第二次世界大戦開幕直後の1939年に出版されていて、猫になぞらえて人間のことを書いているんだ。だから、アニメーションとして完全な猫として描くのではなく、人間の姿を残す必要があった。そうでないと、詩に込められた大事な要素がすっかり抜け落ちてしまっただろうからね。

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――舞台版のファンも多い『キャッツ』をこれからご覧になる方へのメッセージをお願いいたします。

フーパー監督:まずお伝えしたいのは、これが5歳から85歳まで楽しめる家族向けの作品であること。僕自身が幼い頃に楽しんだように、童心に返って楽しんでもらえればと思うよ。舞台版のファンには、本作がアンドリューとコラボしており、舞台版に忠実に沿った作品であることを理解してもらえれば嬉しいね。そして初めて『キャッツ』の世界に触れる方には、映画的な壮大な体験としてロンドンの街並みやダンス、楽曲を味わってもらいたい。

本作の吹替え版は世界に二つしか存在しないんだが、その一つが日本語吹替え版なんだ。日本の方々は歌詞を重視すると聞いているので、ヴィクトリアたちの歌をフランキーたちが歌った字幕バージョンのほか、同じく日本の豪華な顔ぶれが集う吹替え版バージョンも楽しんでもらえればと思うよ。

あと、これはとても映画館向けの作品なので、ぜひ劇場の大きなスクリーンで観てほしい。タブレットやスマホじゃなくてね。

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『キャッツ』オリジナル字幕版と極上吹替え版は、1月24日(金)より全国公開。
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Photo:

トム・フーパー監督とフランチェスカ・ヘイワード
© Kazuhiko Okuno
『キャッツ』
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