オスカー俳優トム・ハンクスでさえ大苦戦したシーンとは?『この茫漠たる荒野で』

ポール・グリーングラス監督・脚本の映画『この茫漠たる荒野で』が2月10日(水)よりNetflixで独占配信されている。同作では、ベテラン俳優のトム・ハンクスでさえ「かなり過酷」と語るほど、リアリティにこだわり抜き、危険な場所で銃撃戦シーンの撮影を敢行していたという。

本作は、1860年代に起きた南北戦争終結後の、まだ情勢が不安定なアメリカ南西部の荒野を舞台に、本来なら出会うことすらなかったであろう男と少女の人生を変える旅を描く。各地でニュースを読み伝える仕事をする退役軍人キッド(トム・ハンクス)と、家族を失い外の世界に怯える少女ジョハンナ(ヘレナ・ゼンゲル)の絆を結ぶ旅が感動的だ。

1994年と1995年に2年連続でアカデミー賞主演男優賞を受賞(『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』)したトム。昨年のゴールデン・グローブ賞では、長年の映画界への貢献と演技力の高さが称えられ、生涯功労賞にあたるセシル・B・デミル賞を受賞した。そんな彼が本作では、グリーングラス監督とともにリアリティにこだわり抜き、厳しい自然の中での撮影にも挑んでいる。

そんな過酷な撮影の中でも、ありとあらゆる難役に挑んできたトムをして「かなり過酷だった」と言わしめたのが、何者かに追われたキッドとジョハンナが、山の頂上に追い詰められたところで始まる銃撃戦のシーン。「撮影は丘の斜面にある岩の裏側という、危険と隣り合わせの場所で行われた。我々は岩の上によじ登り、岩陰に隠れ、膝を擦りむきながら岩の間を駆け回った。やり直しのきかない撮影は緊張感に満ちあふれていた」と、過酷な撮影について振り返るトム。さらに、グリーングラス監督も「毎日のようにロープを使って山を登り、極めて厳しい条件下で撮影した」と、CG撮影を極力排し、リアルな現場での撮影にこだわったことを打ち明ける。

こうして生み出された銃撃戦シーンの出来栄えについて、グリーングラス監督は、「この息をのむ追跡劇は、映画の描写としてではなく実際に体験しているかのように感じられるものになっている」と自信を語る。旅を通じて心を通わせるキッドとジョハンナが互いに気遣いながら応戦するこのシーンでは、築き上げてきた信頼関係の強さが垣間見える感動的なシーンでもありながら、まるで実際に目撃しているかのような迫力に満ちたアクションシーンとしても完成されている。心震える人間ドラマだけでなく、臨場感あふれる銃撃戦にも注目だ。

南北戦争の終結から5年後。退役軍人のジェファソン・カイル・キッド大尉は町を転々としながら、大規模な抗争や壊滅的な大惨事、大統領や女王の近況から大興奮の冒険譚まで、世界各地の様々なニュースを読み伝える仕事をしていた。ある日キッドは、旅の途中で10歳の少女ジョハンナと出会う。6年前にネイティブアメリカンに連れ去られ、その一員として育てられたジョハンナは、英語もわからず、見知らぬ外の世界に困惑。見かねたキッドは実の叔父叔母の元へ彼女を送り届ける役目を引き受けることに。我が家と呼べる場所を求めて何百キロもの荒野を旅する二人は、人間と自然の両方から突きつけられる数々の厳しい試練に直面することになり...。

Netflix映画『この茫漠たる荒野で』は独占配信中。(海外ドラマNAVI)

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Netflix映画『この茫漠たる荒野で』