1988年に公開され、大ヒットしたコメディ映画の続編『星の王子 ニューヨークへ行く2』がいよいよ3月5日(金)よりAmazon Prime Videoにて配信スタート。緑豊かな王国ザムンダで新たに戴冠した国王アキームと彼の親友セミが、30 年以上の時を経て再びニューヨークへ。前作から引き続き、主演を務めるエディ・マーフィのインタビューをお届け。
『星の王子 ニューヨークへ行く2』は、前作の舞台でもあるニューヨークのクイーンズとザムンダを舞台に、まったく新しい陽気な物語を繰り広げるコメディ映画。前国王のジョフィ・ジャファ(ジェームズ・アール・ジョーンズ)、クイーン・リサ(シャーリー・ヘドリー)、クレオ・マクダウェル(ジョン・エイモス)、モーリス(ルーイ・アンダーソン)や、ファンにはおなじみの床屋の店員など、『星の王子ニューヨークへ行く』のオリジナルキャストが出演している。
――前作『星の王子 ニューヨークへ行く』から30年以上の時を経て製作された本作。どのようにして実現したのか教えてください。
もともと続編の製作は考えていなかった。第1作目の終わりがハッピーエンディングだったからね。けれども映画は愛され続けた。
映画というものは、大ヒットしてもせいぜい劇場で1~2カ月間しか公開されないけれど、その後は永遠に世に残る。そして『星の王子 ニューヨークへ行く』は人々が何度も繰り返し観るようなカルト映画となった。テレビで何度も再放送されて、ハロウィンになったらみんなが映画のキャラクターの仮装をするような。そんな映画は他になかった。誰もハロウィンに(『ビバリーヒルズ・コップ』の)アクセル・フォーリーの仮装なんてしない。その後、映画をテーマにしたハロウィンパーティーや結婚式なども頻繁に開催されるようになった。そういったことを知るにつれて、物語を発展させて続編を作っても良いのではないかと思うようになったんだ。30年経っているけれどやってみようじゃないかと。
そして、僕にアイデアがあったから、1作目の脚本家を集めて全体の構成や続編のテーマ、ストーリーの骨格を考えて、続編の構成が出来上がった。その後、『Black-ish(原題)』のクリエイターのケニヤ・バリスに脚本家として参加してもらった。『Coming to America-ish』を書いてもらうためにね。("Coming to America"は『星の王子ニューヨークへ行く』の原題)脚本を仕上げるのに4年かかったね。
――今回もアキームの他に様々な役を演じられていましたが、久しぶりに彼らを演じていかがでしたか?
アキームはメイクに6時間かからないから、役に戻るのは簡単だった。テレビの再放送などで目にすることも多かったから、どんな役柄だったかとか思い出す必要もない。他の役はメイクするために6時間座りっぱなしになるから大変だったね。他の映画でメイクに時間がかかる役を演じるたびに、「もうこんな大変な思いをする役は二度とやらない!」って周りに言うけれど、結局やるハメになるんだ(笑)
――懐かしのメンバーが勢ぞろいでしたが、久しぶりに撮影を行ってどうでしたか?
夢のようで、とても温かな気持ちになる体験だった。ヒットした映画に出演すると、後になってどこかで共演者と会った時に、「元気? あの映画は成功して楽しかったね!」のような会話を交わして、優しい気持ちになるものだけれど、普通は30年後に続編で再共演などしない。だから、今回は30年後にまた大好きな彼らと一緒に撮影することになって、タイムスリップしたような不思議な感覚に陥った。
懐かしいのはキャストとの再会だけではなく、キャラクターに関しても同じことが言える。メイクをしたアーセニオ(・ホール)の姿を見て、このキャラクターとまた共演する日がくるなんて本当に信じられなくて、感傷的な気持ちになったね(笑) そしてみんな情熱を持って撮影に臨んでいた。エキストラの役者たちもオリジナル作品が大好きな人たちばかりで、セットは良い作品を作ろうというクリエイティブな熱気であふれかえっていた。
――続編となる本作では、アキームとリサの子どもたちやイジー将軍(ウェズリー・スナイプス)、そしてアキームの息子とその家族が初登場しますが、彼らと共演していかがでしたか? また、娘ベラとの共演はいかがでしたか?
ウェズリーとは、映画『ルディ・レイ・ムーア』(2019)ですでに共演していた。その時がとても楽しかったから、今回も一緒に派手にやるのを心待ちにしていたんだ。トレイシー・モーガン、トレバー・ノア、ジャーメイン・ファウラー、レスリー・ジョーンズたちに関しては、僕がいつも製作や脚本家として関わる作品で様々な世代のコメディアンと繋がりたいと考えているところからの共演となった。若い世代の新鋭のコメディアンからはエネルギーをもらいたいし、年上世代のベテラン・コメディアンからは体験話を聞きたい。彼らとの共演はとてもためになる。
そして、ベラとの共演ではとても感傷的になってしまった。父親としては、すごく誇らしい気持ちだね。役者になりたくて真剣に演劇の学校に通っていた娘がオーディションを受けられるまで成長して、この作品で共演することができるなんて。セットで娘が良い演技をする姿を見ることができた。父親として最高に誇り高いよ。
――印象に残っているシーン、またはぜひここは見て欲しい!というシーンがあれば教えてください。
やっぱり最後の方で、僕が演じるランディ・ワトソンが登場するシーンかな。ランディ・ワトソンが一番のお気に入りのキャラクターだ。ヤツは本当にバカバカしい(笑) 上手くないのにノリノリで歌おうとするのが面白すぎて、僕の他の映画にも同じようなネタを入れているよ。あとランディ・ワトソンがマイクドロップ(パフォーマンスや演説の最後にマイクを落とす行為)を発明したって知っている? 世界で最初に『星の王子 ニューヨークへ行く』でやったんだ。彼は一番の推しだね。
――前作に引き続き笑わずにはいられないシーンがたくさんありますが、アキームを演じることの面白さや演じてみた感想などを教えてください。
アキームは今回僕が演じた中では一番やりやすいキャラクターだった。メイクに6時間かからないし、コスチュームを身につければ簡単に役に入り込める。他に何役も演じているから、そちらの方が大変でなにかと印象に残っている(笑)
――『星の王子 ニューヨークへ行く』シリーズで、アキーム以外で好きなキャラクターは誰ですか?
さっきの質問の答えと同じになってしまうけれど、やはりランディ・ワトソンだ。大好きだけれどメイクに6時間かかるから、それだけが欠点だな(笑)
――撮影中にあったハプニングなど面白い出来事があれば教えてください。
セットがコメディアンだらけで、シーンの合間も必ず何かあって笑いが起きていたから一つあげるのが難しいなぁ。だから映画の最後にNG集を入れたんだ。セットでおかしいことが起こりすぎて、本編に収録しきれなかったから。
ほんとに撮影中は、それはもう笑いの渦に包まれていて大変な騒ぎだったよ。あ、でもNG集に入っているけれど、アーセニオを間違って蹴り飛ばしたシーンが一番印象に残っているかもしれない。ちょっとだけ蹴るつもりが、力が入ってしまって...。撮影から2日経っても足がまだ痛かった。蹴られたアーセニオはもっと痛かっただろうな(笑) あのシーンを見返すたびに大笑いしてしまう。撮影したのが明け方の時間で、二人でちょっと変なテンションになっていたし、思ったより近くに彼がいて、間違って強く蹴ってしまった。こう言っておかないと、後で訴えられたら困るからね(笑)
――最後に本作の配信を楽しみにしている日本のファンへ、メッセージをお願い致します。
日本の皆さん、『星の王子 ニューヨークへ行く』や僕の他の映画を観てくれてありがとう。『星の王子 ニューヨークへ行く』が好きだったら、この続編も思いっきり笑って楽しめる内容になっているから、気に入ってくれるととても嬉しい。そして、観てもらえるのが待ちきれない。みんな、くれぐれも身体には気をつけて、安全に、健康で。(満面のエディ・スマイルで)またね!
『星の王子 ニューヨークへ行く 2』は、3月5日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信開始。
(海外ドラマNAVI)
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『星の王子 ニューヨークへ行く2』©Images courtesy of Amazon Studios