精神分析学の創始者ジークムント・フロイトがウィーンで起こる怪事件に挑むサイコスリラードラマ『フロイト -若き天才と殺人鬼-』について、クリエイターが見どころを語っている。
『フロイト -若き天才と殺人鬼-』の主人公、若き神経学者のフロイト(ローベルト・フィンスター『デッドリー・ハンティング』)は持論が周囲に認められずに失意に暮れ、コカイン漬けの日々を送っていた。だが、ある霊媒師が主催する交霊会に出席したことで、ウィーンに渦巻く殺人や陰謀、復讐といった人間の闇に引き込まれるように。彼は家政婦や戦争でトラウマを負った警部など周囲の助けを借りながら、革新的な理論を使って事件解決に乗り出していく―。
視覚的な美学が際立っている『フロイト』。撮影を計画中、ビジュアル的にどのような影響を受けたのか、クリエイターのマーヴィン・クレンが米Varietyのインタビューで語っている。
「番組の舞台はウィーンですが、撮影はプラハで行ないました。両都市の建築は似ていますが、プラハの素晴らしいところは、何年にもわたって大規模に改装されたウィーンとは異なり、歴史的な風格が残っているところです。そこでの撮影にワクワクしました。ですが、私の主なビジュアル的な影響はウィーンです。私はこの街で育ち、世界で最も美しい街のひとつだと自負しています。昼間は建築が美しいのが魅力ですが、夜は不気味な感じが漂っているのです。不吉で暗く、そんな街の影響を受けています」
そしてシリーズでは、持論が認められずにフロイトが医学界で孤立しているという設定で描かれ、すでに業界で確立した地位を誇る人々は、彼がもたらした変化を敬遠しているように見えるのだが、その点についてもクレンが答えている。
「それが、まさに私が説明しようとしたポイントなのです。まず、最初にフロイトは催眠術にフォーカスしましたが、催眠術はその時代の人々に人気がありませんでした。横たわっている患者の側に座っているフロイトの有名なイメージは、催眠術から方法論を発展させたのです。彼は心理学者のためにカウンセリングルームの配置の仕方を変更し、心理学者が患者と話す方法も変えたのです。
フロイトは自身の物語と伝記がどのように綴られるかをコントロールしていたことで悪名高く、私生活ではコカイン漬けでした。彼は裕福な家庭の出身ではなく、野心あふれる非常に知的なユダヤ人の医者でした。その当時、ウィーンの反ユダヤ主義は大きくなりつつあり、フロイトは潜在意識の考えに取りつかれていました。そういった点は、彼にまつわる重要な要素です。私たちは、社会で自分の居場所を見つけたいと思っている、この並外れた青年を生み出したのです」
全8話となる『フロイト -若き天才と殺人鬼-』は、BS12 トゥエルビで放送中。(海外ドラマNAVI)
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『フロイト -若き天才と殺人鬼-』©Jan Hromádko/Satel Film GmbH/Bavaria Fiction GmbH