年に一度のビッグ・イベント「エミー賞」、もうすぐ開幕!

9月16日(日)夜(日本時間17日早朝)に、ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムで行われる第59回エミー賞授賞式。ホストも『アメリカン・アイドル』の司会者ライアン・シークレストに決定し、ますます期待が高まっています!

そんな、海外ドラマファンにはすっかりおなじみのエミー賞。間近に迫った授賞式を100倍楽しむためにも、「エミー賞に関する基礎知識」を今一度おさらいしておきましょう!

「エミー賞」とは?

「エミー賞」は、アカデミー賞(映画)、トニー賞(演劇・ミュージカル)、グラミー賞(音楽)と並ぶ、アメリカエンターテイメント業界の権威ある賞。エミーを受賞することはテレビ業界における最高の栄誉とされています。

また、このエミー賞には大きく分けて3つの賞があり、1つは、全米テレビ芸術科学アカデミー(NATAS)が主催する《デイタイム・エミー賞》、2つめは、国際テレビ芸術科学アカデミー(IATAS)主催の《国際エミー賞》
そして最も注目度が高いのが、米国テレビ芸術科学アカデミー(ATAS)が主催する《プライムタイム・エミー賞》です。日本で「エミー賞」というと、一般的にはこの《プライムタイム・エミー賞》を指す場合が多いようですね。

エミー賞の始まり ~最初は「エミー」じゃなかった!?

エミー賞は、「テレビ業界にもアカデミー賞のようなアワードを」と考えたATAS創設者のシド・カシードにより提唱されました。

新たなアワードの名称として、カシードが当初選んだのは"アイク(Ike)"。「Ike」はテレビの受像管の通称です。しかし、時は第二次世界大戦が終わって数年後。当時のアメリカ人にとって"Ike"といえば、大戦の英雄でのちに大統領となるアイゼンハワーのニックネーム。戦争と政治を想起させるネーミングのため、カシードは命名をためらっていました。

そんなとき、NATAS会長のハリー・ルーベックから、その頃アメリカで開発され普及し始めた映像カメラの撮像管「イメージオルシコン」の愛称、"イミー(Immy)"と名付けては?という提案が。さらに、すでに決まっていたトロフィーのデザインが、翼を持ち、周囲を電子が駆け巡る原子を両手で抱える "芸術の女神"を模したデザインであったため、"Immy"を女性っぽくアレンジ。めでたく"エミー(Emmy)"という名称に決まった。こうして1949年1月25日、記念すべき「第1回エミー賞授賞式」が行われたのです。

どうやって選ばれるの?

エミー賞の授賞式は例年9月上~中旬、ノミネーションのアナウンスは7月上~下旬。では、ノミネートと受賞作品&受賞者はどのように決められるのでしょう?

基本的には、どちらも、1万2千人を超える米国テレビ芸術科学アカデミー(ATAS)のメンバーによって選ばれます。まずは選考委員がエントリーの中から候補を絞り、さらにATAS会員の投票でノミネーションを決定。そして会員は、各人の専門分野に該当する部門のノミネート作品を観た上で投票を行い、受賞作・受賞者を決める・・・という仕組み。

ちなみに、この方式は昨年度(第58回)から採用されました。選考方法の変更で、以前より保守的傾向が強まったといわれていますが、今年はどの作品・俳優がエミーに輝くのでしょうか!?

今年度の作品賞、その行方は!?

エミー賞の大トリ=ドラマシリーズ作品賞は、まさにエミーの華! 特に今年のノミネートは、日本でもすでにOAされ、親しみがある番組ばかり。例年以上の盛り上がりを見せることは必至です!

ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア

2000年以降、ドラマシリーズ作品賞に輝いた作品は『ザ・ホワイトハウス』(00-03)、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』(04)、『LOST』(05)、『24』(06)。

一方、コメディシリーズ作品賞は、『ウィル&グレイス』(00)『セックス・アンド・ザ・シティ』(01)、『フレンズ』(02)、『Hey!レイモンド』(03/05)、『アレステッド・ディベロプメント』(04)、『The Office』(06)・・・と、こちらも日本で人気のシリーズばかりが受賞しています。

ATAS会員が選出するエミー賞は、いわば「同業者が選ぶアワード」。番組自体のクオリティが重視されることはもちろんですが、長年続いたテレビシリーズへの「お疲れ様でした」の気持ちや、ビッグネームに対するリスペクトが反映されがち、ともいわれています。・・・そんな要素を考慮するなら、シリーズフィナーレを迎えた『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』が賞を総ナメしそうな予感・・・?

『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.

ライタープロフィール

平口雅世
テレビ・ラジオといったメディアをはじめ、インターネットサイトや紙媒体でも活動する"海ドラマニア"放送作家。自らが得意とする海外テレビシリーズ・映画のほか、旅行・スポーツ・美容・健康・報道系・・・と、幅広いジャンルの番組&コンテンツを担当・執筆。