【お先見!海外ドラマ日記】-末っ子はギーク!? 普通のようでそんなに普通じゃないファミリーのシットコム『the middle』(from LA)

米国では1940年代後半から、TV での製作が始まったシットコム。なかでもファミリーものシットコムは、その創世記から今に至るまで、無数に放映されてきた。短命に終わってしまうもの、10年続くヒット作など様々だが、ハデさや目新しさはなくても安定して支持されるシットコムはいつの時代にもある。2009年の秋から始まり、今週セカンドシーズンのフィナーレを迎えたABCの『the middle』(http://abc.go.com/shows/the-middle)も、そんなシットコムのひとつ。今年1月にシーズン3への継続が決定している。

そのタイトルが示すように、アメリカ中西部(midwest)にあるインディアナ州の田舎町に住むミドルエイジ(中年)に差しかかった主婦とその夫、3人の子供からなるミドルクラス(中産階級)の家族がメインキャラクター。人気シットコム『Hey! レイモンド』(1996〜2005年)のデブラ役で知られるパトリシア・ヒートンがその主婦フランキー・ヘックを演じている。今回の役は、デブラほどヒステリックじゃないけど、小・中・高校生の子供3人を抱え、家事と自動車セールスの仕事の両方をこなす母親として、どこか生活疲れして女を半分捨てている感もある。そんな飾り気のない普通っぽさが『レイモンド』よりもリアルでいい。また、時にはボケ役にもなり親しみを感じさせる。

ブルーカラー・ワーカーの夫マイク(ニール・フリン『Scrubs〜恋のお騒がせ病棟』)は、無骨で少し率直すぎるところもあるが、優しきパパ。ウチの中ではいつでもパンツ一丁でいる、勉強よりもスポーツの方が得意なイマドキの高校生の長男アクセル。不器用で何をやってもことごとく失敗するけどめげない、恐ろしくポジティブ志向な中学生の長女スー。そしてすごく利発だけど、大好きな本のつまった自分のバックパックが親友だと思っている風変わりな9歳の末っ子ブリック。彼ら5人家族と、それをとりまく人々が織りなすおかしな出来事でうまく30分(正味22分)を構成している。

パトリシア姉さん扮するタフな母親もいいが、なんといっても末っ子のブリックのキャラとそれを演じるアティカス・シェーファー君(アティカスは、映画『アラバマ物語』の主人公の名から)が飛び抜けて素晴らしい。まずその愛くるしいルックス(←すんません、すっかりオバちゃん目線で...)。決して美少年というほど顔立ちが整っているわけではなく、日本人俳優で言えば、子供の頃のえなりかずきを2.5倍くらいカワイくした感じか。とにかく、時おりみせるハニかむような笑顔にやられてしまう。

頭脳明晰でヘック一家の他の誰よりも理路整然と話すのだが、声は子供だからそのギャップがおかしい。一通り話が終わったところで、最後に言った単語を、ひとり言のように小声で囁くクセがあるのも変。アティカス君も実際、ブリックとよく似たところがあるとのこと。レゴ狂いでスター・ウォーズマニアなところなど、自身の嗜好がキャラに活かされている。

5月18日に放映されたエピソードでは、ブリックはある特定の橋がこわくて、車に乗ってでも渡れないという。母親フランキーが理由を聞くと、ある妄想から脅迫観念にとらわれていることを、説得力ある話しっぷりでとうとうと語る。なんとかその恐怖を克服させようと、両親はあの手この手をつくし、お金やアイスクリームのご褒美でつろうとするも、かたくなにその橋を渡ろうとしない。息子のあまりの頑固さにサジを投げかけたフランキーは、「彼があんなに頑固なのは、私たちの教育が悪かったわけじゃなくて、むしろよかったからよ。他人の意見に左右されず、強い意志を持った子に育っているじゃない」などと強引に前向きな解釈をし出す始末。

このシットコムが安定した人気を保っているのは、パトリシア・ヒートンの等身大キャラの魅力もさることながら、アティカス君のブリックが好きだからという理由も大きい。『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』http://www.superdramatv.com/line/bigbang/)のシェルドンが愛されているように、視聴者はギークなキャラが大好物なのだ。

このシーズンでは、『Hey! レイモンド』でデブラの義母マリー・バローンを演じたドリス・ロバーツ(今年81歳!)も3回ゲストで出ており、パトリシア・ヒートンと久々に共演しているのも見物。ブリックの担任の先生役なのだが、彼の教育を巡って親と教師のバトルになり、あれ、これどこかで見たような...なんて一幕も。ブリックが今後どうなっていくのか、もう今から秋のシーズン・プレミアが待ち遠しい。