『ALCATRAZ』を振り返って ホルヘ・ガルシアにインタビュー

2012102406.jpg1963年、脱獄不可能と呼ばれた監獄島"アルカトラズ"から忽然と消えた凶悪な囚人や看守たちが、現代によみがえって再び犯罪に手を染める...というミステリー『ALCATRAZ/アルカトラズ』。本作でアルカトラズ研究のエキスパート、ディエゴ・ソト博士を演じたのがホルヘ・ガルシアである。そのホルヘが、本作の舞台裏やアメリカのTV業界の今など、思うところを語ってくれました。

――J・J・エイブラムスとの仕事はどうですか? 彼は『ALCATRAZ』にどれくらい関わっているのですか?

今回も脚本の初期段階に関わっているのはもちろんのこと、各エピソードの編集が終わる前の段階でJ・J・はコピーを全て視聴しているよ。彼の立ち場は、作品に関する全てをコントロールするというのではなく「上から見守っている」という感じが近いね。もちろん何か問題が起きた場合は、解決するために全力を尽くしてくれる。そうだなあ、J・J・は「ネジ巻きおもちゃのネジのような存在」という表現が正しいと僕は思っているんだ。TVシリーズの場合は、彼がネジを巻いて、そこから自由に作品を放つといえばイメージが伝わるかな? そもそも彼は自分が集めたクリエイティブのチームが、J・J・印の作品のクオリティをしっかりと保ちながら送り出すことができるという絶対的な自信を持っている。だから隅から隅までコントロールする必要はないんだよ。

2012102401.jpgもちろんJ・J・は完パケになった作品も全部観ていて、メールなんかで『あの場面はよかったよね』などしょっちゅうコメントが送られて来るよ。彼と僕はそうだなあ、友達と呼べる関係だと思う。僕にメールが届くこともあれば、逆に彼の作品で気に入ったことや伝えたいことがあればすぐ感想をメールで送るんだけど、あっという間に返事がくるんだよ! J・J・がどんなに多忙なのはわかっているから、それは本当に嬉しく思っているし常に信頼関係を感じている。
ちなみにJ・J・の代表作の一つである『FRINGE』シーズン3にゲスト出演したのは、全くの偶然からなんだ!『ALCATRAZ』のパイット版の撮影をカナダのバンクーバーでやっていた時に『FRINGE』も同じバンクーバーで撮影をしているからと思って、『LOST』と『ALCATRAZ』、そして『FRINGE』のプロデューサーでもあるブライアン・バークに電話したんだよ。そうしたらとんとん拍子でそういうことになって(笑)。僕は『FRINGE』の大ファンだから、すごく楽しい経験だったよ。

――本作で共演したサム・ニールとサラ・ジョーンズのエピソードを教えていただけますか?

サラとは、本当に出会ってすぐに絆が生まれたんだ。役どころもパートナーだし、一緒に過ごす時間が一番長くなる相手だから相性がよければいいなと思っていたんだけど、本当に上手くハマったんだよ! お互いの間にケミストリーがすぐに生まれて、もうパイロット版を撮影している時から二人でいつもふざけあっていたね。例えば、サムが演じるハウザーが秘密が多そうな役なだけに、サラと二人ですごく楽しそうに笑ってるところにサムがくると『気をつけろ、ハウザーが来たぞ!』って感じで急にこそこそしたりして(笑)。大人が来た時の子どもみたいにね。舞台裏ではそんな風にそれぞれのキャラクターをいじるようなふざけ方を普段からしていたよ。でもね、実際のサムは有名な映画スターでとてもセレブなんだけど、すごく面白い人なんだ! 怖いところなんかちっともなくて、ハウザーとは真逆のキャラクター。全然似てないよ(笑)。そんな感じで、僕らは自然と現場ではよいチームワークを発揮できたと思う。
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――『LOST』で6年間同じ役を演じたので、タイプキャストされてしまう、といったような心配はありましたか? またそのタイプキャストから逃れようと作品を選んでいますか?

2012102403.jpg仕事を選ぶ際に重要なことは変わらない。まずストーリーが大切だ。僕を興奮させたり、怖がらせたり、感情を揺さぶるような何かがあって、どんなジャンルでもキャラクターが何かにどんどん巻き込まれていくような話は面白いね。僕は個人的な経験を役柄に反映させようとするタイプだから、ハーリーも他のどの役にも、どこかに僕自身が投影されていると言えると思う。そこを生かしながら全く別のキャラクターを演じることが楽しみでもあるんだ。みんなに愛されたハーリーに比べると、ソト博士はそこまでストレートな性格ではないところもあるしね! もともとソト博士はいわゆる学者タイプのキャラクターだったんだけど、その後、コミックブックも経営しているといったオタク的な要素が加えられたんだ。どの段階で脚本が変更されたかはわからないけど、エリザベス・サーノフが脚本をそういう風にリライトした際に『そのキャラならホルヘがぴったりだよね』と言ったのはJ・J・だった、ということは聞いているよ。

――アメリカのTV業界は、日に日に視聴率競争が激化しているように思えますが、この点はどう思われますか?

アメリカのTVは過渡期にあると思う。以前に比べて格段に質が高い作品を送り出しているから見応えのある作品がたくさんあると思う。一方で、間違いなく作品が1シーズンをまっとうすることのハードルがさらに上がったという現実がある。例えば、オンエア前の批評家の評価がそのシーズンで一番高かった新作が、わずか数話で打ち切られてしまうということもあったし、競争するあまり各局が同じようなジャンルの視聴者を分け合う番組を、編成でわざと同じ時間帯にぶつけてきたりすることもある。スケジューリングを見て、なんでこんなことをするのだろう?と思う時も正直あるし不公平だとも思うよ。また、視聴スタイルがネットで見る、あるいはDVRでしか見ないなど今までと変わってきている中で、視聴者数のカウントの仕方と、その数字を踏まえた費用対効果の計算の方法など、広告主や出資者に対するアメリカのテレビ業界におけるモデル自体を変えないといけない時期に来ていると強く思っているよ。
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2012102405.jpg『ALCATRAZ/アルカトラズ』
2012年11月7日(水)ブルーレイ&DVDコンプリート・ボックス 発売!
ワーナー・ホーム・ビデオより

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