『シェイムレス2 俺たちに恥はない』を語りまくる! 梅津秀行×坂本真綾×幸田直子 鼎談<後編>

『シェイムレス2 俺たちに恥はない』鼎談、続きをどうぞ!

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―― みなさんはそれぞれのキャラクターを演じる時に特に気を配っている事はあるんですか?

梅津 フランクはしょっちゅうクスリだ、酒だでプラプラしてるもんだから、常に酔っ払った演技をしなくちゃいけないんだよね。

幸田 実際は飲めないのにね(笑)

梅津 そうなのよ。顔は飲める顔なんだけどね(笑)。ていうか昔は飲んでたんだけど(笑)。でもかといって本気で酔っ払った呂律も回らないような演技じゃダメなわけで、その按配はいつも考えますね。でも「もっと酔って下さい」とか言われるので、じゃあいいのかやっても、って感じで毎回探ってる(笑)

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坂本 私の場合は兄弟と一緒のシーンが多いので、家族ならではの独特の会話のテンションには気を使いますね。最後まで言わずとも通じるというか、投げやりというわけじゃないけど、わざわざ取り繕わないので、ちょっとぞんざいに聞こえる風というか。どうしてもお芝居なので演技をするとどこかよそ行きな感じになっちゃうんですけど、このドラマの場合はどれだけ家族になれるかだと思うので、特に絆が強いリップとの会話ではそこに第三者が話を聞いているというのは意識しないようにしてます。向こうの役者さんたちもそういう演技をしているし、その一方でドラマの演出自体は結構凝ってるんですよね。ものすごく会話が入り乱れてて、演出なんだけど、本当にそこで暮らしている人を盗み撮りしたんじゃないかって思えてくる。そういう感じが吹き替え版でも漂うといいな~と思ってます。

梅津 確かにね、このスタジオに来た時、なんかほっとするんだよね。

坂本 それ、分かります!

―― ある意味家族としての空気が出来上がってるんですね。

坂本 それは早い段階で出来上がってましたね。第1シーズンが終わってしばらく間が開いて第2シーズンの収録になったんですけど、すごく感動しちゃって。あぁ、帰ってきたんだ~って。1回目からみんなバッチリ噛み合ってて。お隣のヴェロニカの一家もそうですけど、本当に家族的な雰囲気ですね。だからたまにゲストの方が入ってくると、「ようこそ、シェイムレスの世界へ」って思います(笑)

―― でも完全にアウェイですよね、ゲストの方は(笑)

坂本 みんなそう言いますよね(笑)

梅津 そうだね~(笑)

幸田 やっぱり演じてる私たちがみんな、お互いに対してすごくリスペクトしてるんですよ。わざわざ「あなたの芝居、いいわね~」なんて口に出したりはしないけど(笑)

坂本 毎回いろいろ勉強になりますね。見ててすごい人たちだな、って思う事ばかりです。

―― 『シェイムレス』をやって、改めて吹き替えのお仕事について感じた事っていうのはあるんでしょうか?

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梅津 普通のシリーズだったらあくまで仕事的に「早めに台本ちょうだいね」って感じなんだけど、このドラマの場合はもうただ次の話が気になってしょうがないんだよね。そんな作品には初めて出会ったよ。だから「次の話知りたいの~」って無理くりお願いして、早めに頂くようになったんですけどね(笑)

幸田 毎回収録している時に次のエピソードの台本を頂くんですけど、みんなもらったとたんにぐぐっとのめり込んで読んでますから(笑)

坂本 それぞれ「ええ~っ!?」とか「あらら?」とか声が漏れてくる(笑)

幸田 それで台本に書かれているキャラクターが悪い人なのに、それを演じる人に向かって「誰々さんって悪い人ね!」って怒ったり(笑)

坂本 前回スティーヴの事が好きになったのに、今回はあまりに彼がひどいんで、しばらく川田さんに「もうホント川田さんヒドイですね!」って言ってました(笑)

梅津 僕じゃないし…って感じだよね(笑)

幸田 私はすっごく自由にやらせてもらってますけどね(笑)。まぁ、向こうの方が自由に演じてらっしゃるから(笑)

―― 自分が演じているキャラクター以外でお気に入りのキャラクターは誰なんですか?

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梅津 シーラ(即答)

坂本 もう大好きシーラって感じですよね(笑)

梅津 彼女がどうやってくるのか、何をしでかすのか、もう楽しみで楽しみで(笑)

幸田 彼女ってすっごく自由なんですよね。実は1話をやった時に演出さんから「シーラは人間じゃないですから」って言われて、「人間じゃないの?」って思いつつ、その時はよく分からなかったんですが、2話になって「あ、やっぱ人間じゃなかった」って思いました(笑)。ただ、彼女の中の倫理観ってかなり変わっていて、自分では悪い事をしている意識がないんですよね。第2シーズンでも相当な事をしでかすんですが、でも自分の中の道徳観が他の人とは違って、ああいう広場恐怖症で家の中に閉じこもっている割にすごく自由で、自分が楽しい事や嬉しい事を進んでやってるんですよね。そこがフランクとは違うところで、彼はものすごく好き勝手にあちこち出歩いている割にすごく束縛されてて、その対比が面白いですね。

坂本 不思議なのが、番組の終わりにキャストのインタビューがあって、それもそれぞれ吹き替えてるんですけど、本当にジョーン・キューザックがしゃべってるかのようにすごいシンクロするんですよね。あちらの女優さんもすごく素敵なんですけど、この吹き替え版ではシーラだけじゃなくどのキャストもこの声じゃなきゃ『シェイムレス』は見られないっていうくらい、みんなぴったりハマってるんですよね。

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―― 3人にとって『シェイムレス』の一番見てもらいたいポイントって何なのでしょう?

坂本 毎回必ず突き刺さる言葉がある事かな。毎回記憶に残る名ゼリフが飛び出してくる脚本が秀逸だなって思いますね。それと吹き替え版に好き好きがある事はよく分かってるんですけど、このドラマって画面に映ってないところでもいろんな話をしていたりするんですよ。画面がオフでもしょーもない事を話しててその混沌とした中にもきちんと核があるから全くブレてないんです。それがこのドラマのいいところでもあるので、日本語で見て頂くとやっぱりいっそう理解が深まるんじゃないかと思いますので、ぜひ吹き替え版で見て頂けると嬉しいですね。

幸田 日本語じゃなきゃ出せないニュアンスっていうのがあって、それは字幕版では難しいものがあるんですよね。アメリカのジョークって分かりにくいものも多いじゃないですか。それをものすごく上手く日本語のニュアンスに置き換えて台本が書かれてるんです。「あぁ、こういう風に言うよね」って日本人なら分かるセリフがたくさんあるので、ぜひそこを見てもらいたいですね。

梅津 僕はね、時々ドラマにうっすらと映ってるTV番組かな。あれだけのDVDが欲しい!

全員 爆笑

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毎週木曜23:00~(二か国語)

毎週金曜深夜0:15~(字幕)

出演:ウィリアム・H・メイシー(フランク/梅津秀行)
    エミー・ロッサム(フィオナ/坂本真綾)
    ジェレミー・アレン・ホワイト(リップ/増田裕生)
    キャメロン・モナハン(イアン/成家義哉)
    エマ・ケニー(デビー/山根舞)
    イーサン・カトスキー(カール/ふしだ里穂)
    ジャスティン・チャットウィン(スティーヴ/川田紳司)
    ジョーン・キューザック(シーラ/幸田直子)
    ローラ・ウィギンス(カレン/嶋村侑)
    シャノーラ・ハンプトン(ヴェロニカ/林りんこ)
    スティーヴ・ハウイー(ケヴィン/中谷一博)

Photo:(c)Warner Bros. Entertainment Inc