『SMASH』の大人な楽しみ方を熱く語る4者対談! 勝生真沙子×山口勝平×内田直哉×沢田敏子

大人の夢は、現実との闘い。だからロマンがある。
二人の若き女優が、夢の舞台を目指すスター誕生物語である『SMASH』。しかし、本作が単なるサクセスストーリーで終わらないのは、その"夢の舞台"を作る現場のプロフェッショナルたちの情熱と人生をしっかり描き込んでいるからだ。これは、大人たちが、本気でマリリンという夢を追った濃厚なバックステージ・ドラマ。

今回は、ジュリア役(作詞・脚本家)の勝生真沙子さんトム役(作曲家)の山口勝平さんデレク役(演出家)の内田直哉さん、そしてアイリーン役(プロデューサー)の沢田敏子さん、に『SMASH』に登場する大人たちの魅力を語ってもらった。(以下、敬称略)
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■『SMASH』の魅力――俳優魂に火がつくポイントを語る

――『SMASH』の第一印象はいかがでしたか?
20130126_c11.jpg内田:キターーーーッ!!って感じだね。

山口:ナオさん(=内田さん)、絶対好きだと思いました。
(全員、大きくうなずく)

山口:リハーサル用のDVDを観た時、僕もやっぱりワクワクしましたね。これからこの世界を演じていくのかと思うと、とにかくワクワクしました。

内田:ミュージカルドラマは若い人向けが多いじゃないですか。このドラマは、僕らが観ていても、とても共感できるし、なおかつ感動できる。

勝生:そうそう。

内田:そういう作品は、やっぱり演じていても面白い。年齢的にも僕らに近いキャラクターが悪戦苦闘するのがたまらないよね。

山口:こういう大人も楽しめるミュージカルドラマって初めてじゃないですかね?

勝生:確かに。

内田:それに設定が、普段の自分たちの世界と近いから、余計に面白いよね。刑事とか、そういう飛躍したところの役どころじゃなくて、自分たちに近いところで演じることができる。

沢田:それから、やっぱり華やかな世界の裏にあるものを描いているでしょ。舞台ができるまでに、いろいろすごいドラマがあるのよねえ。それも見ていて、惹き込まれるわよね。

内田:しかも舞台裏ということで、スタッフになった気分が味わえる。
(一同、「そうそう!」と盛り上がる)

内田:僕らはいつも表方(※註:表舞台に立つ俳優さんたちのこと)なんだけど、スタッフになった感じだよね。

山口:そうですよね。実際、スタッフ側の目線から演じているから、そういう気分になりますよね。あと、プレビューが始まって小屋入りする雰囲気とか、すごくリアルでたまらないですよね。

勝生:なんか、懐かしい!って思っちゃった。
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――皆さんの盛り上がりぶりだけで、いかにこのドラマを楽しんでいらっしゃるのか、伝わってきました。シーズン1を通して、だいぶ物語に入り込んできたと思いますが、『SMASH』の魅力は?

山口:「全米の女性たちが熱狂した」とポスターにありましたけど、女の人たちは好きだろうな、と思いましたね。

内田:特定の誰かだけを追っているんじゃなく、マリリンに向かって、みんなが集まり、それぞれの思いをぶつける、というドラマが面白いよねえ。登場人物一人一人にスポットライトが当たっていて、ぞれぞれの思いが交錯するところが見ごたえある。

勝生:そうね。

内田:そういう奥深いところがあるから、僕らも演じていても、毎週、(収録に)来るのが楽しくなる。

山口:舞台のシーンにしろ、稽古のシーンにしろ、観ているだけでワクワクするんです。そのワクワク感がたまらない。マリリンってこうだったんじゃないか、ああだったんじゃないかと、一緒に探っていく感じが面白いんです。だから来週の台本を読むのが楽しみなんですよ。
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――回を重ねるごとにキャラクターが深まっていき、意外な一面が出てくる。そこが『SMASH』にハマる要素ですよね。

山口:僕は、ここまで年齢が高い役って、実はなかなかやる機会がないんです。ですから、ある意味、毎回あがいてますね。相手(ジュリア)も勝生さんですし、今まで勝生さんと一緒の現場だと、だいたい守ってもらう役ばかりだったんです。

勝生:そうねえ(笑)

山口:そういう立ち位置関係でしか、芝居したことなかったので、コンビ組んで一緒にというのが、もう何というか、ものすごく背伸びしてる感じで(笑)。毎回、頑張ってます。

――むしろ、今回は勝生さん演じるジュリアを守ってあげていますよね?

山口:そうなんです。もう「とんでもないッ!」という感じです(笑)

内田:でも、こちら側から見てると面白いよ。いつも年下のキャラを演じてきた勝平が、(勝生さんと)同じ目線で演技をするって。

山口:本当に、対等に渡り合っていかないといけないわけですよ(汗)。

沢田:でも、お二人(勝生さんと山口さん)がとても尊敬し合ってるのが伝わってくるわよ。トムとジュリアみたいにね。強い絆を感じる。

――ジュリアはいかがですか?

勝生:もうこの女優さんが大好きなので、毎回、彼女と闘っている感じです。負けるか!って(笑)

山口:楽しそうですよね。勝生さん、自由に演じているなぁと思います。

勝生:そうね。楽しいです。

沢田:喜怒哀楽がすごくあるキャラクターを演じるって、すごいわぁ。

内田:この作品を演じていて全体的に言えるのは、無理に演技で作っている感じがまったくないところが面白い。自然にやり取りが流れていく感覚が、すごく楽しいんだよね。

勝生:確かに。

沢田:みんなが、それぞれの役の要素を持っているのよね。その役の要素を自分の中から導き出して、演じている。

内田:だから、演じていて楽しい。当然、その空気は観ている視聴者の皆さんにも伝わると思いますよ。

沢田:本当にその役にしか見えない時があるのよ。

内田:私生活なんか、それぞれ見えないけど、ちょっと想像しちゃうよね。勝生家でもあんな感じなのかなとか(笑)

勝生:アハハハ(笑)

内田:勝平も、すごくトムっぽい。たまにちょっと甘ったれなところとか(笑)

山口:時々、自分でも似ているなあと思います。

沢田:ジュリアとトムの関係が本当に素晴らしいのよ。トムはゲイだから、永遠のお友達という関係が成立する。私もそんなお友達がほしいわ~。

勝生:確かにそうですよね。

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――では、そんなトムとジュリアと時々、衝突する演出家デレクという役はいかがですか?

内田:演出的な目線で演じるというのが面白いですね。自分にとっては身近な現場を、演出という違った角度から見ることができる。そういう意味で演出家というのは、知らないことを言っているわけじゃないので、とても演じやすい。セリフに出てくる言葉はすでに知っている言葉だし、身近に常にある言葉なので、演じるという感覚よりも...

沢田:(ツッコミ)そのままよね。そのまま(笑)
(山口、勝生、爆笑)

内田:そのまま、そのままって...僕だって演じてますよ!ほら、人間的な意味ではいろいろあるでしょ、デレクは(笑)
(一同、うなずく)

内田:全員が全員、演出家ってあんなんじゃないと思うし(笑)それはジャック・ダヴェンポートさんが演じているデレク像に少しでも近づけようとしているわけです。

沢田:もう(内田)ナオさん以外にデレクはいないわよ。

内田:(恐縮気味に)ありがとうございます。

沢田:だってね、あの役だって業界で有名な女好きだって。

内田:そこは違いますよ!
(一同、大爆笑)
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――沢田さんのツッコミが冴えわたるところで、アイリーンのお話をお聞かせいただけますか?

沢田:アイリーンが大好きなところはね、ものすごいアグレッシブでパワフルじゃないですか。それなのに、かわいいところがあるというか。初恋に胸騒ぐ女心があるというか...本当にかわいいのよねえ。そんなところが私に似てるかな~って思ってしまったり(笑)。

山口:沢田さんもかわいいです!

内田:まだまだ恋をしなくちゃいけない(笑)。

沢田:ときめいていますよね、あちらの方(=アイリーン)も。

内田:あちらと言わず、どうぞこちら(=沢田さん)も。

沢田:ウフフフフ(笑)
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――それぞれの役で、特に意識して演じているところはありますか?演じていて"燃える"ポイントを教えてください。

沢田:アイリーンは、大きなショーを実現させようとすごくアグレッシブにいくのね。でも、時々、ホロっと女が出るところがある。その女の部分を意識しています。あと、元夫と出くわすところも意識しています。男性にも強さを求めるんだけど、その強さが自分に向いてしまった時...元夫を敵に回して苦労するので...

――この続きは、ドラマを観てからのお楽しみにとっておきましょう! 続いて、デレクはいかがですか?

内田:僕は、いろんな女優さんと絡む役ですから、それはもう、女性との会話が一番楽しみです(笑)女性と会話する時ってとても楽しい。心情をいろいろ出していたりとか、距離感とかね。

アイヴィーという強い女、カレンという少しアマちゃんというか、まだ子どもな女。そしてレベッカというトップスター。デレクが一番惹かれるのって誰かな、と想像するわけですよ。すると、やっぱりどうしても俺のなかには、第1話のカレンの「バースデーソング」がずっと残っている。だから、カレンと会話する時は、何か、心が揺れるんですよね。デレクは、あんまり恋愛感情的な距離感を持たないようにしているようだが、カレンとしゃべる時はぐらぐらっとするんだよね。アイヴィーとの会話は完全に上から目線なのに(笑)

沢田:アイヴィーがかわいそう!
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――ジュリアはいかがですか?

勝生:これっていうより、すべてに情熱を傾けている女性だから...舞台を作りたいという思い、トムと一緒に作りたいという思いとか...。

内田:本当にどこ、というポイントじゃなくて、勝生がジュリアを演じているのが楽しいというのが伝わってくるんだよね。もう全部だね。

山口:ジュリアの内面をむしろ広げている感じがしますよね。

沢田:本当に感情の起伏がジェットコースターみたいだものね、ジュリアは。

勝生:どこ、というんじゃなくて、もう全部に命かけてます(笑)ジュリアは、火の玉みたいな人だから。

――では、トムについてお願いします。

山口:トムはすごくまじめだと思うんです。たまにそれが頑なになりすぎることがある。そこはデレクとの関係にうまく出てるなと思いますね。そんな一面を持ちつつ、恋愛については乙女なところをしっかり演じていきたいですね(笑)

■二人のヒロイン、そして『SMASH』の見どころは? 

――お話をうかがっていると、皆さんがとても息がぴったりなのが伝わってきます。カレン役の小林沙苗さんとアイヴィー役のたかはし智秋さんにインタビューをさせていただいた時も「現場が楽しい! こんな現場、滅多にない!」とおっしゃっていました。収録現場のエピソードがありましたら、ぜひ教えてください。

20130126_c10.jpg内田:ちょっとした楽しみのひとつが、アイヴィー役のたかはし智秋ですね。現場で彼女と会うのが楽しみなんです。

沢田:わかる、わかる。

内田:何が楽しみかというと、毎回、アイヴィーのシーンを意識して、彼女は衣装を選んでくるんです。

沢田:そうそう。

内田:だから、必ず僕は来ると、まず智秋をチェックする!

勝生:アハハハ(笑)

山口:今日はそう来たか、と(笑)

沢田:そういう女優意識が素晴らしいと思う。

山口:あの二人(小林さんとたかはしさん)もカレンとアイヴィーのキャラクター性にかぶりますよね。

沢田:現実とドラマの役柄がすごくかぶる。

内田:沙苗は、沙苗でカントリーっぽさがあるし。

勝生:なんで、そこ、英語なの?(笑)

沢田:柔らかくね(笑)

山口:確かに、カントリーっぽい雰囲気ですよね。

内田:昔から知ってるんだけど、全然変わんないんだよな。いつまでもカントリーっぽい。
いや、両親に大切に育てられてきたんだなあ、という意味でカントリーっぽいなあと(笑)そういう雰囲気がカレンに通じる。

山口:智秋ちゃんは、対照的に都会的だもんね。そこはやっぱりアイヴィー。

沢田:本当に面白いわよね。どうしてこんなピッタリなキャスティングが実現したのかしら。

山口:ですよね!
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――皆さんの役は、アイヴィーとカレンという対照的な女優をマリリン役の候補に選ぶわけですが、個人的にはどちらの女性が好きですか?

勝生:ええ! 選べない! どっちもいいもん!

山口:回によって、二人の良さが違ってくるんですよね。難しいなあ...。

沢田:私は、絶対にアイヴィーが好き。ああいう子とは友達になりたい。だけどカレンと友達になると、きっと女として嫉妬しちゃうから(笑)カレンは男たちから絶対、大事にされるでしょ。

山口:確かにアイヴィーの方が、器用そうに見えて、不器用かもしれないですね。

沢田:そう、カレンはどこに行っても、ほっといても男たちから愛される。
(一同、納得)
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―――それでは、最後に視聴者の皆さんにこのドラマの見どころをお願いします。

内田:ドラマと舞台、その両方が楽しめる作品はなかなかないと思います! それに、ニューヨーク・ブロードウェイの舞台から客席から、すべてが登場する。スタジオで撮っているだけじゃなく、劇場でちゃんと撮っている。そのロケーションも楽しんでもらいたいですね。

山口:そういう意味では、「ブロードウェイの方から来てくれた」という感じでしょうか。劇場に足を運んで観にいくのではなく、ブロードウェイの方から来てくれたというのがすごいことだなと。そのブロードウェイの空気も体感してもらいですね。

沢田:欲張りなあなたを満足させるドラマです! 欲張り、満足!

勝生:隅から隅まで観てください!細かく作ってるよ!

沢田:観れば観るほど、「ああ、こんなことが」と気がつくところがあると思いますよ。

――ありがとうございました。

インタビューを通して、声優さんたちの『SMASH』に対する"愛"を感じました。日本語版の収録現場は、ドラマの熱気に負けないぐらいの熱気がむんむん。もしかして、『SMASH』収録現場を舞台にしたバックステージものが作れるのでは!?

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smash_jk.jpg『SMASH』vol.1&DVD-BOX
ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントより、2013年4月5日(金)発売
同日よりvol.1~8のレンタルも開始!

【キャスト/日本語吹替】
・カレン:キャサリン・マクフィー/小林沙苗
・アイヴィー:メーガン・ヒルティ/たかはし智秋
・ジュリア:デブラ・メッシング/勝生真沙子
・トム:クリスチャン・ボール/山口勝平
・デレク:ジャック・ダヴェンポート/内田直哉
・アイリーン:アンジェリカ・ヒューストン/沢田敏子

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