『ザ・フォロイング』ケヴィン・ウィリアムソン(製作総指揮)にインタビュー!

『ザ・フォロイング』では、TVドラマシリーズ初登場のケヴィン・ベーコンが、連続殺人犯と彼の信奉者(フォロアー)の死闘を繰り広げるこの物語。止まらない恐怖の連続にのめりこむように観ていた方もいるのではないでしょうか? 本作について、主演のケヴィン・ベーコン、ジェームズ・ピュアフォイ、そして製作総指揮を務めたケヴィン・ウィリアムソンのインタビューを入手しましたので、3回に分けてお届けします。

製作総指揮のケヴィン・ウィリアムソンのインタビュー

――『ザ・フォロイング』という作品について

"週刊スリラー"というのが基本のコンセプトです。説明が難しいのですが、スリラーの中にメロドラマや色々な要素が組み合わさっています。オペラのようなものです。登場人物を描いたものであり、人間関係の織り成すドラマがあります。しかし、軸になっているものは人生をもう一度生きるチャンスを与えられた、ケヴィン・ベーコンが演じる、ライアン・ハーディーという男、彼が失ったものを取り戻していくというストーリーです。ライアン・ハーディーは史上最悪の連続殺人鬼をつかまえたFBI捜査官です。犯人は脱獄すると同時にライアンは生き返る。そして犯人を再び追うことになります。ですから、この話は死刑執行の17日前に脱獄した連続殺人犯のジョー・キャロルを再び捕まえられる人物を探していくところから始まります。

この物語の見所のひとつは、殺人犯たちが相互につながっていることです。この番組のアイデアは何年も前に私が別の番組、Scream 1のための情報を集めていたときに出てきました。フロリダで学校の生徒たちを殺したダニー・ローリングなどのことを調べていて、そのとき思ったんです。もし、監獄にいる犯人たちがインターネット環境をもっていたら、そしてネットを使って他の人物とつながり、関係を築いていったなら、と。そこには犯人に限らず、殺人をおかしそうなメンタルを持つ人もいるだろうし、暇つぶしの人もいるでしょう。もしその中に、ゴシックロマンを語り、皆を感化する文学科の教授のような存在がいたとしたらどうだろうか。今まで存在したカルト集団を考えても、そこには皆を感化するカリスマの存在が必ずあります。チャールズ・マンソンもそのうちの一人ですし、ジム・ジョーンズ、テキサス州ウェイコのクレッシもそうです。自分の目的のために人々を操ることができるリーダーです。この発想が元となりました。さらに発展させてこれが実際に犯罪を犯している殺人犯の集まりであったら、ジョー・キャロルは頭の中で自分たちが見つかる前に何人殺せるだろうかと考えるわけです。

登場人物はFBI捜査官だったライアン。ジョーを捕らえたライアンは仕事の上で絶頂期でした。しかしその最中に心臓を刺されてしまいます。心臓疾患、左心房は機能停止、ペースメーカーで血流を調整しなくてはならない。彼の身体は弱みを持ってしまうのです。即座に身体的弱者になってしまった。厳しい状況を生き抜いている人たちが多いアメリカでは演じ甲斐があるでしょうね。厳しい状況の中で強くなるのも弱くなっていくのも彼次第ですから。実際、初めの頃のハーディーは目標を失い、酒を飲んだくれ、不摂生だ。ライアンは殺人犯ジョーを捕まえた直後にThe Poetry of a Killerというタイトルの本を執筆するのですが、その本の印税収入だけを頼りになにもせず生きている。ところが、FBIからコンサルタントとして呼ばれ、それによって彼はやる気を取り戻します。一度、失ったものを取り戻すのです。

――とても難しい役どころですが...

演じるのはケヴィン・ベーコンですよ。彼にカメラを向けるだけで、とても奥深いものを的確に表現してくれます。彼の演技は味わい深い。彼のような正真正銘の映画スターがこの役を演じてくれるということは素晴らしいことです。撮影の瞬間から全てを把握した役そのものが存在している。ケヴィン・ベーコンはそういう完璧な役者です。

ケヴィン・ベーコンほどの役者に演じてもらうことなど思っていませんでした。私にとって初めて制作する連続番組に彼が出演するなんて夢のような話です。彼がこの話に興味を持ってくれたことは本当に嬉しいことですね。一緒に撮影をしているなんて今でも信じられないくらいです。

脚本があがってきてから、配役についてあれこれ考えました。そしてケヴィン・ベーコンはどうだろうか、となった。もしかしたら興味を持ってくれるかもしれない。常によい仕事を探しているだろうし、ケーブルテレビの仕事にも興味があるようですし。ネットワークテレビ番組の出演は意図していないようだけれど、ケヴィンは我々が届けた脚本を読んでくれて、実際に会って話をしたいと言ってくれた。そこからは雪だるま式に話がまとまっていきました。

――そのほかのキャストのオーディションはどうでしたか。

オーディションをしたのではないんです。ケヴィンにこの企画に参加してもらえることになってから、私はジョー・キャロル役の役者を探していました。数少ないキャロル役候補の筆頭がジェームズ・ピュアフォイです。彼は私の大好きな役者です。彼の演じたものは全て大好きです。ケヴィンとジェームスは最高の組み合わせだと思いました。まずは二人に台本の読みあわせをしてもらってそこに何が生まれるかをみました。通常二人の関係といえば男女間の恋愛関係だったりしますが、今回はヒーローと悪者という関係です。私は二人の間にヒーロー対悪者の関係が本当に成り立つかどうかをこの台本読み合わせで見極めようとしました。机をはさんでセリフを言い合う二人の姿は圧巻でしたよ。皆さんにDVDの特典映像としてお見せできる日が来るのを願っています。

ケヴィン演じるライアン・ハーディーは落ちぶれたヒーローであり、不恰好なヒーロー、悲劇のヒーローでもあります。ライアンはジョー・キャロルが望んだとおりになる。脚本の中でジョーは言います。「ライアン、これは君に与えられた2度目のチャンスだ」と。ライアンはこのチャンスを受けて勝つことができるのか、それともライアンは再びキャロルにやられて2度と復活できなくなるのかが焦点です。

ジョー・キャロルは最大の宿敵です。ジョーはライアンから輝かしい未来を奪いました。FBIに2度と戻れなくなったジョーに再びチャンスが与えられます。ライアンにとってやり抜かなくてはならない試練です。ジョーは今回、絶対の勝算をもって仕掛けてきます。ジョーは牢獄にいる9年の歳月をかけて組織を作り上げます。9年間ジョーの頭の中で彼の次の本が書かれていきます。毎週の回ごとにジョーが作り上げた本の内容が現実になっていきます。

この話の第1章はライアンの本を思い出すような内容から始まります。そして現代である第2章へと続いていく。二つの物語が交差するさまを毎週見ていくことになります。初めに話があり、続編がある。推測どおりに進むこともあれば新たな方向にいくこともある。視聴者には同じ人物の10年前の物語を知っているからこそ分かる現代がある。おもしろい視点です。この構想を上手く利用してスリラーを展開していくのは作り手としても楽しみです。

事細かに全てが決まっているわけではありません。もちろん連続性はあります。毎週ごとに登場人物の人生がつづられています。そして常に事が進んでいます。時計の針が進むごとに人の命が奪われていって、その命を守るために出来る限りの速さで追いかけていきます。誰がやったのか、犯人の相関図はどこまで広がっているのか。決まった手順のようなものとしては、毎週新しい殺人犯が登場することです。でも、私の考えとしては連続して繋がっている大きな物語の中に3,4週のまとまりで完結する話を作ります。毎週話が始まって終わるのではなく、たとえば『24-TWENTY FOUR-』のようなハラハラさせる展開が次々と起こって連鎖していくようなものです。今回起きた問題が次回の問題へとつながっていくんです。

正義対悪という構図は世界共通のものだと思います。最高のヒーローにケヴィン、秀逸な悪役にジェームス。このような物語はヒーローと悪役の質に限ります。殺人鬼に対する恐怖は誰もが同じく感じることができるでしょう。そして殺人鬼は必ずしとめなくてはならないという気持ちもね。

――監督を務めるマルコス・シーガについて

彼とは前にも一緒に仕事をしました。素晴らしい監督です。彼に頼んだ理由の一つは、実はこの物語は彼のことを考えながら書いたのです。彼なら理解してくれるだろうと。彼の仕事はとても感情的なところが大好きなのです。彼は情熱的な人です。台本の細かい機微をよく理解してくれます。そんな監督はなかなかいません。彼は『ヴァンパイア・ダイアリーズ』の時、いい仕事をしてくれました。仕事の仲間としても素晴らしい関係ができました。とくに彼にぴったりだと思って書いた台本もあります。彼なら仕事を請けてくれるだろうし、うってつけです。ホラーの感情をよく理解しています。私は単なるホラー映画を作りたいのではありません。私は感情に訴えるホラーを作りたいのです。それがなくては意味がありません。彼らを危険な場面に追いやる前に役柄に感情移入することが大切なのです。そこを彼は承知していてちゃんと実現させてくれます。本当に素晴らしい、一緒に仕事をするには最高の人です。

だからマルコスが必要なんですよ。製作の質を常に高く保つことですね。プレゼン用に作るエピソードは映画並みの時間を費やすことができました。私がやりたいことのひとつは撮影のスタイルを確立することです。マルコスが尽力しています。それには方法があって、マルコスは番組の制作スタイルを築いています。カメラの方法、撮影の方法などロケの全てを決めておけば毎週、質の高いものを作り続けていかれます。映画と同じ質のものを毎週作るのが目標です。マルコスがその方法を考えました。どうぞ彼に確かめてください。

――ドラマを作る上で、FBIのコンサルタント(専門家)は常にいますか?

すでにFBIとは連絡を交わしています。協力的です。パイロット撮影中はアトランタのFBIがやってきて、指令センターについてアドバイスをくれました。アトランタではジーナンとショーン・アシュモアは終日、FBI捜査官と行動していました。ケヴィンにはニューヨーク市のFBIが協力してくれたんです。

――役者たちには準備するためにどのような調査をさせましたか。

みんなFBIの人に会っています。それぞれがFBIに相談をしました。FBI捜査官の短期講習を受けたようなものです。私は基本はウィキペディアですよ。グーグル検索です(笑)。それに私の情報源は過去15年に渡って調べ上げた連続殺人についての本です。私はいつもそのような情報集めをしています。

――FBIから直接手ほどきを受けるなんて役得ですね

確かに。役者達は喜んで情報集めをしていました。本物のFBI捜査官と関われるのは役者にとって褒美でしたし、捜査官も楽しんでくれたようです。

――この番組をどんなものにしたいですか?

感情に訴えるスリラー、エモーショナルスリラーです。毎週ジェットコースターに乗っているような感覚を味わって欲しいです。皆さんにはTVの前に座って電源を入れたら息を呑んで観ていて欲しい。あっちこっちに曲がりくねって、時には涙を流して欲しいです。感情的なドラマチックなスリラーを毎週体験して欲しいです。


『ザ・フォロイング<ファースト・シーズン>』

<セル>
2014年2月5日(水) DVD Vol.1発売

【初回限定生産】
『ザ・フォロイング<ファースト・シーズン>』ブルーレイ コンプリート・ボックス
(本編3枚+初回特典ディスク1枚の計4枚組)
全15話収録(各話約43分)/音声:英語、日本語/字幕:日本語、吹替用日本語
特典映像:ドラマ・ツアー:第1話洗脳殺人鬼の計画/"ザ・フォロイング"の恐怖の源/フォロワーの隠れ家/ポーの仮面/ミーガンの脱出劇の裏側/"キャロル教"の心理学的考察/"ザ・フォロイング"クロニクル/"第15話ケヴィン・ウィリアムソンとマルコス・シーガによる音声解説"(*特典内容は変更になる場合がございます)

【初回限定生産】
『ザ・フォロイング<ファースト・シーズン>』DVD コンプリート・ボックス
(本編8枚+初回特典ディスク1枚の計9枚組)
特典映像:ブルーレイの特典映像と同様

<レンタル>
DVD Vol.1-8 レンタルスタート

Photo:『ザ・フォロイング』(c)Warner Bros. Entertainment Inc.