『ハウス・オブ・カード 野望の階段』ケヴィン・スペイシーインタビュー!

――『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の第1シーズンはすでに撮影も終わり、Netflixで一斉配信されるそうですが...。

 エピソードごとにどんどん何かが分かっていったり、分からなくなったりするドラマになることを願っている。観客が興味をそそられて、もっと知りたいと思うようにしたい。まあ、最近のテレビと同じだね。まとめて観るだろう? 週末は家にこもって『ブレイキング・バッド』の3シーズンを観るというように。そういう風に観てもらえるドラマにしたいんだ。

――このプロジェクトに関わったきっかけは?

 デヴィッド・フィンチャーとは何度も一緒に仕事をしているんだ。『セブン』でも一緒だったし、『ソーシャル・ネットワーク』は彼と共同プロデュースした作品だ。その『ソーシャル・ネットワーク』の現場で、また役者と監督という立場で一緒に仕事がしたいね、という話をしていたんだ。『ハウス・オブ・カード』の話がデヴィッドに持ち込まれて、その後、彼はオリジナルのミニシリーズを観た。オリジナルシリーズはぼくも覚えていた。母が大好きだったんだよ。ぼくもすごくいいと思っていた。それで、デヴィッドが観た後にもういちどぼくも観て、アメリカが舞台ならばぴったりだと思った。オールド・ヴィック・シアターでリチャード三世を演じる直前だったんだ。『ハウス・オブ・カード』はリチャード三世がベースとなっているので、すごい偶然だと思ったよ。オリジナルのイギリス版も、我々の新しいバージョンでも、シェイクスピアがリチャード三世で使った、主役が観客に直接語りかける、という手法を用いている。ボー・ウィリモン(脚本家及びエグゼクティブ・プロデューサー)もぼくも、素材に観客を近づける素晴らしい、効果的な方法だと思っている。直接、語りかけるというのはおもしろいし、珍しい。その手法を使った作品はぼくも数える程しか観たことがないけれども、その中でも『フェリスはある朝突然に』は一番気に入っている。
それで、このドラマの話をするようになって、構想が膨らんで行って、ボーが最初の脚本を書いた。その脚本がかなり良い出来で、誰もが、いい出発地点になると思ったんだ。それから全てのテレビ局に掛け合ったのだけれども、Netflixが一番良い値段を付けたんだよ。それで、この26話が完成したというわけさ。

 

――ボー・ウィリモンの過去の作品は知っていましたか?

ああ、知っていたよ。彼の『ファラガット・ノース』という舞台も知っていたし、その劇を脚色した映画の『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』も知っていた。ぼくは舞台の役者なので、劇作家が加わってくれてすごくうれしかった。構成や、話の盛り上がりや、物語を前進させるには脚本が重要だということを肌で理解しているからね。昔の素晴らしい演劇の構成を見ると、観客が引き込まれるような順番でストーリーを組み立てることに作家が細心の注意を払っているんだ。ドラマでもコメディでもそれは同じだ。このドラマにも、驚くほどの量のユーモアが取り入れられているので本当に嬉しいよ。

――撮影の最中もボーは対応してくれたのですか?

ああ、毎日さ。ボーとぼくは最高の関係なんだ。本当に満足がいく仕事のスタイルを維持できている。

――ドラマ全体がすごく映画っぽい感じがします

それがフィンチャーらしさなんだ。彼は自分が何をやりたいのか、俳優をどこに追い詰めて、どこに立たせたいのか、俳優がどんな気持ちなのかを、全て把握しているんだ。偉大な監督に身を任せて、言われるがままに演じることができるのはラッキーだと思う。

 

――妻役のクレアを演じるロビン・ライトと一緒の仕事はいかがですか?

ロビンとは20年来の知り合いだ。『キャスティング・ディレクター』という映画で一緒に仕事をしたんだ。お互いを信じているし、友達なので、すごく快適でやりやすいよ。部屋の向こうに目をやれば、気心が知れたロビンがいるというのは最高だよ。彼女にしても同じだと思う。映画の中では、二人の関係はどんどん広がって複雑になっていく。ロビンが演じるのは、すごく恐ろしい女版マクベスみたいな女性なんだ。BBCシリーズのオリジナルとはかなり違うね。あの役はぼくたちのドラマの方が良くなっていると思うよ。

――政治的なドラマに出演して、アメリカの政治に以前よりも関心を持ちましたか?

撮影中は選挙の年だったので、家に帰るとテレビを点けて政治のニュースを見ては、「ぼくらのドラマのストーリーラインもそれほどクレイジーじゃないな」なんて考えていたよ。フランシスという役を演じるのがこれほどおもしろいのは、彼が何かを必ず成し遂げる人間だからだ。嫌な奴かもしれないけれども、有能な人間なんだ。前の連邦議会はアメリカ史上、最も生産性の低い連邦議会だった。通過させた法案の数が一番少ないんだ。良く選挙に出る気はあるかと聞かれるのだけれども、答えはノーだ。ぼくは何かをやり遂げたい人間なんだ。政治の世界に行ったら、すごくイライラしてしまうと思うよ。

 

――フランシス・アンダーウッドを演じるにあたって、どんな準備をしましたか?

ケビン・マッカーシー下院共和党院内幹事と同席する機会に恵まれた。いくつかの会議に同席させてもらったのだが、毎日、218名の議員たちと一緒に座るのがどんな雰囲気か分かって興味深かったよ。彼らのほとんどが1年生議員だった。ステニー・ホイヤー民主党院内総務とも一緒に過ごした。忙しいのに、二人とも時間を割いてくれたんだ。

――海外の観客にとっての見所は?

世界中の人がアメリカの政界に関心を持っているのは間違いないと思うよ。アメリカが政治の主導的立場にあることは多いから、この番組に興味を持つ人も多いだろう。『HOMELAND/ホームランド』や『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』といったドラマに存在する複雑さや邪悪さを、このドラマにも感じるかも知れない。どれも、現実を美化した物語ではなく、汚い部分に切り込もうとする、すごく複雑でパワフルなドラマだからね。

 

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