ちょっぴり観るのに気合いが必要な重厚ドラマばかり観ていると、たまには、ぷっと笑えたり、ほっこり心が温かくなったりと、肩の力を抜いて楽しめるドラマが観たくなる。アメリカの30分コメディドラマを指す「シットコム(シチュエーション・コメディの略)」がその代表ジャンルといったところだが、日本で観られるシットコムって極端に少ない。そんな矢先、筆者含めシットコムファンに朗報が届いた。最新シットコムが日本に初上陸したのだ。80年代の家族を描いたファミリーシットコム『それいけ!ゴールドバーグ家』である。古き良き時代の家族像が描かれた本作には、笑うだけでなく涙する場面も多く、観終わった後に何ともいえない幸せな気持ちになれる。家族との関係が希薄化する現代人にもぜひ観てほしい1作である。今回はそんな本作の魅力について紹介していこう。
1) 80年代を、現代風ユーモアで表現!
80年代がキーワードではあるが、昔ならではのレトロな演出や映像が苦手という方も多いだろう。しかし、安心してほしい。本作は、80年代が現代風にアレンジされているので、驚くほど観やすい。本作は、実際に存在するゴールドバーグ家の末っ子アダムが、自身の子供時代を描いた、実話をもとにしたドラマである。ゆえに、専業主婦の母親が思春期の息子に異様に執着など、思わず「ある、ある」とうなずいてしまう「80年代」ならではのリアルな描写が多い。本作はそういったエピソードを昔ながらのザッツアメリカンなジョークではなく、現代風ユーモアで表現されている。さらに、シットコムの特徴ともいえる、劇中に観客の笑い声が入る演出が本作にはない。最近のシットコムでは、観客の笑いなしの作品が増えているのだが、観客の笑い声が気になる日本人にとって、自分のペースで笑えるこのタイプのシットコムはより観やすいに違いない。
2) 前代未聞!ハンカチ必須なシットコム?
本作の魅力は笑いだけではない。携帯が存在しなかった「80年代」ならではの、"強い家族のつながり"も見どころの一つである。おじいちゃんが毎日のように家に遊びに来て、両親には話せない子供たちの悩みを聞いたり、娘が失恋した時、母親が相手の家に殴り込みにいったり、過度な心配と過度なコミュニケーションが温かくって愛おしい。言い換えると、本作は、"8割が笑いで2割がほっこり"で構成されていて、笑い飛ばしでスタートし、ほっこり温かい気持ちで幕を閉じる。子供たちのちょっとしたトラブルやイベントに大騒ぎする母親ビバリーにはいつも笑かされるし、見るに見かねた父親マレーがビバリーを説得し、少しずつビバリーが子離れをしていく様子には、ほっこりどころか涙さえ誘う。シットコムだからと笑う前提でかかったら痛い目に合う。前代未聞のハンカチ必須なシットコムかもしれない。
3) 「80年代ドンピシャ世代」にはたまらない懐かしさ
本作には、80年代に流行したポップミュージックやファッション、おもちゃやゲームが多数登場する。ファッションにおいては、ハイウェスト&肩パットな母親ビバリーの滑稽スタイルから、ウェストイン&スキニーパンツな長女エリカのレトロスタイルまで、幅広い80年代スタイルが拝める。また、懐メロが絶妙のタイミングで流れ、VHDやテレビゲームといった懐かしのアイテムが次々と登場する本作は、「80年代ドンピシャ世代」である30代後半~40代の方にとって、懐かしさの宝庫だろう。
4) 出演キャスト全員が愛されキャラクター!
シットコムの肝といえるのが「キャラクター」。いじわるな悪役さえも愛されるというのがシットコムのヒットの法則なのだが、その法則どおり、本作に嫌われ役は存在しない。子離れができず、自己愛を押し付けてばかりな強烈ママビバリーに、家の中ではブリーフ一丁、ぶっきらぼうで口が悪い父親マレー、思春期真只中、おませな高校生の長女エリカに、かっこよくなりたいけど、いつも空回りで終わる長男バリー、大人と子供のはざまにいる、もうすぐ中学生になる末っ子のアダム。そしてゴールドバーグ家を一歩離れたところから支えるのがダンディーなおじいちゃまアルバート。主要キャスト6人それぞれが個性たっぷりで、違った笑いどころがある。個人的には、母親ビバリーが本作の笑いのキモだと思っているが、そのビバリーの面白さも、父親のマレーの存在あってこそ。ビバリーが子供たちのことを思って暴走しすぎた時に、現実に戻し、ビバリーを悟とし、子供離れさせるのはいつもマレー。パンツ一丁で子供たちのことを「アホ」とか呼ぶのに、いざとなったらかっこいいマレー。マレーがいるからこそ、ビバリーのキャラクターがまたステキに思える。皆それぞれ役割が違って、個性たっぷりで全員が愛されるキャラクターなのである。
以上が、新作ファミリーシットコム『それいけ!ゴールドバーグ家』の魅力である。家族愛をベースとしたストレートなコメディでありながら、80年代に現代風ユーモアを利かせた新鮮さもある。年末の笑い納め、または新年の初笑いの1本として、手に取ってみてはいかがだろうか。もちろん、ほっこり納め、初ほっこりとしても機能する作品であることは、言うまでもない。
『それいけ!ゴールドバーグ家』は現在Huluで好評配信中!
【関連記事】Huluで日本最速配信中!注目の新作ドラマ『マスケティアーズ/三銃士』 英国ドラマ界が再開拓する、名作「三銃士」の世界!
Photo:『それいけ!ゴールドバーグ家』
(c) 2013, 2014 Sony Pictures Television Inc. All Rights
Reserved.