『GOTHAM/ゴッサム』ジェイダ・ピンケット=スミス インタビュー!「魔性の女を、おおいに楽しんでいるところよ」

世界的な人気、知名度を誇るダークヒーロー・バットマン。その活躍に必要不可欠な存在であるゴッサム市警本部長ジェームズ・ゴードンの若き日を描いたドラマ『GOTHAM/ゴッサム』。今回は、ゴッサムシティを支配する女マフィア、フィッシュ・ムーニーを演じる女優ジェイダ・ピンケット=スミスのインタビューを公開! ドラマ版オリジナルキャラクターのフィッシュについて、誕生秘話から演じることへの心情まで、深く語ってくれました。

 

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――こんにちは。調子はどうですか?

疲れはあるわ。だけど、絶好調よ。

――あなたの演じるキャラクター、フィッシュ・ムーニーは、バットマンのコミックにいないですが、その分、自由に演技ができるということはありますか?

もちろん。それがこの企画を(製作総指揮でクリエイターの)ブルーノ・ヘラーと一緒にすると決めた理由のひとつだもの。ブルーノと会ったとき、「このキャラクターのアイディアがあって、君に創るのを手伝って欲しいんだ」って言われたの。もう信じられなかったわ。だってこれは、脚本を目の前にしてセリフを読むように言われるのではなく、この素晴らしい脚本家が私のところへ来て、「ねえ、このキャラクターを僕と一緒に創らないか? これまでのバットマンのファンが彼女を受け入れてくれるといいんだけど...」って言ってくれているってことなんだから。「わぁ! ぜひ一緒にその企画をやりたい!」って返事をしたわ。そうやって、この素敵なフィッシュ・ムーニーというキャラクターを一緒に創っているの。こんな機会は滅多にないわ。

――フィッシュは、オズワルドと特別な関係性を持っています。彼が彼女を裏切ったとき、失望した母親のような気持ちになったのでしょうか?

そうでしょうね。フィッシュが、オズワルドが生きていると最初に知ったシーンが忘れらない。オズワルドのことを私の息子ジェイデンと重ねて想像していたのを覚えているわ。「どうして彼は私にそんなことができるの?」と。

そして、涙が湧き出てきて、感情を抑えようとしている自分の姿も覚えてる。オズワルドに心底裏切られたような気持ちになったの。今でも、彼を見るたびにそう思うわ。それが、フィッシュが彼を殺したいと思う理由のひとつなの。彼女は、オズワルドにひどいことをされたと思っているのよ。

 

――バットマンをベースにしたこのTVドラマ『Gotham』にあなたが出ていることをジェイデンはどう思っていますか?

彼はヨチヨチ歩きの頃からずっとバットマンのファンよ。だから、自分がいつこのドラマに出られるのか、私に聞き続けているの。

――出演できるんですか?

いいえ。あなたは出られないのよ、と話したわ(笑)。「ジェイデン、出演させてあげることはできないの。他のなにかを見つけましょう」って。彼は、スーパーヒーローものがやりたいみたい。お父さん(=ウィル・スミス)が、DCコミックの映画『Suicide Squad』(2016年米国公開予定)にもうすぐ出る予定だからかしら。

――あなたたちは、今やDCファミリーですね。

でしょう?(笑)これはいいことだと思うわ。ウィルは私の大好きなキャラクターの一人、デッドショットを演じているの。デッドショットも殺し屋よ。彼の耳のなかに入ってでも、ちょっと出ようかしら(笑)。すごく楽しみにしているわ。

――ゴッサムは男が支配している街ですが、強い女性のキャラクターも出てきます。それはTVドラマや映画では、珍しいことですよね? どうしてだと思いますか? また、それはあなたが仕事に求めていることですか?

そうね。私は、もっと多くの女性を勇気づけて、自分たちの物語を語ることができるようにするべきだと思っているの。それは必要なことで、女性としてそのような機会をもっと得られれば、他の女性が出演できる機会も増えるし、女性にとって本物だと思えるような方法で、女性の物語が語られるようになるわ。

 

これから、女性が出ることはもっと多くなると思うわ。テレビを見れば、多くの強い女性のキャラクターを目にすると思うけど、それは、自分たちのストーリーを語る機会を得た多くの女性が、テレビに関わっているからなの。特にテレビでは、もっとそういう機会が増えるでしょうね。おかしいのは、映画の方が多く仕事があるように思えること。でも、テレビでは今、これまであった垣根が崩されてきているのを感じるわ。

――女性といえば、フィッシュは、ファッションに関してすばらしいテイストをもっていますね。コスチュームは、あなたのキャラクターにどのように影響していますか?

確実に影響しているわ。ウィッグをかぶり、衣裳のドレスやヒールをつけるとすぐに、フィッシュが生き生きとしてくる。だから、彼女のファッションやコスチュームは大切なの。そのことで、リサという素晴らしいコスチュームデザイナーに感謝しているわ。フィッシュは、確かに服に関して、とても明確な審美眼を持っていると思う。彼女は、危険をともなうセックスをするから、いつもぴったりとして露出の多いものを着て、武器として使えるよう、先のとがったジュエリーを身に着けているの。いつもリサに確認するのは、彼女はセクシーだけど、同時にヒールやブレスレットやイヤリングを外して、それで人を殺せるようにするということ。それがフィッシュの趣味であり、彼女は優位に立てるセックスをする。その点が、彼女のファッションに関して、私たちが押したかったところよ。

――あなた個人のスタイルに、その部分は影響していますか?

いいえ(笑)。私自身には影響していないわ。フィッシュの服は素晴らしいけど、ジェイダは着ない。決してね(笑)。

 

――オーディションの時のことを聞かせていただけますか?

オーディションではないけど、もっと良い話があるわ。ダニーと私が、フィッシュというキャラクターに何を見たのか話すために集まった時のことよ。私は、「話すよりも、それが何かをやってみせましょう」と言ったの。というのも、ダニーとはそのときに初めて会ったのだけど、ブルーノとはすでに何度もミーティングをしていたの。だから、フィッシュについて自分たちが感じたことをすべて挙げていく途中で、「ねえ、話すことは忘れましょう。フィッシュとしてそこを歩くわ」と私は言ったの。ミーティングがとても短かったので、とても効果的だったわ(笑)。私は「これが、フィッシュ・ムーニーなのよ」と、そうしたら彼らは「わかった」って(笑)。だから、あれはいい作戦だったと思うわ。

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――キャラクターのインスピレーションについて教えていただけますか?

グリセルダ・ブランコ(実在の女性麻薬ディーラー)が少しと、映画『サンセット大通り』のノーマ・デズモンドが少し、ってところかしら。私はグリセルダの根性と策略的で抜け目ないところに、ノーマ・デズモンドのドラマチックなところが欲しかったから、それらをフィッシュというキャラクターの土台を創るのに用いたわ。それから、皆がいつもアーサ・キット(アメリカの女性歌手)を持ち出してくるの。私の思考のプロセスの中に彼女は入っていなかったんだけど、たぶん私が彼女にチャネリングをして、彼女が天国から私に接触してきたのかもしれない(笑)。誰もが、ちょっとアーサ・キットが入っているって言うのよ。私は、「わかった。そういうことにしましょう」と。

 

――フィッシュはとても毒がありますが、具体的には役作りのためにどんな準備をしたのですか?

グリセルダ・ブランコの心理が多少、ベースになっているわね。彼女がどのように人を操ったのか、どのように戦略を練ったのかなど、彼女のことをよく調べたの。彼女はおそらく私が知る限り、実在した唯一の女性のギャングで、パブロ・エスコバル(コロンビアの麻薬王)の師だったとも言えるわ。ギャングの世界は、とても暴力的な男に支配されている。その世界で、親玉のガールフレンドだったのではなく、彼女が組織の中心人物だった。組織を運営して、絶大な力を持っていた唯一の女性だと思うわ。だから、私は彼女の事を掘り下げて研究したの。

そして、フィッシュ・ムーニーのドラマ的な要素は、『サンセット大通り』のノーマ・デズモンドからもらった。だから、グリセルダとノーマを混ぜている、というわけね。

――『GOTHAM』には、このドラマの新たなファンと共に、バットマンシリーズのファン、コミックブックのファンがすでにいます。そのため、通常のドラマよりも多くのファンとの交流や反響はありましたか? 特にあなたのキャラクターに対してはどうですか?

もちろん! 私がこのジャンルについて大好きなことのひとつは、熱狂的なファンがいる、ということよ。『マトリックス』シリーズに出たときも、それを肌で感じたわ。ファンがほんとに素晴らしいので、このジャンルの仕事をするのがほんとに好きなの。だから、ファンと触れ合う機会もたくさんあったし、なにより、彼らがフィッシュ・ムーニーを受け入れて楽しんでくれていることを、本当に幸せに思うわ。どんな反響があるのか思いもよらなかったから、彼らが素敵な人たちで、フィッシュ・ムーニーと楽しい時間を過ごしているのが嬉しいの。

――あなた自身はコミックブックのファンですか?

ええ、そのとおりよ。

――バットマンは、あなたが好きで読んでいたものですか、それとも他にお気に入りがありますか?

コミックブックのバットマンを読んだことはないの。私はいつも映画のシリーズが大好きだったから。バットマンはいつでも大好きで、特にゴッサムシティに興味を持っていたわ。

 

――それはどうしてですか?

ゴッサムはいつもミステリアスな場所で、バットマンのようなキャラクターや類いまれなヴィラン(悪役)たちが登場するからよ。ゴッサムがキャラクターのすべてを創っているみたい。コミックブックの世界で、他にこの街のような特殊なところを思いつかないわ。

そして、私はバットマンが光と影の間で格闘するのが好き。彼は、暗がりと光のある場所へ、すべての光を持って来ようとするでしょ。光の当たっているところにいる人が、ゴッサムにもっと光を持ち込もうとするのだけど、結局暗闇が優位に立ってしまうの。

けれど、バットマンはいつも光のために闘っている。そのひどい場所が何なのか、実際にゴッサムの活力を探索することができるのは楽しいわね。このドラマは、素晴らしいアイディアだと思ったし、個人的にずっとこの街に興味を持っているわ。

――あなたのキャラクターは今まで存在しませんでしたが、どうやって『GOTHAM』の世界に融合させたのですか?

ジョーカーやペンギンが出てくる前にあったこのギャングの世界の起源を、誰も知らないのがよかったんだと思う。ブルーノはただ、その世界に女性のギャングを創ろうと決め、まだ取り上げられていなかったけど、最初にギャングの組織がゴッサムを支配していた、というすでにあったストーリー展開に融合させたのよ。

まだ取り上げられていなかったということで、たくさんのキャラクターをこの起源の物語に加えることができると思うわ。もっとキャラクターを創る機会はあるし、彼らもたぶん創るでしょうね。

――フィッシュのようにとても精力的で意地悪な人を演じるのは、どんなところが楽しいですか? また実際の生活のなかで、権力はどのように大切なのでしょう?

権力は、興味深いエネルギーだと思う。多くの人は、権力について考えるとき、肯定的にとらえていると思うの。誰もが権力を欲しいと思っているけど、それは人を狡猾にもするし、扱うのにもかなりの精力を必要とするわ。そうした権力の原動力を研究した後で、フィッシュがいかに物事にアプローチして、いかに権力を欲しているのかを見るのはとても面白いことよ。もしこの時点で彼女が何かを変えないと、死と向き合うことになってしまうから。私はキャラクターを通し、安全な遊び場で、権力の原動力について探索するのを楽しんでいるの。観る人も、彼女のキャラクターを通して、権力がいかに破壊的なものになるか、ということの側面がわかるでしょう。

 

――フィッシュは、これからある種の弱さをみせることがあるのでしょうか?

もちろん。このシーズンの後半で、フィッシュのそんな側面をみることになるでしょうね。彼女の弱さがどのように現われるのか、そして皆がそれにどう反応するのかが興味深いわ。

――フィッシュはとても精力的だけど、とてもセクシーでもあります。彼女をセクシーに演じるのを楽しんでいますか? また、何が彼女をセクシーにしているのだと思いますか?

セックスを武器にするキャラクターを演じるのは、実は初めてなの。正直言うと、それは一度も探索したことがないので、とても興味深いことよ。これまでにもパワフルなキャラクターをたくさん演じてきたし、いつも、私はより男勝りに演じるの。たとえば、『マトリックス』のナイオビのようにね。女性らしいところやセクシーなところを隠して、もっと男性的に、強くなっているわ。今回初めて、「ああ大変、お尻を見せてヒールで歩くのね」って感じよ(笑)。

面白いのは、このすごくパワフルな女性がパンツスタイルでいるのを見ないことね。彼女はいつも、スカートとヒールを履いているのよ。

――それも楽しんでいますか?

もちろん、すごく気に入っているわ。魔性の女を、おおいに楽しんでいるところよ。違ったエネルギーを使って、今までする機会がなかったことを探求しているの。

――その衣裳も似合っていますよ。

ありがとう。このドラマの仕事で、多くのことを学んでいるわ。

 

『GOTHAM/ゴッサム』放送&DVD情報
■放送情報
AXNにて、
・HD二カ国語版:5月11日(月)22:00放送スタート
・HD字幕版:5月14日(木)23:55放送スタート
・「遂に上陸!『GOTHAM/ゴッサム』スタート直前スペシャル」HD日本語版(1時間):5月1日(金)21:00、5月4日(月・祝)22:00他

■DVD情報
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントより、
7月22日(水)レンタルDVD Vol.1~4(各巻2話収録)/デジタルレンタル順次配信開始
8月12日(水)レンタルDVD Vol.5~8(各巻2話収録)
9月9日 (水)レンタルDVD Vol.9~11(各巻2話収録)
9月9日(水)ブルーレイ&DVD発売
「『GOTHAM/ゴッサム』 <ファースト・シーズン> コンプリート・ボックス」
・ブルーレイ(4枚組)¥16,200+税
・DVD(11枚組)¥14,300+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

Photo:
『GOTHAM/ゴッサム』 ジェイダ・ピンケット=スミス
(C)2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
『GOTHAM/ゴッサム』劇中スチール
(C)Everett Collection/amanaimages