あの名作の続編にも言及! 『ザ・ウォーク』ロバート・ゼメキス監督来日会見

バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)、『キャスト・アウェイ』(2000年)、『フライト』(2012年)など、常に最先端のVFX技術を活かした映像作品を送り出してきたロバート・ゼメキス監督。新作『ザ・ウォーク』のために2年ぶりに来日した彼が、10月21日、プロデューサーのジャック・ラプキーとともに記者会見に出席した。

ゼメキス監督が長年温めていた企画であり、集大成とも最高峰とも言える『ザ・ウォーク』は、NYのワールド・トレード・センター間を直径2.2cmのワイヤーロープでつなぎ、高さ411m、地上110階の道なき空間に足を踏み入れ、命綱なしの空中闊歩に挑んだ実在の人物フィリップ・プティの物語。その内容に合わせて、会見は東京湾を見下ろせるツインタワー聖路加ガーデン(東京都中央区)の47階、高さ約200mのタワー屋上で行われた。

ゼメキス作品の中でも特に凄い映像だと評判の本作。ラスト20分の圧倒的な迫力について聞かれたゼメキス監督は、「体感映像を撮りたいと思ったのが、この作品を手掛けた理由の一つ。他の芸術では表現できないようなこのスペクタクルを、映画であれば描けると思いました」と製作した動機を説明した。すると、ラプキーは「この企画は、ロブ(ゼメキス監督の愛称)が一冊の本を見つけたのが始まりです。それはたった18ページの絵本でしたが、彼はこれは熱く心に響く物語で、映像化のビジョンが見えていると話しました。彼がそう言うなら、絶対に面白いものになると思ったんです」と、製作秘話を語っている。

ゼメキス監督はまた、主演のジョセフ・ゴードン=レヴィット(『ダークナイト ライジング』)を絶賛。「素晴らしい俳優で、役に合わせて肉体を変化させます。ワイヤーロープもスタントでなく自分が歩きたいと言い、なるべくフィリップ本人から役を吸収したいと、彼と多くの時間を過ごしていました。それにフランス語(フィリップはフランス人)も完璧なんですよ!」と褒めちぎっている。

この作品では、同時多発テロによって今はもう存在しないワールドトレードセンターが見事に再現されていることも見どころだが、ツインタワーについて聞かれると、ラプキーは「私はニューヨーク出身で、プティがあの挑戦を行った時(1974年)も現地にいました。9.11はみなさんの中に刻み込まれているでしょうが、映画でそれを回帰させる演出はしたくありませんでした。みなさんが個々に考えてくれればいいと思ったからです。ロブはフィリップ同様、ツインタワーに名誉と愛情をかけて、キャラクターの一つとして描いてくれました。ラストシーンは彼の愛情が込められた素晴らしいショットです」とコメント。ゼメキス監督は「フィリップと話す時、彼はツインタワーをまるで生き物であるかのように、アートを描く上でのパートナーのように話していました。だから、自分もそういう目線で描くのがいいと思ったんです」と、フィリップの影響があったことを明かした。

また、この日、2015年10月21日は、ゼメキス監督の名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で、デロリアンに乗り込んだマーティとドクがタイムトラベルでやってきた"未来"の日付のまさに当日に当たるため、それ関連の質問が飛び出す一幕も。彼ら二人へのメッセージをリクエストされたゼメキス監督は、「時空をいじるな、壊すなと伝えたいですね(笑)。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』DAYに、ここにいられて嬉しいです」と語ったものの、噂されるシーズン4作目の製作の可能性については「続編はありません」と断言。「あの3部作で完成されているからです」とその理由を説明している。

明日10月22日(木)に開幕する第28回東京国際映画祭のオープニング作品である『ザ・ウォーク』は、2016年1月23日(土)より全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)

Photo:ロバート・ゼメキス監督