今から80年以上も前に世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人リリー・エルベの実話に基づく映画『リリーのすべて』。命の危険を冒してでも自分らしく生きることを望んだ主人公と、その一番の理解者であり続けた妻が織りなす魂の触れ合いを描いた本作から、ベン・ウィショー(『THE HOUR 裏切りのニュース』『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』)のインタビューが届いた。
画家のアイナー(エディ・レッドメイン)は、芸術家の遊びと称して、妻ゲルダ(アリシア・ヴィカンダー)の服やウィッグを集め、メイクや歩き方を練習し、アイナーの従妹の"リリー"として舞踏会に出席する。そこでリリーを見初めるヘンリクを演じたのがベンだ。
彼は、「脚本を読んだ時、自分の中に直感的で感情的な反応が起こったんだ。脚本を座って読みながら、なかなか落ち着くことができなかった。よく考えてみて、他の映画が滅多に扱わない何かを扱っているからだと気づいた。でも、テーマは普遍的なもの、自分自身に正直であろうとする人間についてなんだ。一人が"変わらないといけない"と思った時、二人の人間がともにどう乗り越えていくかを描く、非常に力強く感動的な物語だと思う。脚本には思いやり、希望、感受性を描き、それがいかに簡単なことじゃないかを同時に描いていたんだ」と脚本の出来やテーマの重要性を強調した。
トランスジェンダーという言葉や概念がまだ確立していなかったであろう時代についても触れたベンは、「リリーとヘンリクの間には優しさがあった。なぜなら二人とも、自分自身がどういう人間でどういう風に感じているかをオープンに表現できない人間だったからだ。当時のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人々は、暗号で話すような非常に分かりにくいやり方をしなければなかった」と語っている。
また、トム・フーパー監督については、「撮影シーンはその瞬間で進化していて、時々セット上で変わるんだ。僕はトムが細かいことにまでこだわることにとても感謝している。監督というのは本当に色々なことを考えるから、細かいところにまで気づくことは少ないんだけど、彼は例外。その上、何でもできるんだよ」と、その細心さを称えている。
さらに主演のエディ・レッドメインにも言及。「エディは、誠実さと努力で可能な限りリリーになろうとした。一緒に仕事をすると、彼の演技は奥深い部分から出てきているんだと感じる」と役作りへの徹底ぶりを称賛した。
『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』のフーパー監督と、『博士と彼女のセオリー』のエディが、『レ・ミゼラブル』に続いてタッグを組み、第88回アカデミー賞で主演男優賞、助演女優賞など4部門にノミネートされている『リリーのすべて』は、3月18日(金)全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)
Photo:ベン・ウィショー(『リリーのすべて』)
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