アシュトン・カッチャーと言えば『ザット"70sショー』でお馴染みのイケメン・スター。俳優業は元より、プロデューサー業やレストランの経営などにも着手して成功している、外身も中身もイケている希少セレブです。
Netflix製作の新コメディー番組『The Ranch/ザ・ランチ』（Ranch = 農場）の製作総指揮そして主演を務めるアシュトンと、『ザット"70sショー』以来の仲間で共演者のダニー・マスターソンがグループ・インタビューに応じてくれるということで、アシュトンとの接近遭遇を目前に筆者のテンションもピークに！
「ハロー！」と、アシュトンがインタビューのお部屋に登場。アシュトン、カッコ良過ぎです！（笑） 男優さんって結構背の低い人が多い中、アシュトンは長身で、おまけにTVで見るいたずらっ子的なイケメンというよりは、「知的なハンサム」というのがふさわしい様相。でも私たちが日本の記者だということを知るやいなや、「ボク、日本語で10まで数えられるよ！」っとニッコリ。おもむろに「イチ、ニ～、サン、シ～...」と始め、同席したダニーをも感心させつつ、10まで完了。アシュトンの美しさに緊張気味だった記者一同も、彼のおもてなし精神のおかげで一挙に和み、笑顔でインタビューがスタート！
アシュトンとダニーは、ネットワークTV局という枠にとらわれず、もっと自由な製作活動ができるNetflixという場を与えられたことに非常に感謝をしている様子でした。「これまでのシットコム（30分のコメディー番組）はCMのこともあるから30分丸々使ってストーリーを伝えるということができなかったけど、Netflixは違う。あと、これまでのコメディー番組は照明がすごく明るいものが多かったんだ。でも実際の人々の生活では照明がそんなに明るいっていうことは少ない。だから敢えてこの番組では本来のコメディー番組よりも暗めに撮影しているんだ」 確かに普通のコメディー番組は、これでもかっ！というくらい照明を焚いているので、それがかえってチャッチイ感じを与えています。アシュトンは、「ネットワークのコメディー番組ではそういった照明の使い方が標準化されてしまっているけど、Netflixという場を与えられて、そういった標準の型を破る自由も得られたんだ」と語っていました。
『The Ranch』には、アシュトン演じる主役コルトの母親役として、80年代に大人気を誇り、アカデミー主演女優賞ノミネート経験もあるデブラ・ウィンガー、そして父親役にカウボーイを演じさせたらこの人の右に出る者はいない男優サム・エリオットが出演しています。特にサム・エリオットはタフガイで、ちょっと畏れ多いイメージの男優で、絶対シットコムなどには出演しないというイメージがあったので、アシュトンとダニーにサム獲得への経緯を聞いてみました。すると、二人は顔を見合わせてその時を思い出すかのように苦笑。「もう頼みまくったんだ。だってアメリカで一番カッコよくて渋い男優に出て欲しかったから」とアシュトン。「5、6回は頭下げに行ったよね」と言うのはダニー。「最初は（サムに）思いっきり断られた。"俺はコメディーなんてやったことないし、やる気ないな"、って。でも僕が「大丈夫です！ 僕を信じてください。コメディーについてもお教えしますから、信じてついて来てください！」って何度も頼みに行った。そうしたらやっとOKが出たんだよ」
往年の男優から見れば、きっと"若僧"であるアシュトンがアメリカの"タフガイ"ことサム・エリオットに、「信じてついて来てくれ」と言った...。これはかなり肝が据わっていなければできない技です。そしてアシュトンのプロデューサーとしての度量を感じました。
また、アシュトンは農家を舞台にしたコメディー・シリーズを作ったことに対して、「アメリカの広範囲にわたる地域で農業が行われて、それにたずさわる人々も沢山いる。にも関わらずTVのコメディー番組で扱われたことのないエリアだった。僕は、農業も盛んだった小さい町で育ったから、そういった場所に住む人たちのことをよくわかってるつもりだ。普通のTVよりも自由なNetflixという場を与えられて、これまでにスポットの当たったことがない社会を反映して、ただ面白いだけじゃなく人間関係をもっと掘り下げた番組を作りたかった」と語っていました。
ダニーの方がビジネスマンなのかと思いきや、こうやって番組のことをとうとうと語るアシュトンは、TVで見慣れているおどけた青年とは別人の、むしろビジネスマンで、こういう才覚があるからこそ彼はただのイケメン俳優に留まらず、ビジネス面でも成功しているんだなぁ、と納得＆感心したインタビューでした。
（取材・文： 明美・トスト / Akemi Tosto）
Photo：『The Ranch/ザ・ランチ』TCAプレスツアー
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