トム・ヒドルストン、ミア・ワシコウスカの心情を映し出す『クリムゾン・ピーク』の衣装

『パンズ・ラビリンス』や『ストレイン 沈黙のエクリプス』で細部まで凝った世界を作り上げてきたギレルモ・デル・トロ監督が、「絵画のような美しさは、これまで私が創作してきた中で最もお気に入りの作品の一つとする理由である」と自ら語る映画『クリムゾン・ピーク』。そんな監督のこだわりは、衣装にも大きく反映されている。

本作の時代設定は、1901年の秋から冬。当時、「大英帝国」の上流階級は、収入基盤である農業の不振で没落の危機にあったため、その多くが産業発展めざましいアメリカの富豪の娘と結婚するようになった。そんな娘の一人であるイーディスがまとうのは、黄金色のドレス。衣装デザイナーのケイト・ホーリーによれば、この色は「富」を象徴しており、イーディスについては袖の変化で彼女の強さや恋心の変化を表したという。

イーディスは冒頭で、ハリと光沢のある「紳士服仕立て(テイラーメイド)」のジャケット姿で小説の売り込みに行く。その後、イギリス人の準男爵トーマスと恋に落ちると、少し淡い黄金色のスカートにブラウスというガードの甘い服装に変化。その後も、心が傷つく場面では繊細なプリーツをあしらったはかなげなドレス、危険にさらされる場面では身体の線が透けるほど薄い寝間着といった風に、それぞれのシーンにおける心理・状況に合わせた衣装が使用された。

一方、トーマスの姉でありイーディスにとっては義理の姉となるルシールがまとう衣装は、暗い色ばかり。イギリス北部に舞台が移ってからは、重厚なヴィクトリアン・ゴシック様式の屋敷の闇を象徴するような冷たい青緑色のドレスを、コルセットで締め上げている。1880年代初頭のデザインに見えるのは、家が財産を失って没落したため、親の世代の服を直したという設定だからだ。

弟トーマスの服も、アメリカの男性に比べると、カットやネックウェアが古めかしい。屋敷に着いた場面で彼が着ている青いコートも、ベルベットの起毛が擦りきれている上にボタンも取れかかっており、彼らの貧困ぶりを示している。

『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカ(イーディス役)、『マイティ・ソー』のトム・ヒドルストン(トーマス役)、『オデッセイ』のジェシカ・チャステイン(ルシール役)と旬の俳優が競演。その脇を、『サン・オブ・アナーキー』のチャーリー・ハナム、『SUPERNATURAL/スーパーナチュラル』のジム・ビーヴァー、『ストレイン』のジョナサン・ハイドといった、ドラマでおなじみの顔ぶれが固める。

ダークミステリー『クリムゾン・ピーク』は、NBCユニバーサル・エンターテイメントより6月3日(金)ブルーレイ&DVDリリース、同時レンタル開始。(海外ドラマNAVI)

Photo:『クリムゾン・ピーク』
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