2009年から始まったJ・J・エイブラムスが手掛ける映画シリーズ『スター・トレック』でロシア人航海士のパーヴェル・チェコフを演じていたアントン・イェルチンが、交通事故により27歳の若さでこの世を去った。米Varietyをはじめ多くのメディアが報じている。
ロサンゼルス警察の発表によると、アントンは6月19日(日)の早朝、自宅から友人のところに向かおうとして、事故に遭ったと見られている。彼が現れないことを不審に思った友人たちが自宅に向かい、アントンを発見したという。
1989年、フィギュアスケートのスターであった両親のもとに旧ソ連のレニングラードで生まれたアントンは、生後6ヵ月で家族とともにアメリカに亡命。幼い頃から演技を始め、9歳で俳優デビュー。子役時代は、2001年の映画『アトランティスのこころ』の少年役で深い印象を残したほか、『ER 緊急救命室』『TAKEN テイクン』『Huff ~ドクターは中年症候群』といったTVシリーズで活躍。成長してからは、ジョディ・フォスター監督・主演の『それでも、愛してる』やベストセラー小説の主演作『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』、人気アクションシリーズ『ターミネーター4』、さらには日本映画『誰かが私にキスをした』に出演するなど、ジャンルや国を問わず幅広く活動。今年は、シリーズ最新作『スタートレック BEYOND』に引き続き登場するほか、4本の新作が待機していた。
突然の訃報にはハリウッドもショックを隠せないようで、『スター・トレック』の関係者をはじめ、多くのスターが彼の死を悼んでいる。ボーンズ役のカール・アーバンは「信じられない。すごく胸が痛いよ!」と胸中を吐露。一方、エイブラムスは「アントン、君は素晴らしかった。そして親切だった。それに信じられないくらい面白かった。君が恋しいよ...」という手書きのメッセージを投稿。スポック役のザッカリー・クイントも「僕らの親友であり同志であったアントン。僕がこれまでに出会った人の中で最も心が広く、興味深い君を知ることができて光栄だ。感情表現が巧みで、優しい心を持ち、年に見合わないくらい賢明だった」とその才能を惜しんでいる。そのほかにも、ギレルモ・デル・トロ、スティーヴン・キング、アーロン・ポール、クリス・エヴァンス、アナ・ケンドリックといった面々がコメントを寄せた。
その一風変わった魅力で、60本以上の作品を残したアントン。彼の冥福を心より祈りたい。(海外ドラマNAVI)
Photo:アントン・イェルチン(C)Izumi Hasegawa/www.HollywoodNewsWire.net