映画大好きの双子ディレクターが創り出すノスタルジックなSFサスペンス『ストレンジャー・シングス 未知の世界』TCA/Netflix 2016 夏期プレスツアー潜入レポート

春と夏にTV評論家を対象にして行われるTV批評家協会ツアー。春にお招きいただいたNetflix主催のツアーに引き続き、先日行われたNetflix主催夏のプレスツアーにお邪魔してきました!

配信ホヤホヤの話題作から秋にかけて配信がスタートする新シリーズを真っ先に試写させていただくと共に、出演者たちがステージに集うパネル・ディスカッションやインタビューの機会が設けられたこのツアー。今回も大いに盛り上がって、Netflix選り抜きオリジナル・シリーズの取材をしてきました。

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一番手は、7月半ばに配信スタートしたばかりのSFスリラー『ストレンジャー・シングス 未知の世界』。出来立てホヤホヤの本作をまだご覧になったことのない方も多いと思いますが、全米の評論家たちは早くもこのシリーズを「21世紀の『スタンド・バイ・ミー』到来!」などと大絶賛しており、映画・TVファンたちの間でも話題を集め始めている非常にホットな作品です。

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舞台となるのは1983年インディアナ州のとある田舎町。仲良し少年4人組の一人、ウィルが森で突然行方不明になり、残された仲間のマイク、ダスティン、ルーカスたちは勿論、シングルマザーのジョイスも必死でウィルを捜し始めます。捜査の責任者ホッパー警察署長は自分も幼い娘を失った心の傷を抱えており、ウィルの失踪事件が人ごととは思えません。事件解決のために奔走していると、ウィルの失踪した近くに位置するうさん臭い政府運営の研究所に行き当たります。一方、少年たちはウィルがいなくなった場所でそれまでに見たことのない不思議な少女イレブンと出会い、少女がウィル失踪のカギを握っていると判断。不思議な力でウィルと通じているらしい彼女をマイクは両親に内緒で家の地下にかくまうことに。やがて近くの池でウィルらしき少年の遺体が発見されますが、母ジョイスは息子の声を家の壁越しに聞いたと言い張り、ウィルがまだ生きているとホッパー署長に食ってかかります。署長も遺体発見の経緯を不審に感じ始めた矢先、マイクの姉の親友バーバラが突然行方不明に。たまたま現場を写した写真にはこの世のものではない何かがバーバラに襲いかかる瞬間が写されていました。イレブンの周囲で頻発する恐ろしい現象はいったい何なのか?この時点ではまだ誰も小さな町の失踪事件が世界の存在を脅かすことになるとは想像だにし得なかった・・・。
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・・・と、ネタばれしないためにはここらで終わっておくのが賢明ですよね。全8エピソードからなるシーズン1は、見始めたら止まらない一気見症候群になること請け合いのドラマシリーズで、ストーリーの面白さはもちろん、90年代に一世を風靡したウィノナ・ライダーと80年代に大人気だったマシュー・モディーンが久々にハマり役で出演していることや、80年代&90年代映画に捧げるオマージュがあちらこちらに散りばめられて、ノスタルジックな映像作りであることも話題になってます。

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ここで、ウィノナとマシューをご存じないヤングファンの方にひとくちメモ! ウィノナは、ひと昔前にティム・バートン監督映画『ビートルジュース』で人気を博して、『17歳のカルテ』ではアンジェリーナ・ジョリーと共演して話題を呼んだハリウッド女優。ジョニー・デップと共演した映画『シザーハンズ』は、絶対お薦めの名作です。マシューは、マドンナが主題歌を歌ったことでも話題となった映画『ビジョン・クエスト/青春の賭け』が代表作。ちょっとタレ目なところがカワイく、80年代に引っ張りダコだった人気男優です。最近ではすっかり素敵な中年のオヤジ俳優になって(笑)、TVドラマ『Weeds ~ママの秘密』にも出てました。

さて、『ストレンジャー・シングス』を創り出したのは、幼い頃から『スター・ウォーズ』は勿論のこと、ジョン・カーペンター監督やスティーヴン・スピルバーグ監督の作品を見て育ち、9歳の頃からビデオカメラで映画を撮っていたというロス&マットのダファー兄弟。二人は一卵性双生児のため見かけもそっくりでいつも一緒の仲良しコンビ。監督業も必ず二人一組のパッケージ契約で受けるそうです。インタビューの席では、「映画撮影には色々なことが絡むから、押しつぶされそうな気分になるけど、そんな時に兄弟が一緒にいて役割分担できるっていうのは最高のプラス」とコメント。

アメリカ南部ノースカロライナ州出身だというダファー兄弟はまだ32歳。若くして成功している理由の一つに、「今でこそ手軽な映画作りだけど、ひと昔前の小さな町では殆どの人は映画なんて作っていなかった。それを僕らは小さい頃から始めていたので目立っていたんだ」と語っています。「でもロサンゼルスに引っ越してきた時に、僕らと同じように頑張っている人たちが大勢いることを目の当たりにしてかなりショックを受けたよ」と、お互いに当時を思い出したように苦笑い。「でも、とにかく作品を作らせてもらえるまで周囲からウザがられてもシツコク食い下がった!」なるほど~! これは簡単に聞こえますが、実は最も難しい成功へのカギの一つ。この二人から受けた印象は「怖いもの知らず」。障害物だらけのハリウッドをツイン・パワーで開拓していくダファー兄弟の大活躍が今から目に見えるようです。『ストレンジャー・シングス』の早々の大評判から察するに、同シリーズのシーズン2のGOサインが出るのも時間の問題かもしれません。すでに楽しみだな~!!

(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

Photo:『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
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