強靭なローマ帝国に屈することなく抵抗した名将ハンニバルによる戦術や、不屈の奴隷スパルタカスによる反乱など、史上最も象徴的な戦士たちを描いたスペクタクル叙事詩『バーバリアンズ・ライジング~ローマ帝国に反逆した戦士たち~』が全8話の歴史ドキュメンタリードラマとなってヒストリーチャンネル 日本・世界の歴史&エンタメに登場。放送は9月19日(月)~22日(木)23:00~25:00。作品をより楽しんで頂くために、製作プロデューサー、アダム・ブルモア(オクトーバー・フィルムズ プロデューサー)のインタビューを紹介します。
――「ローマ帝国」を舞台にした歴史ドラマや映画はこれまでも多く存在しますが、本作はこの帝国に反旗をひるがえした反逆者たちを中心に描いたドキュメンタリードラマということで、彼らをテーマにした理由はどういったところにあるのでしょうか?
彼らのようなバーバリアンの姿を描いたストーリーは、これまで歴史の中で正式にはあまり語られてきませんでした。なぜなら、"ローマ側"が歴史を書き残して来ましたからね。ですが、そろそろ"バーバリアン側"からの物語を伝える時期だと思うようになり、それぞれの時代でのリーダーや、彼らの人間的な側面を描くためにはどうすればよいのかを考え始めました。当時は、ラテン語を話さない者たちはすべてバーバリアン(蛮族)という位置づけにあったのです。様々な時代に登場したバーバリアンのリーダーを描くことと、自由を勝ち取ろうと暴政に抗い自分たちの規律を貫こうとした者たちを描くこと、これらは現代の人々とも共鳴できるパワフルなストーリーだと思っています。
――本作の制作において留意された点について教えてください。
番組を作る上では、正しい歴史的考証のために最高の専門家をそろえる必要がありました。バーバリアンたちに息を吹き込んで、英雄的な物語を語ってくれる説得力のある俳優も必要でした。ですから、キャスト探しには非常に力を入れました。俳優陣はそれぞれの時代の、異なる目的を持った反逆者の英雄を見事に演じてくれました。ローマ帝国の400年間という壮絶な歴史を描くことは、それ自体が挑戦でもありました。
また、それぞれを繋ぐ共通のテーマも見付ける必要がありました。ハンニバルの時代を皮切りに、400年を経て、ついにガイセリックがローマの滅亡に大きな役割を果たしました。その物語をどうやって伝えればいいのかについては大きな挑戦でした。カルタゴ出身のハンニバルから始まったストーリーが、偶然にもカルタゴ出身のガイセリックで終わるのです。そして独立、勇敢さ、犠牲、というような今日でも強い力を持ったテーマに絞りました。アメリカがなぜイギリスから独立できたのかというテーマと同じです。ローマ帝国とイギリス帝国を同じように描いているつもりはありませんが、視聴者の中には同じように捉える人もいるかもしれません。まさに彼らはローマから自由を勝ち取ったチャンピオンたちなのです。
――どのようにして主要キャラクターを選ぼうと思ったのですか?
選ぶ作業はさほど難しくはありませんでした。もともとローマは宿敵について詳細な記録を残しているわけではありません。ローマの華々しい勝利や政治についてのローマ側から見た記録がほとんどです。ですので、それらの歴史的記述の中から、彼らが苦戦を強いられたであろう反逆者たちの名前を探し出すようにしました。いつの時代もそうですが、ローマ時代も常に反逆者が存在し、平安な時期が一時もありませんでした。しかしその中でも特に火種となったのがハンニバル、ブーディカ、アルミニウス、そして東側からの新しい勢力の波などです。だから自然とそれぞれの名前が挙がってきたという感じでした。私も今回本作を通じ、新しい発見をすることができました。例えばフリティゲルンやゴート族の名は聞いたことがあったとしても、彼らの反逆する目的についてなど、知らなければならないことはたくさんありました。彼らはなぜ、ローマの造り上げた文明、町並みや建造物に満足せず反発したのか。反逆者たちのほうに焦点を絞ることで、逆にローマの暗い部分が炙り出されました。ローマ時代には華々しい文化が多く生まれましたが、その一方で、奴隷として強制労働を強いられた何百何千もの男女がいたのです。ローマの奴隷制や侵略、賦課などの不当な仕組みに反発して立ちあがった人々の歴史を、2016年の今だからこそ、語れるのです。
――アクションやドラマのような娯楽要素も盛り込みながら、かつ学びになるような番組作りをしなければならなかったわけですが、最も大変だったのは何でしたか?
編集の作業が難しかったです。400~500年の歴史を8時間でわかりやすくまとめなければなりません。この時代の歴史は、生涯かけて研究しても足りないくらいのボリュームがありますから、一人のキャラクターだけでも8時間を費やしたいほどです。そのため、各キャラクターの重要な戦いやポイントとなるシーンなどを決めることが大切でした。そして物語を進めるドラマ、インタビューのほか、地図をうまく活用して見せることが大事でした。「いま帝国はどのくらいの大きさなのか」、「バーバリアンたちはどこから迫って来ているのか」、「どの領土を得たのか、失ったのか」、という流れを地図で見ることができます。物語やキャラクターを知ることができるドラマ部分との組み合わせは素晴らしいと思います。歴史専門家も必要でした。21世紀の視聴者が見ても分かりやすいテーマにし、細部まで描写することに囚われすぎないようにもしました。歴史物語ではありますが、誰の指図も受けずに自決すること、侵略に抗うこと、どれも今に通じるテーマです。現代の視聴者に共感してもらえるはずだと思っています。
――セットや衣装もシリーズで重要な要素ですが、どのようなところで撮影が行われたのでしょうか。
撮影はブルガリアで行われました。首都のソフィアの郊外に素晴らしいスタジオがあり、そこでは様々な映画撮影が行われています。そこにあるローマのセットを使いました。『グラディエーター』のコロッセウムなどが設置され、近くには戦闘シーンなどを撮影するのに最適な風景もそろっていました。そこで撮影したシーンにちょっとした映画的マジックを使えば、この時代の戦闘シーンなどが容易に再現できるのです。
――最後に日本の視聴者に向けてメッセージをお願いします。
歴史の新しい見方を発見できると思います。フィクションよりも史実のほうが面白いと思うかもしれません。バーバリアンたちの存在なしに『ゲーム・オブ・スローンズ』は面白くないですよね(笑)。あのような面白いドラマの元になっているのが、このバーバリアンたちなんです。物語も素晴らしいですし、史実の調査もしっかり行いましたので、本当に最高のドラマシリーズになっているはずです。ぜひご覧ください!
『バーバリアンズ・ライジング~ローマ帝国に反逆した戦士たち~』は、9月19日(月)~22日(木)23:00~25:00(ほか)、ヒストリーチャンネル 日本・世界の歴史&エンタメ にて放送スタート!
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Photo:『バーバリアンズ・ライジング~ローマ帝国に反逆した戦士たち~』
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