『リーサル・ウェポン』クレイン・クロフォード(リッグス役)&デイモン・ウェイアンズ(マータフ役)インタビュー

メル・ギブソン&ダニー・グローバー主演の人気アクション映画を、キャストを一新してリブートした新作ドラマ『リーサル・ウェポン』。本国アメリカで9月より放送されると、1ヵ月も経たずにフルシーズン製作が決まった人気作が、AXNにて11月21日(月)より本放送となる。その主演コンビ、リッグス役のクレイン・クロフォード(『ウォーク・トゥ・リメンバー』)とマータフ役のデイモン・ウェイアンズ(『ビバリーヒルズ・コップ』)、マータフの妻トリッシュ役のキーシャ・シャープ(『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』)、製作総指揮者のマックG(『チャーリーズ・エンジェル』『SUPERNATURAL/スーパーナチュラル』)などが出席したTCAプレスツアーでのインタビューをお届けしよう。

――まずはクレインに聞きたいのですが、映画シリーズの1作目でメル・ギブソンは時にリッグス刑事を狂気に満ちた危険な男として演じていますが、あなたは彼をそれほど過激な人物とは考えていないようですね。演じる際、リッグスのことをどれくらい情緒不安定な人物と考えていますか?

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クレイン・クロフォード:映画でのリッグスはコカインをやっていたから何かと興奮しやすいタチだったんだろうね。でもこれはFOXの番組だし、ファミリー向けの時間帯だから、コカインは出てこない。というわけで、僕はリッグスの狂気よりも悲しみの感情に焦点を当てることにしたんだ。僕がもし子どもを失ったら、どうやって悲しみを乗り越え、生活のために働き続けたらいいのか分からないし、その先の人生をどう歩めばいいのか途方に暮れるだろう。でも悪党を捕まえたいという衝動、欲望だけは捨て切れないはずだ...。こんな風に想像して役作りを進めたよ。そして、視聴者の視点からリッグスをなるべく誠実に描くことにしたんだ。確かにメル・ギブソンが1987年の作品で打ち立てたリッグス役はとても素晴らしかった。でも今の時代の視聴者なら人物像にもっとリアリティを求めるんじゃないかと思うんだ。そこで僕は何よりも作品の本質を見極めて、それをベースに過激な演技をしないよう心掛けたよ。

――デイモン、今回の作品では新たに赤ちゃんを授かるパパを演じていますが、実生活でお孫さんはいますか?

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デイモン・ウェイアンズ:ああ、7人の可愛い孫がいるよ。

――じゃあ赤ちゃんを上手に抱っこするのもお手のものですね?

デイモン・ウェイアンズ:どの孫にも触らない主義なんだ(笑)

――赤ちゃんと共演する気分は? もしかして「わあ、もう一人欲しいな」と思ったりしますか?

デイモン・ウェイアンズ:いや、娘や息子が孫を作ってくれるのは大歓迎だし、協力もするけど、自分の子どもはもういらないよ。この年齢(※当時55歳)じゃ無理。いちから子育てなんて勘弁してくれよ(笑)

――赤ちゃんを抱っこするシーンは撮影していて楽しいですか?

デイモン・ウェイアンズ:この歳になると、自分の精子がヘタレて早老症の子どもが生まれるんじゃないか、5歳にして俺より老けちゃったらどうしようって心配なんだよ。...というのは冗談で、子どもは素晴らしいね。子どもは大好きだよ。うちの家族は人材豊富でね。子どもも孫も大勢いるから本当に楽しいよ。小さい子と遊んでいると、自分の違った一面が見えてくる気がするんだよ。そんな雰囲気が作品の中でも出ていたかもしれないね。

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――デイモン、あなたはこれまでパフォーマーとしてショウビジネスの移り変わりを目の当たりにしてきましたが、今回、どこか昔懐かしさを感じさせる作品に出演した感想を聞かせてください。

デイモン・ウェイアンズ:孫がいるからあまりテレビは観ないんだけど、どの番組も生き残るのに必死みたいだね。『リーサル・ウェポン』といえば世界に名高い象徴的な作品だし、タイトルを聞いただけで誰もが微笑えむような名作だ。そんなシリーズをリメイクできるのはいいことだし、この作品が一つのトレンドを作るんじゃないかと思うよ。作品が成功する秘訣はそこに"ハート"があることだ。ほかのリメイクシリーズがうまくいかないのは"ハート"がないからだよ。視聴者は作品を見て、温かく切ない気持ちになりたいんだ。ノスタルジックな作風はまさにそんな気持ちをかき立ててくれると思う。

――クレイン、あなたは本作に出る前はのどかなアラバマ州で幸せに暮らしていたんですよね。この仕事が来た時は緊張しましたか?

クレイ・クロフォード:いかにも(笑)

――その時のことを少し聞かせてください。

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クレイン・クロフォード:そうだな。これが舞台劇なら一人の俳優しか演じていない役なんて滅多にないから、喜んで挑戦するんだろうね。でも映像の場合は作品がずっと残るから、特定の作品が時代を超えて人々の印象に残り、ほかと比較されてしまう。この役を引き受けるにあたって、それが一番怖かったよ。だって誰もが知る通り、映画シリーズは素晴らしい出来映えだし、メル・ギブソンときたらこのキャラクターを完全に我がものとし、美味しいところをみんな持ってっちゃったからね。だから僕は台本を読む気にすらなれなかったんだ。それに住んでいるアラバマ州を離れるのも気が進まなかった。ロサンゼルスに15年住んだ後、子どもたちとひっそり暮らせるアラバマの生活がとても気に入っていたからね。でもいざ台本を読んだら、役者魂を抑え切れなくなってしまった。僕は今だって中身はカウボーイごっこが大好きな小学生のままだからね。

というわけで台本を読んだら、心の傷を負ってもなお正義を貫こうとするヒーローを演じるというオファーを断ることはできなかった。でもすぐに心の底から...怖くなった。毎日、撮影現場に通うのも怖い。どうやってやり通せばいいのか分からない。でも(製作総指揮を務める)マット・ミラーとマックG、そしてワーナー・ブラザースとFOXのスタッフに全幅の信頼を置いているから、みんなでベストを尽くすよ。現場に任せればうまくいくって信じているしね。

マックG:クレインはちょっと謙虚すぎるんだよ。ほらミラー、ここで話しても構わないだろ? クレインはね、常に内なる自分と葛藤している人間なんだ。彼がミーティングに現れた時なんて、それこそ不安と苦悩の塊だったよ。「アラバマを離れたら心の平安を保てない」とか「農場に戻って裏庭の木を倒しながら今回のオファーについてよく考えたい」とか言っていた。指で髪の毛をかき上げては、心臓が飛び出さんばかりに落ち着かない様子だったんだ。それを見てマットと僕は内心、小躍りしたよ。何とかこの男に契約書にサインさせようと必死になった。というのも、僕たちがリッグス役に求めていたのはまさに彼のような男だったからだ。そして彼なら視聴者もメル・ギブソンの強烈なイメージとは異なる次世代のリッグス像を無理なく受け入れてくれるという直感があったんだよ。その後、ようやく合意し、「やった。その気になったぞ」と思った時のことだ。クレインが「もう一度よく考えてくる」と言って、いきなり山登りに行ってしまったんだ。山って何なんだよと言いたかったね。あの日はワーナー・ブラザースのピーター・ロス社長も同席していたし、みんなリッグス役が誰になるのかを心待ちにしていたのに、クレインが山のてっぺんから降りてくるのを待つ羽目になった。「もしかしてあのままトンズラしてアラバマに帰ったんじゃないか?」と心配しながらね。

クレイン・クロフォード:森に行くと考えがまとまりやすいんだよ。頭がめちゃくちゃすっきりするんだ。

キーシャ・シャープ:それってすごくリッグスらしいわ。

クレイン・クロフォード:リッグスらしいかは知らないが、クロフォード流であることは確かだ。うちのおやじも大きな決断をする前には必ず山に登っていたんだ。ちなみにこの山っていうのは祖父が所有する何の変哲もない山で、南米の最高峰とかじゃないからあしからず。

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――クレインにお聞きします。あなたはこの4年、ドラマ『Rectify(原題)』で重いうつ病に苦しむテディというキャラクターを演じてきましたね。彼はとても健全とは言えないやり方で病気と向き合っていましたが、うつ状態という点でリッグスとテッドをどのようにとらえていますか?

クレイン・クロフォード:テディは単に臆病で哀れな男だったから、臆病心を見透かされないようにひたすら見栄を張っていた。かたやリッグスは周囲がどう思うかなんて全く気にしない。だから両者はまったく違うと思ってるよ。テディは自分が何者で何を求めているのかが分からず、役割を演じるうちに自分を見失ってしまった。周囲に与えられた虚像、他人に押しつけられたイメージを演じていたんだね。一方のリッグスは自己を確立しており、揺るぎない自信と強固な意志の持ち主だが、大切なものをすべて失った過去がある。というわけで二人の演技のベースは全く異なる。でも、僕はテディを哀れに演じたことはないよ。彼を演じる時には、崖っぷちにしがみつきながらズルズルと落ちていく人間をイメージしていた。それに対してリッグスは落ちるに任せるタイプと、大違いだね。リッグスは演じていて楽しいけど、テディはどう考えても演じて楽しいキャラクターではなかったね。ストレスで胃がねじれそうになったよ。『Rectify』は苦悩の過程を描いた作品だから仕方ないけど。それに比べて今回の作品は楽しいね。暴れ回ったり、車からジャンプしたり、毎晩誰かをぶちのめしたりできて、すごく楽しいよ。

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■『リーサル・ウェポン』放送情報
AXNにて11月6日(日)に第1話プレミア放送(無料放送)、11月21日(月)よりレギュラー放送
番組公式サイトはこちら

Photo:『リーサル・ウェポン』
(C) Warner Bros. Entertainment Inc.