『エージェント・オブ・シールド』ミンナ・ウェン直撃インタビュー in LA

マーベルの人気ドラマ『エージェント・オブ・シールド』で、シールドをフィル・コールソンとともに支えるメリンダ・メイ役のミンナ・ウェンをロサンゼルスで直撃! 口数が少なくあまり表情の変わらないメイとはまるで正反対の、笑顔とジョークの絶えない饒舌トークで、意外なオタクとしての一面やメリンダとの共通点について語ってもらった。

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――メリンダ役に決まった時のリアクションを教えてください。

「ジョス・ウェドンと仕事? なんでオーディションなんか受けたのかしら?」って感じだったわ(笑) ...なんて冗談よ。それはそれは大喜びだったわ。実は私、サイファイの大ファンなの。サイファイ・オタク・ガールとしては、この役をもらうってまるで宝くじを当てたのと同じくらい興奮する出来事だったわ。知った時はバスルームにいたの。トイレに座ってた訳じゃないのよ(笑) メイクを落としてたの。エージェントからの電話で、決まったって教えられて、声が枯れるほど叫んだわ。あまりの叫び声に夫が心配してバスルームに飛び込んできたくらい(笑)

――それ以来、メリンダ役を4年にわたって満喫してるんですね。メリンダという女性をどう見ていますか?

愛を探している普通の女の子よ(笑) パイロット(シーズン1の第1話)では彼女がどんな女性かはっきり見せなかったのよね。実は彼女が強い女だというのは後で分かるの。ミステリアスなキャラクターよね。役作りが難しいの。メリンダはあんまり感情を出さないでしょ? あんまり喋らないでしょ? 最初は「どうやって役作りすればいいの?」って感じだったわ。時間をかけて脚本家とも話し合って、少しずつメリンダという人物を作っていったの。私がこれまで出会ったキャラクターとはかなり違うわね。いろいろな人の特徴を混ぜ合わせて作り上げたの。一筋縄ではいかないキャラクターよ。

――メリンダのように表情を変えない、感情をほとんど出さないキャラクターというのは役者泣かせなのでは?

そうね。役者は自分の演技力を見せたいものでしょう。だから演技をさせないキャラクターは難しい。最初はちょっと戸惑ったわ。でも内面の動きを上手く滲み出させれば、それなりのメリンダ像が見ている人に伝わるんじゃないかと思ったの。メリンダとして自分の中で感じているものの真実性を果たしてどこまで伝えられるかが心配だった。ただの無口のおばさんとしか伝わらなかったら困るから(笑)
でも番組がスタートしたら、いろんなファンからポジティブな反応をもらったし、それに感情を出さない人って結構いるでしょう? ステレオタイプで言うわけじゃないけど、私たちアジアのカルチャーでは感情を露にしないことが良いとされてる部分もあるし。メリンダを気に入ってくれる人が沢山いたことが嬉しかった。今では彼女がシールドのチームのお母さん役、見守り役っていう感じになったのが嬉しいの。

――彼女はマーシャル・アーツの達人ですし、身体的にも精神的にも強い人ですよね?

そうよ。飛行機の操縦もできるのよ。

――身体的なトレーニングは常にやっているのですか?

今は毎日決まったことはしていないけど、以前はダンス、マーシャル・アーツ、ステージ・コンバットの訓練を欠かさなかったわ。一時はストリート・ファイトもやってたし。もっと若い頃はキックボクシングとかの違うスタイルのマーシャル・アーツをベニー・ザ・ジェット(マーシャル・アーツのコリオグラファー)とやっていたの。それとヨガはずっと続けてる。身体を柔軟にしておくにはヨガが一番。スタント・ファイティングは4年続けているわ。

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――これまでで最も印象的なシーンは?

シーズン2でメイとメイ(一方は、彼女に化けた偽者)が対決した時ね。シルバードレス vs ランジェリー(笑)。両方のメイのファイト・シーンをやらなければならなかった。うち一方を私が演じている時は相方をスタントマンにやってもらうという形で、両方のメイを私が担当したの。16時間くらいかけて撮影したのよ。その撮影の終わりの頃、私の頭の下げ方が足りなくてスタントの蹴りが頭に入って、上下の歯がぶつかって歯が欠けてしまったの。口から歯のかけらが飛び出したわ(笑) 撮影が終わってから歯医者に行ってうまく治してもらった。すごく誇りに思ってるシーンよ。痛み? それはなかったわ。

――お話だけ聞いていると、メリンダとあなた自身の間に共通点が見えないんですが、演じていてメリンダと似てると思う部分はありますか?

強さね。ハリウッドで生き抜くには強さが絶対に必要だわ。それに私の場合、子ども二人を育てていく強さもね。上の娘はティーンエイジャーだし。二人の子どもは上が15歳、下が10歳なの。私とメリンダの共通点は、まず二人ともアジア人でしょう? それから忠誠心ね。私は友達や家族にものすごく忠実よ。だからメリンダのシールドに対する忠誠心がよく理解できるの。コールソンに対する誠実さや友情、家族を守ろうとする気持ちの強さ。そういった彼女の思いが手に取るように分かるのね。だから彼女が彼らを守るために取る行動の理由が理解できるの。それから飛行機の操縦でしょう?

――あなたも操縦できるんですか?

いいえ、ただ言ってみたかっただけ(笑) 飛行機の操縦はできないけど、地上でスピードが出るスポーツカーの運転なら上手いのよ! 赤いコルベットのスティングレーに乗ってるの。今日もそれに乗って来たのよ。ロリータって呼んでるの。コールソンの愛車であるコルベットの名前はローラでしょ。私のはその孫って感じだからロリータなの(笑)

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――二人のお子さんのお母さんということですが、どんなお母さんですか?

多分、厳しさが足りないんじゃないかしら? でも良い母親だと思うわ。料理上手だし、子どもたちへの愛情はたっぷりだし。やっていいこと、悪いことの区別がきちんとできる大人になってほしいから、その辺はできるだけ厳しく教えているの。一つだけ後悔してるのは、中国語のレッスンを途中で止めてしまったことね。私はマンダリンと広東語が両方完璧だけど、子どもたちはちょっとしかできないの。もっと教えるべきだったわ。

――メリンダはミステリアスなキャラクターですが、ミステリアスな人を演じる上で何か鍵になるものはありますか?

ミステリアスっていうのは修飾語だから、あるキャラクターにミステリアスな要素を足すことはできてもミステリアスそのものを演技することはできないんじゃないかしら? メリンダのミステリアスさは、感情を表に出さないということと無口だということからきてるのよね。彼女は感情表現ができない、もしくはしないという部分がミステリアスな訳で、それは彼女が何を考えているのかを相手に分からせないように、自分を守るために使っている自己防御方法でもある訳なのね。彼女の過去がいろんな形でメリンダというキャラクターを作り上げているの。ポーカーの名手って感じじゃない。相手に自分の手の内を見せないで勝つっていう。

――でもメリンダは黙っていても喜怒哀楽の感情が滲み出てますよね。それは?

それこそ私の秘密の武器!(笑)

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――シーズンが進むにつれて次第にメリンダは変わってきますが、その変化をどういう風に取り入れてますか?

メリンダは変わりつつある! それは確かね。今シーズン4撮影の真っ最中だから、シーズン3で起きたこととシーズン2で起きたことの区別がつかなくなってるの。(と、関係者にシーズン3で何が起こったかを聞いて)まず、メイの元夫アンドリューが彼女の人生に再登場してきたことが彼女の変わった理由の一つよね。二人が別れた理由は、嫌いになったとかじゃなくて彼女の仕事のせいだったから、アンドリューがメリンダにとって生涯愛する人だというのは変わっていない。彼の再登場で彼女は複雑になる。人間的な部分がかなり引き出されるの。彼との思い出がフラッシュバックする場面はとっても好きなシーンだった。彼女の顔に笑顔が浮かんだでしょう? あれはレアなことよ(笑)

――あなたの宿敵ウォードとのことは?

ウォード! 彼にはとても嫌な思いをさせられてるわね。完全にしてやられたって感じでしょ? 裏切りって許せない行為だから。家族として信じて心を許していたのに、その間ずっと彼は裏切り行為を続けていたってことよね。メリンダは彼の本心を見抜けなかった自分を責めているの。悔しい思いをしているのよ。特に彼とはただの同僚ではなかった訳だから。彼の方が真実を隠すのが上手かったというのも悔しいことね。まるで死んでも死に切れないみたいな気分なのよ。彼の嘘を丸ごと信じてしまった自分の不甲斐なさに歯ぎしりしてる感じで、彼女は以前にも増して復讐に燃えてるわ。ますます人を信じなくなっていくの。

――メリンダのどんなところが好きですか?

私、彼女になりたいのよ。憧れてるわ。あの強さ、勇気は素晴らしいと思う。彼女はやるべきだと決めたら、何にも振り回されず、振り向かずに進む。こうすると決めたら実現するまで、ああだこうだと考えずに突き進む。その集中力はすごいものよね。中国系アメリカ人として育った私は、いつもアメリカ社会に上手く溶け込むために、こんなこと言っていいのかしら、こんなことをしたらマズイかしらということばかり気にしていたわ。だから、彼女の周囲に振り回されない、確固とした生き方と勇気がとても素晴らしいと思うの。

――この役から学んだことは?

ハイヒールを履いてても凄いスピードで走れることね(笑) ファイトシーンには慣れてるけど、ちょっと高所恐怖症だから高いところは好きじゃないの。ある時、走っている電車の上に乗ってファイトシーンをやらなければならなかったの。「イヤよ、あの上には絶対上がらないわ。ノーノーノー」って電車の上に上がるのを拒否してた。でもプロデューサーと監督が「絶対安全で大丈夫だから。危険なことは何もないよ」と細かく説明、説得してくれてやることになったの。セーフティのワイヤーを付けてやったんだけど、おしっこを漏らすこともなくちゃんとできたわ(笑) メリンダならやれる、私にもやれるというのが励ましだった。彼女の勇気をもらったというのかしら。メリンダ・メイを演じてる時は、自分で自分の背中を押して限界だと思っていることに挑戦できるの。自分にチャレンジするというのかしらね。

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――お気に入りのシーン、あるいはお気に入りのエピソードは?

それって自分の子どもの中でどの子がお気に入りかを決めなきゃならない感じじゃない。困るわ。でもどれかを選ぶなら、一番最初のエピソードかしら。4年間ファミリーとして苦楽を共にしてきたこのシリーズのファミリー紹介だったから。それから(元夫アンドリュー役の)ブレア・アンダーウッドと共演した時も楽しかった。彼とはすごく仲が良いの。大学時代のクラスメイトなのよ。(どこの大学か?)カーネギーメロンの演劇専攻よ。卒業後、今回初めて共演したの。楽しかったわ。

――サイファイ・オタクだとおっしゃっていましたが、アメコミベースの映画やドラマシリーズがなぜこれほどまでに人気なのだと思われますか?

どのコミックも人間から、人間の体験から生まれたストーリーというのがまず第一の理由じゃないかしら? どれだけ突飛なストーリーに見えてもすべてが、人間の体験、欲望、絶望、愛憎、喪失、善と悪の戦いから生まれたものでしょう。だから見ている人の心の中に入ることができるのよ。見る人が共鳴できることがベースになっているから人気があるんだと思うわ。その上、人間の体験からもう一段も二段も持ち上げている。それをベースにして非現実的な世界に連れて行ってくれる。スーパーパワー、怖いもの知らず、考えられないパワフルな行動、やりたいけどできないこと、言いたいけど言えないことをコミックのキャラクターはどんどんやってくれる。私がコミックやサイファイが大好きなのはそんな理由からなの。『スター・ウォーズ』最高!!

――アメリカン・コミックスでお気に入りのヒーローは?

ハルクかしら。変人の科学者が怒ると緑色の超人ハルクになるっていうのがとってもよくできてる話だと思うの。それにハルクはどんなに怒って巨大になってもちゃんとパンツを履いているでしょ?(笑) キャプテン・アメリカも好き。(キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスはハンサムですよね?と聞かれて)彼とは以前共演したことがあるけど、実物もとってもハンサムだったわ(笑) 友達っていうほど仲良しじゃないけど、何かあればメールする仲よ。

――これからシーズン3を見る日本のファンにメッセージをお願いします。

シーズン3はある面でよりシリアスなストーリーになっていくと言えるわ。コミックブックのファンを喜ばせる要素で、ダークな運びになっているの。マーベル・コミックスのファンにはたまらない要素よね。シールドとヒドラの確執が深まって、アクションも増えるし、すべてが良くなっていっていると思うわ。

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■『エージェント・オブ・シールド』シーズン3 商品情報
・2月3日(金)
 ブルーレイCOMPLETE BOX(20,000円+税)、DVD-BOX Part 1(4,700円+税)発売
 DVD Vol.1~6 レンタル開始
 デジタル配信開始
・2月17日(金)
 DVD-BOX Part2、DVD-BOX Part 3(各4,700円+税)発売
 DVD Vol.7~11 レンタル開始
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

■『マーベル エージェント・オブ・シールド 3』放送情報
全国無料のBSテレビ局Dlife(ディーライフ/BS258)にて1月21日(土)放送スタート!
[二]毎週土曜 21:00~
[字]毎週金曜 27:00~

Photo:
ミンナ・ウェン
『エージェント・オブ・シールド』
© 2016 MARVEL & ABC Studios