妄想好きには理想のドラマ!?『タイムレス』ボイスキャスト直撃インタビュー

海外ドラマ専門チャンネルAXNにて4月2日(日)よりスタートとなる、歴史体感サスペンス『タイムレス』。秘密裏に開発されたタイムマシンを盗み、歴史上重要な出来事の数々を変えようとする謎の男フリンの企みを防ぐために集められた、歴史学者のルーシー、軍人のワイアット、タイムマシンに精通するルーファスという異色の3人組は、ヒンデンブルク号爆発事故やリンカーン大統領暗殺、ウォーターゲート事件といった歴史を守ることができるのか――。

本作の日本語吹替版を担当する加藤有生子さん(ルーシー役)、中村悠一さん(ワイアット役)、高木渉さん(ルーファス役)を直撃! 演じるキャラクター同様にテンポ良い会話から飛び出す、作品の魅力はもちろん、未来や過去への妄想たっぷりのトークをどうぞ。

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――本作を初めてご覧になった感想は?

中村:誰から行きましょう?

高木:どっちからでも。

中村:じゃあ、僕から。

高木:行っちゃうんだね。もう、「左に同じです」とかになっちゃう(笑)

中村:非常に手間とお金がかかっていそうだなあ、というのが率直な感想ですね。使い回せるのは主人公たちが使っている研究施設のみで、毎回ロケですし、時代もそれぞれ違ってセットや衣装はそのたびに作ることになるから、大変そうだなあ、と。

加藤:左に同じです(笑) でも、すごく心をつかまれました。私ってちょっと妄想癖があるので、いろんな時代に行けるというのは、理想とするドラマですね。キャストの方もみんな素晴らしいです。

高木:ええ、そうですね。

中村:(笑)終わりっすか?

高木:いやいや、面白いと思った。ドラマチックで、歴史の勉強になるなと。あんま、俺、勉強しなかったから。よく作られたドラマだなと率直に思いましたね。次どうなるんだろう、と興味が沸く作品で、すごくスピーディーでテンポがいいです。現在、アメリカで放送中だそうで、続きが早く観たいです。ディレクターさんですら最後どうなるのか知らないので、「みなさんの本当の設定をまだ説明できなくてすみません」なんて言われるくらい、製作側もドキドキしながら展開を楽しみにしているんです。

――ご自身が演じるキャラクターの第一印象、演じてみての感想を教えてください。

高木:(しばらく沈黙のうち)俺か?

中村:僕から行きましょう(笑) これは「左に同じ」にならないんで。僕が演じるワイアットは、最初は皮肉がちだったりするんですが、それは本心からではなく、そういう外見を作っていく人なのかなと思いました。なので、話数を追っていくごとにチームワークが芽生えて、仲間に信頼を置いていくごとに少しずつ柔らかい部分、人間らしい部分が出てきたのかなと思います。僕も最近分かったことですけど、過去にいろんなことがあったようで、先程高木さんがおっしゃったように、分からないまま話が進んでいって、後で「あ、そういう過去があったんだ」とだんだん設定を知りながら作っている状態です。

 

加藤:私が演じるルーシーは、最初はすごくツンとしている印象だったんですけど、物語を見ていくと、すごく感受性豊かで、一つのことに対して真面目で涙を流したりだとか、盛りだくさんな女性ですね。私ってこれまではどちらかというと顔が横に広い人の声をあてることが多かったので、ルーシーを見た時、「あ、こんなに顔が細い人をやっていいんだ」とその顔の形にびっくりしました(笑) 彼女の感受性豊かなところをちゃんと表現できたらなと思っています。

 

高木:僕が演じるルーファスはタイムマシンのパイロットですから、僕がいなければその時代に行けないという点ではすごく重要なんですけど、その時代に行ってからはフリンの行動を阻止する上で他の二人が中心となるんですよね。ルーファスは、おじいちゃんの時代の人種差別といった影の部分があるので、その時代に行くのが嫌だとか思いながらも、パイロットとして向かっていたんです。でも3話、4話とストーリーが進むうちに3人で行動するようになってきたので、信頼関係が構築されてきて僕にも仕事ができて、やり甲斐のある展開を楽しめています。

 

――タイムマシンが出てくる作品だと運命を変えようとするものが多いですが、本作は変えようとする者を主人公たちが止めるという展開です。その過程で、彼らは死ぬ運命の人を見殺しにしなければならないというジレンマも味わいます。ルーシーは運命を変えることに原則反対で、ワイアットとルーファスは時には変えてもいいという意見ですが、もしご自身が彼らのような立場に置かれた場合、運命をそのままにすべきだと思われますか?

加藤:私は...変えるかな。

高木:変えちゃうんだ。

加藤:その場に合ったことをやっちゃうかな。

中村:思ったことを?

加藤:うん。

高木:じゃあ、変えちゃった後で自分の時代に戻るの? その時代に居続けるんじゃなくて? その時代で生き続けてもいいわけでしょ。歴史には残らないわけだから、ある意味。それとも、変えた後で戻る?

加藤:戻るかどうかはともかく、助けちゃいけないってわけじゃなくて、助けちゃうかな、と思ってます。

高木:そうやって歴史を変えたことで別に死ぬ人が出ても?

加藤:あー...。

中村:なんで追い込んでるんですか(笑)

高木:俺、こっち側(インタビュアー席)に来ようかな(笑)

加藤:ルーシーのような歴史学者としての立場ではいられない気がします。

高木:俺は基本的には変えないと思う。自分が来た時代に戻るのであれば。そこをいじくっていいのかな、と思うので、基本的には変えたくないかな。ただ、ルーファスの言っていることも分かるし...難しいよね。

中村:僕も、この作品で取り上げているような、歴史が動くポイントは変えない気がします。500円玉を落とした人が気づかずそのまま行くところを、「落としましたよ」って教えてあげるような、これでどうにかならないだろうってところはするかもしれないですけど(笑) ここでこの人が生きるか死ぬかで大きく変わるんだとしたら、先程おっしゃってたように、歴史を変えることによって新たに不幸になる人が出てくるって考えもあるので。

高木:その500円玉が元で大統領の運命が変わるかも。

中村:じゃあ、もう触れませんよ。ずっとこうやって手を組んで、何も触らずに見て回ります。いや、いっそ行かないです。歴史をいじれないなら行かない。

高木:そっか。じゃあ、行くってことはいじっていいんだ。

中村:いじるか、単にその時代を見てみたいということで行くか。

高木:単なる傍観者として。

中村:そうですね、戦国時代ちょっと見てくるわ、って。

高木:まあ、俺ならドラえもんのタイムマシンで行くかな。だって本作のタイムマシンって酔うでしょ? 改良すればいいのに、時代を行き来するたびに気分悪くなるもんね。...ってそういう話じゃないか。でもこういう話って夢膨らむよね。

 

――もしタイムマシンに乗れたら、過去・未来のどちらへ行きたいですか?

高木:もし未来に行って何か見ちゃって、現代に戻ってから「ああはなりたくない」って行動を起こすと、結局は過去へ行って歴史を変えることと同じですものね。だから、未来へは行きたくない。見たくない。過去へ、中村くんみたいに傍観者としてなら。とはいえ、やっぱり少し会話しちゃうかも。「旅の者です」とか言って(笑) 会ってみたい人、話してみたい人はいるものね。歴史を動かさない程度で。

加藤:私も未来へは行きません。過去なら、行きたいのは恐竜が生きていた時代。あの大きさが本当なのかをちょっと見てきたい。食われないうちに(笑) あと日本なら、卑弥呼がいた時代ですかね。どんな人なのかな、と。

中村:僕は過去か未来かっていうと、見てみたいのは未来な気がするんですよね。幼い頃に読んでいたものに書かれていた未来図って、実際その時代に追い着いてみると書かれていたものとは違っているじゃないですか。本作は近未来の話だと思うんですけど、じゃあ、それって来てんのかな、と。あの人死んでた、みたいな歴史の細かいところは見たくないんですけど、街並みがどうなっているのか、自動販売機がどうなっているのか、といったレベルのものは見てみたいです。

高木:行っちゃおっか、やっぱり。

一同:(笑)

高木:だって、新たな史跡が出てきて、過去の事実が僕たちの知っていたものから変わることあるもんね。固定観念みたいなものになっちゃってるけど、そうやって新たな事実が出てきたりすることを考えると、未来に行ってちょっとだけ動かしちゃおうかなって。さっきの500円玉の話に戻ると、そんなに大きく時代は動かさないように。

 

――本作の中で、言ってみてすごく気持ち良かったセリフはありますか?

高木:今日収録したお話良かったよね。ワイアットが子どもに...って、それ好きって言おうと思ってた? なら俺言わないよ。

中村:大丈夫(笑)

高木:ワイアット自身の経験とオーバーラップする部分で、のちにテキサスの市長になる少年に、戦場から離れるというのは一番辛い。でもそれが一番大事なことだから...っていうようなセリフだったと思うので、確認してほしいんですけど。

中村:(爆笑)そんな感じです。

高木:そこはすごくオーバーラップしたよね。

加藤:結構深いですよね。一話一話が。各エピソードが映画一本分くらいの厚みがある気がします。

高木:そういえば、リンカーン大統領のエピソードで、「歴史を守るのが仕事」だというルーシーに対してルーファスが「金持ちの白人の歴史だ。俺の歴史は違う。無茶なのは分かってるけど、ここで状況をいい方へ変えられるんだからやらせてくれ」っていうくだりは言ってて気持ち良かったね。じいちゃんも苦労したんすよ。黒人は後ろの席で、手を洗う場所も別々だったりとか。この3人の中でも、信頼関係を構築していきながらもそれぞれの立場でちょっとしたケンカみたいなのはあるんでしょうね。だから、あの場面では「俺、言ってやったよ!」って感じでした。

加藤:私はやけに「ワイアット」っていうセリフが多いんですよね。今日の収録でもずっと「ワイアット」って言ってました。

高木:好きなんじゃないの? 一回も「ルーファス」って言ったことないよね。

加藤:(笑)そうなんですよ。

中村:ルーファスは前線にいないから。

高木:あ、そっか。

中村:ワイアットとルーシーはよく一緒にいるから。

加藤:「ワイアット」って怒ったりとか...そんな印象です(笑)

中村:僕は、まだお気に入りはないですね。これから出てくるんじゃないかな。始まったばかりなので、この時点で言い切った感にはなりにくいかな。特にワイアットはまだモヤモヤしている状態で、奥さんのこともまだ解決しきっていなくて、仲間といろんなものを見てきて、これから変化していくと思うので。今日の回では軍隊にいた時のトラウマを乗り越えるきっかけにはなったと思うんですけど、まだまだ彼自身の問題が山積みなので、その段階を越えられたらもう少し発散されていく人物なのかなと思います。

高木:謎多いよね。

 

――最後に、本作の中で特に楽しんでほしいところを教えていただけますか?

中村:やっぱり一番のポイントは、実際にあった過去に行って、実在した人たちとのやり取りがあるってことですよね。海外の歴史ですから、細かくは知らないことが多いと思うんです。僕自身、この作品を通していろいろと具体的なところを知りました。フランク・シナトラのように比較的近い時代のものもあって、面白く楽しみつつ、勉強になるのかなと。日本のことは結構知っていても、海外のことってそこまで知らないと思うので、そこは注目していただきたいです。

加藤:まさに左に同じ。

中村:駄目ですよ(笑)

加藤:本当に、歴史には注目してほしいです。時代に合った衣装や、歴史上の人物にそっくりのキャスティングも見どころです。リンカーン、CGですかね。そっくりでしたよね。あと、みんなが苦悩を抱えているっていうのもグッときます。

高木:二人が言うように、衣装や文化も含めて歴史が楽しめるし、フリンも含めた登場人物それぞれに、良いか悪いかは別にして目的がある。そしてその目的を達成するための弊害になるものが戦いになってしまうというのが、僕自身、すごく興味があります。視聴者の方にもそこを楽しんでもらいたいですね。みんなの目的は何なのか。それが見えてくる頃...最終回なのかな? いくらでも話作れそうだよね。本当に楽しいです。ただ、タイムマシンは改良しないとな(笑)

 

『タイムレス』は海外ドラマ専門チャンネルAXNにて、字幕版が4月2日(日)22:00より、二ヶ国語版が4月3日(月)23:00よりスタート。
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