あの"親子関係"は本物!『オクニョ 運命の女(ひと)』来日記者会見

現在NHK BSプレミアムで放送中の、韓国時代劇の巨匠イ・ビョンフンによる最新ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』。朝鮮王朝時代、典獄署(チョノクソ)という監獄で生まれ育った少女オクニョが、母の死の謎を探るうち、朝鮮王朝を揺るがす強大な陰謀に巻き込まれていく...というストーリーの本格時代劇だ。

放送開始を受けて、3人の出演者が来日。主人公オクニョ役のチン・セヨン、オクニョを目の仇にする権力者チョン・ナンジョン役のパク・チュミ、オクニョの育ての親であるチ・チョンドク役のチョン・ウンピョが記者会見に登壇したので、その模様をお伝えしよう。

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満場の握手で迎えられた3人は、日本語を交えて挨拶。チン・セヨンが「このドラマが韓国で初めて放送された時に感じた、最初のドキドキ感をあらためて感じられるようにしてくださったみなさん、ありがとうございます」とお礼を述べると、続いてパク・チュミが「韓国で放送が終わってから半年ほど経ちますが、またこうして再び悪の枢軸として強い姿でみなさんの前でご挨拶をさせていただくことになりました」と冗談を飛ばした。

その後、普段からコミカルなトークで知られるチョン・ウンピョが、饒舌ぶりを披露して会場を何度も沸かせた。「今日は私への質問はあまり出ないでしょうから、ここでたくさんしゃべりたいと思います」と前ふりすると、自身が演じるキャラクターや、当時の女性の立場、作品の魅力などに言及。挨拶の最後には、「少ししゃべりすぎてしまったようですね。もうみなさん、飽き飽きしていらっしゃるようです。この後にある質疑応答の際には、チン・セヨンさんとパク・チュミさんにたくさん質問していただき、私へは質問していただかなくて結構です」と言ってさらに大きな笑いを誘った。

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質疑応答で、出演が決まった時の心境について聞かれると、これが初の大役となるチン・セヨンは、嬉しさと同時にプレッシャーに襲われたことを打ち明けつつ、「オクニョがどんなことでもこなせるという多才多能な役なので、その賢さと明るさをどうやって一緒に見せていくかについていろいろと気を付けました」と、役作りで意識した点を説明。

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一方、三大悪女の一人として知られるチョン・ナンジョンを演じたパク・チュミは、これが自身初の悪役ということで「180度変わるくらいの大きな変身だった」そう。しかし、イ・ビョンフン監督とは15年ほど前にも一緒に仕事をして信頼を得ていたこと、自分のスキルが上がっていたことで、悩みながらもイメージチェンジを果たすことができたという。そんな自身演じるチョン・ナンジョンと、キム・ミスク演じる文定(ムンジョン)大妃(テビ)、チョン・ジュノ演じるチョン・ナンジョンの夫ユン・ウォニョンという"悪役三人衆"にも触れ、「このように多彩なキャストが配置されたことでドラマがより魅力的になったと思います」と分析した。

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そしてチョン・ウンピョは、本作の出演が決まる1年ほど前、偶然同じレストランにいたイ・ビョンフン監督に夕食をおごってもらったエピソードを披露。その恩返しがしたいと思っていたので、この作品の話が来た時にはどんな役なのかを聞く前に「やらせてください! やります!」と答えたそう。彼が演じるチ・チョンドクは追われていたオクニョの母親を偶然助けることになり、彼女が亡くなった後はオクニョを親代わりに見守るという設定なので、最初の数話で出番が多いことにプレッシャーに感じたこともあったとのこと。しかし、演じた甲斐はあったようで、「陰から見守っている様子をどうやったらうまく表現できるだろうと心配しながら役の準備をしていたのですが、最後までオクニョを愛することができて本当に幸せでした」としみじみと振り返っている。

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そんなオクニョに対する愛情は、当人や周囲にもちゃんと伝わっていたようだ。チン・セヨンが「チョン・ウンピョ先輩は第二のお父さんのような存在で、精神的な支えになってもらい、撮影スケジュールが本当に大変な時も、一緒のシーンではすごく安らぐことができました」と話すと、パク・チュミも「チン・セヨンさんとチョン・ウンピョさんは、私が見ていても本当に父と娘のようで、その間柄は本当に温かいものがありました」と続けた。さらに、その親子関係を象徴する具体的なエピソードとして、暑い撮影の中、「スイカが食べたい」と言ったチン・セヨンのためにすぐにチョン・ウンピョがスイカを用意した時の模様も教えてくれた。一方で、オクニョの敵を演じるパク・チュミにはつれなかったようで、「夏が終わって秋になっても私には全然スイカを買ってくれませんでした(笑)」と冗談を交えて語っている。

チョン・ウンピョ自身、1年ほどかかったこのドラマでは大いに感情移入してしまったことを認め、チン・セヨンを本当の娘のように思う一方、パク・チュミについてはオクニョをいじめる嫌な人というイメージが染みついてしまったんだとか。「でもそう思ってしまったのは、パク・チュミさんの悪役の演技が本当に素晴らしかったからなんです。今年の夏はパク・チュミさんにもスイカを贈りたいと思います」と、相手の演技を称えつつ、夏のお返しについてパク・チュミと指切りで約束した。

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最後は、時代劇ゆえの楽しかったこと、苦労したことについて聞かれ、ベテランのチョン・ウンピョは、現代的なものが映り込んでしまわないよう、撮影を山の中で行うことを説明。さらに、「時代劇の場合、今自分が持っているものすべてを捨て、昔のものを自分の中から引き出さなければならないというのが難しい点ですが、それこそが時代劇の面白みだとも思います」と、時代劇ならではのやり甲斐を語った。

時代劇の主役として数々のアクションシーンを自らこなしたチン・セヨンだが、ほかの女性たちとは違うキャラクター像ゆえに、あるチャンスを逃したことは残念だった模様。「時代劇では女優は伝統的なチマチョゴリを着る機会でもありますが、残念ながらオクニョがそれを着たのは数えるほどだった」と、着飾る機会が少なかったことを惜しんだ。

するとパク・チュミがすさかず、チン・セヨンの衣装について「こざっぱりしながらもチマチョゴリの美しさをよく表していました」とフォロー。一方で自分の豪華絢爛な衣装とヘアメイクについては「朝鮮王朝時代に権力を持っていた浅はかさを示している」と分析した。特に、そのサイズが権力の大きさを示していたカツラに関しては、チョン・ナンジョンは文定大妃よりも大きなサイズで、5キロほどあったそう。しかし、「朝鮮王朝時代の美しさを世界に発信することができたということで、やり甲斐を感じました」と、苦労の甲斐があったことをにじませた。

この会見では、オクニョ役のチン・セヨンとチ・チョンドク役のチョン・ウンピョの、劇中と同じく親子のような雰囲気が感じられる中、チョン・ナンジョンの時とは打って変わってユーモラスなパク・チュミの面も見られた。そんな彼らの素顔は、6月18日(日)21:00よりNHK BSプレミアムで放送される特別番組で見ることができるので、そちらもお見逃しなく! 『オクニョ 運命の女(ひと)』は毎週日曜21:00より放送中。

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Photo:『オクニョ 運命の女(ひと)』来日記者会見