『ウォーキング・デッド』で事故死したスタントの遺族、安全性の強化を呼びかける

昨夏、大ヒットドラマ『ウォーキング・デッド』の撮影現場でスタントを務めていたジョン・バーネッカーがセットから落下し死亡してしまうという悲しい事故が起きてしまったが、ジョンの遺族がTVや映画の製作現場における安全性の強化を求め、呼びかけている。

米Deadlineによれば、ジョンの母スーザンさんは過去10年間、ジョン本人や彼のスタント仲間から、映画やTVの撮影現場では常に安全性に問題があったと聞かされ続けてきたという。「私には50人から60人ほどのスタント関係の友人がいますが、いつも彼らから現場の安全が確保されていないことを聞かされていました」

昨年は、ハリウッドの重鎮ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ問題が大々的に取り上げられたが、勇気を出して発言した女性たちの話を耳にした時、スーザンさんはスタント界にも同様の問題があると感じたという。

「彼らは(セクハラ被害や現場の安全性について)公にしたら、2度と仕事がもらえなくなるかもしれない、周りの人から好奇の目で見られるかもしれない、という圧力や恐怖心と戦っています。だから声高に訴えることができないのです」とコメント。さらに深刻なことに、スタントとして働く女性にはセクハラと安全性、両方の問題が付きまとうとのこと。仕事をもらうために、彼女たちはセクハラに耐えなければならないとも述べている。

スーザンさんは、同じような事故が2度と繰り返されないようにすることが今の自分の使命だと感じているそうで、映画やTVの撮影における安全問題を解決するための団体を、亡き息子の名前で設立しようとしている。

今月1月5日(金)、労働安全衛生管理局OSHA(オーシャ)は、『ウォーキング・デッド』の制作会社に対し、"雇用者を落下の危険から守ることができなかった"として最大級の罰金となる12,675ドル(約140万円)の支払いを命じた。しかしスーザンさんは、罰金を科してもルールを守らせることには繋がらないと主張。「50万ドル(約5600万円)だったら注意を引くことができたかもしれません。しかし、今回提示された罰金の額では、誰も気にかけはしません」

スーザンさんは、OSHAの代表が電話をかけてきたことも明かしている。「彼はずっと謝っていましたし、きまりが悪そうでした。"どうか罰金の額にショックを受けないでください。金額は損失の大きさと同等には設定されていないのです"と言っていました」と語った。彼女は設立する財団の事業の一環として、罰金額の更新に取り組むつもりだと明かしている。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ウォーキング・デッド』
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