『ストレンジャー・シングス』の出演料アップに見るハリウッドの契約事情

Netflixオリジナルのヒット作『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は、1980年代を舞台にしたSFホラー。シーズン2が配信され、シーズン3の製作が決定した今、その人気によりキャストの出演料が10倍に跳ね上がろうとしている。

1000%超のドラマチックな増額

シーズン1&2での子役たちのギャラは一話あたり3万ドル前後だったが、シーズン3のクランクインを控えて再交渉した結果、推定で20万ドルから25万ドルを支払われることになった。彼らはシリーズ開始前にはほぼ無名だったことから、米Deadlineは「ドラマチック」な増額だと驚きを隠さない。

報酬はA~Cの3段階でランク分けされている。一話につき35万ドルが支払われるAランクに相当するのは、ジョイス役のウィノナ・ライダーなど一部の成人俳優たち。主役を張る子役たちは25万ドル前後のBランクだが、2万ドル台前半と言われていた前シーズンと比較すると、最大で115ストレンジャー・シングス0%のアップとなる。

とはいえ子役のうち、弱冠14歳のスターであるイレブン役のミリー・ボビー・ブラウンは別格。米Hollywood Reporterは、彼女が昨年の段階ですでにBランク相当の報酬を得ていたと伝えている。30年のキャリアを持つウィノナと同額とはさすがに考えづらいことから、一話あたり30万ドル前後の報酬と見積もる関係者もいるようだ。

「作品が人気獲得=再契約」は普通

巨額の出演料アップは製作側にとって頭痛の種だ。過去には米HBOの役員が出演料の再交渉は局を蹂躙するものだと発言し、謝罪に追い込まれる一幕があった。

ただし、人気シリーズの契約再交渉はもはや業界の慣例となっている。レギュラーキャストはシリーズものの撮影以前に長期契約を結ぶケースが多いが、人気作品になった場合、追加ボーナスがシーズン2開始前に支給される。さらにシーズン3の製作前に契約の再交渉が行われるのが通例だ。

レギュラーキャストの再契約といえば、過去には『フレンズ』で一話あたり100万ドルという高額で再交渉が成立したほか、近年でも『ゲーム・オブ・スローンズ』が契約更改を重ね、直近のギャラは一話あたり50万ドル以上となっている。

出演料大幅アップも納得の理由

『ストレンジャー・シングス』の1000%超という上げ幅は稀に見る数字だが、それも人気の表れ。ストリーミングの視聴率を調査する企業の多くは、同作がNetflixで最も観られているシリーズの一つだと位置づけている。

キャストの多くが一挙にスターの仲間入りを果たしている。Hollywood Reporterによると、中でもミリーはファッション業界の顔としてカルバン・クラインやコンバースなど複数企業の広告キャンペーンに起用されているほか、Instagramではフォロワー数1500万という絶大な人気を誇る。

Deadlineによると、ドラマ自体の人気を生かした関連グッズのライセンス事業も、Netflixの大きな収益源になっているようだ。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の子役たち
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